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17、冬の朝
きんと空気が冷えていた。
冬の朝はいつも布団の中でもぞもぞしながら寒さに震える。
私は冬が嫌いで。
寒いのはやはり堪えるのだ。
けど。
冬だからこそ出会えないものもあった。
外に出ると置いてあった洗面器に氷が張っていて。
さくさくと踏みしめる霜に空から降る雪もだ。
私は幼い頃から氷や雪は不思議と好きだった。
格別に朝方に見る雪が降り積もった銀世界が良かった。
大人になっても変わらない。
雪の精霊さん。
今年も会えるといいね。
そう心中で呟いてみた。
雪の精霊が「そうだね」と言ったような気がした。
氷の精霊にも会いたいな。
だから今年も待つのだった。




