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15、雨
ポツポツと雨が降り出してきた。
私は傘もささずに歩いていた。
皆、急いで雨宿りをできる場所を探したり傘をさしたりとせわしない。
私には関係ないとばかりに雨粒に打たれ続ける。
ひんやり冷たい雨の雫は心地よい。
だって私は水の精霊だから。
人には見えないの。
その代わり、自由に歩きながら楽しむ。
クスクスと笑いながら一回ターンをする。
建物の屋根などからピチャンと大きめの雫が落ちた。
やっぱり楽しいわ。
これから池に戻ろうか。
再び歩き出す。
靴は履いているけど。
ハイヒールというものだ。
人であれば、こけてしまうだろう。
私は慣れているからこけない。
さあ、戻ったら何をしようか。
また笑いながら住処の池を目指して歩いたのだった。




