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城坂修一

北緯三十四度、西経六十六度。


そこは世界地図上でバミューダ諸島より左の方面へ二百キロの地点を探してみればいい、と。城坂修一は言う。


オースィニ、リェータ、ズィマーの三人がいる格納庫は、AD用格納庫だが、この格納庫は注水を行う事によって水中用装備のADが発進できるようになっている、強襲用潜水艦の艦内だ。


『回収目標は開発中のAD一機だ。それ以外は破壊しようが何をしようが構わない』


 艦橋からの通信で、城坂修一の声が聞こえてくる。


ズィマーは震える手で何とかヘルメットをかぶろうと必死で、その彼女を手助けするような形で、リェータも手一杯だ。


ならば問うのは私しか出来ないと、オースィニが「ボス」と声を挙げる。


「例のプロスパーとやらに襲撃をかけるのではなかったので?」


『かけたさ。というよりは今もかけているのかな? 念のため鎮圧部隊も用意はしているが、どうせ無駄だろう。


 今あの島には四六がいる筈で、いくら何でもポンプ付き十機、高機動パック二機、フルフレーム一機、高火力パック一機、それに加えて雷神を相手に、あの二人だけで鎮圧出来るわけがない。今は撤退している頃じゃないか?』


「では、我々はどこに向かっていると?」


『通称【X-UIG】と言う。まぁ僕が名付けたんだが、連邦同盟上存在している筈の無いUIGの事さ。AD学園にある試作UIGと呼んでいるUIGもそれだね』


「そこには何があると?」


『奪取してみれば早いよ』



 通信は、そこで途切れた。


オースィニは城坂修一が苦手だった。


彼女は楽観主義ではあるが、しかし腹に一物を抱えた彼に信頼をおけぬとし、訝しんでいる。


が、憎たらしい事に、彼の采配にいつも間違いは無いのだ。


故に何時だって、彼女はその命に従い、全力で戦う。



「この先に、平和があるのならば、私は……どんな罪悪だって被ってみせる」



 ズィマーのヘルメットを着用させ、ポンポンと頭を撫でたオースィニ。二人が機体に乗り込んだ事を確認して、彼女も自分の機体を起動させる。



オースィニの駆る、アルトアリス一号機。


リェータの駆る、アルトアリス三号機。


ズィマーの駆る、アルトアリス四号機。



それぞれ水中用装備をマウントした上で、注水が開始される格納庫内で、デュアルハイブリットエンジンを稼働させ、水中にモーター音を響かせる。



『さて――始めようか。睦ちゃん、ガントレット、聖奈、織姫、楠』



 城坂修一は、独り言を呟く。



『本当の平和を勝ち取る為の――戦争を始めよう』



 今、三機のアルトアリスが、出撃した。

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