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兵器足りえるもの-06

「オメェ、銃口が見えてねぇのか……?」


『何言ってんのかわかんないけど――名乗るよ。


 

My name is 島根のどか! ナイストゥミティトゥーっ!』



リントヴルムの背筋を通る、何やらゾワゾワとした殺気。


それは、このシマネノドカと名乗る少女から発せられるものだ。



「おいおいおい、何だってんだぁ、こりゃあ」



 ノドカ機が、レーザーサーベルを二対構え、接近する。


それを避け、銃弾を放ち、手を伸ばし、弾かれ――そんな戦いをしている内に、リントヴルムは口から溢れ出る涎が止まらなかった。



「お前もしかしなくてもAD学園のガキだよなぁ!? キャハッ、たまんねぇよなぁ、たまんねぇよッ!!」


 リントヴルムがダガーナイフを持ち、レーザーサーベルを持つ秋風と接触する。


レーザーサーベルの柄部分をダガーナイフで切り落とすと、ノドカ機は即座に右脚部を五号機の腹部へ突き付け、蹴る。


十メートルほど蹴とばされる五号機だが、しかしリントヴルムは笑う。


そして――対するノドカも、また笑う。



「オリヒメの次位にゃぁ、お前がハニィだぜっ!!」


『これが実戦、これが戦場、ホントADって――愉しいッ!!』



 戦場を駆ける二機のADがそれぞれの愉悦を感じている時。


ヴィスナーは事前に予測されていなかった秋風の襲来に、苛立ちを隠せずにいた。


(何よこれ、こんなの事前計画に無かったじゃん。やっぱあのシューイチってばあてになんない。


 やっぱアタシに必要な人はお父様だけ。お父様、シューイチにレイスを預けて、どこに)


 突如、未だ海上からプロスパーまで滑空を行っている一機の秋風が、その背部に背負う115㎜滑腔砲を構え、放ってきた。


確か事前にシューイチより貰っていたデータに、都合四機分設計されたフルフレームタイプのプラスデータを搭載した機体だ。


しかし、残る三機は簡単に持ち場を離れる事の出来ない自衛隊所属だ。残る一機は、AD学園に所属する成績優秀生徒と聞いている。


『学生ぃ……?』


 ヴィスナーも実年齢は十五歳だ。日本の年齢では高校に通っていてもおかしくはない。


だが、自分のように戦場で育ったわけでもない奴が偉そうに――と、今ようやくプロスパー港へと辿り着いたフルフレームへと、腰部のレールガンを装填、放つ。


電磁砲は速い初速によって瞬時にフルフレームへと跳んでいくが、しかしフルフレームは機体を僅かに逸らす事でそれを避け、二発の電磁砲は海上へと着弾した。


続いて、115㎜の二発目が襲来。元々着弾させるには距離があるので、これを難なく回避する事に成功したが――


 そこで、同じ方向からだが、違う機体から、もう一射。


プロスパー港へと帰島しようとするスタウトの甲板から、一機の秋風が狙い打った滑腔砲だ。


しかし距離は未だに五キロ以上離れている筈だ。


だが、間違いなく弾頭は、ヴィスナーの駆る二号機への着弾コース!


寸での所で回避が間に合ったが、もう一秒放たれていた事に気付いていなければ、堕とされていたのはこちらだ。


そして、その弾頭に驚いている暇もなく、フルフレームが接近する。



『貴方は英語か中京語は話せますか?』


『戦場で口開くなんて、良いご身分じゃない、糞豚が』



 英語か中京語がお好みの様なので、英語で返してやる。


フルフレームに搭載された四川は、刃に熱を通したヒートサーベル状態となる。ただのダガーナイフで受けるわけにはいかないので、上段で振り切られた一振りを避けた後、右脚部の回し蹴りで応戦したヴィスナー。



『我々は日本防衛省情報局第四班六課所属だ。貴君らの行為は明らかな侵略行為である。速やかに撤収、もしくは降伏なさい』


『だから、戦場で口開くなんて――いいご身分だっつってんのよ、糞豚野郎ォおおっ!!』



 冷却を終えたレールガンを放つ。避けられるが、それは計算付くだ。


――しかし、当たると思っていなかった弾は、後に飛来した残る一機の秋風に着弾した事を、ヴィスナーは知らない。

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