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私たちの試作機は最弱です  作者: 音無ミュウト
第八章

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捜索中にて

 AD総合学園には、五つのエリアがある。


まずは空港及び港に隣接された都市エリアである。この都市エリアには学園生徒用の娯楽施設が集中している。夜間利用はできないが、資格取得後の整備科生徒や短縮授業、または単純に授業後に使用する際に重宝される。広さとしては三番目広い。


同じく空港及び港に近い自衛隊駐屯基地エリアである。先日のミィリス襲撃事件によって基地に被害があった事により、現在は最低ラインでのスクランブル体制となっている。広さもAD学園内のエリアでは一番狭い。


そしてAD学園生徒用寮やコンビニ、薬局等が集中する住宅エリア。広さで言えば二番目に広いが、これは住んでいる住人が多い事から当然と言えば当然だ。


続いてAD総合学園中等部エリア。中等部ではADへ搭乗した上での実機訓練は原則行われないので、校舎も一つで済んでいる。広さは二番目に狭く、見て回る時間も少なくて済む。


最後にAD総合学園高等部エリア。AD学園内で一番の広さを誇っている。これは校舎が四つとAD用格納庫が十、大きく開けた屋外グラウンドが十二、演習用の室内グラウンドが四つある事から当然の広さと言えよう。自衛隊駐屯基地の隊員も時々高等部のグラウンドを使用するほどである。


「高等部校舎は、ほとんど見て回っております。しかし中等部校舎に三つ、住宅エリアで三つ、都市エリアで三つの爆弾設置が確認されている事から、自衛隊駐屯基地にもある可能性を鑑み、村上にはそちらを走ってもらいました」


 明宮梢の説明を聞きながら、紗彩子は現在まだ見回っていない箇所の確認を行っている。


現状は校舎内で爆発するよりも、住宅エリアや都市エリアでの起爆が一番脅威であるとして、多くの部兵隊メンバーがそちらに人員を割いているし、正直に言えば効率もいい。現在訓練等を行っているグラウンドは無いし、現状交流戦の客席に影響を及ぼさない範囲で爆発すれば、最悪の事態は避けられる。


「中等部校舎は、既に全ての見回りを終了している、と」


「自衛隊駐屯基地は恐らくないでしょう。流石に警備が厳重ですし、最悪の場合でも被害は少なく済みます」


「あまり考えたくない最悪ですがね」


 となれば――と、紗彩子は幾つか見回り先をピックアップする。


「高等部第四校舎はまだ見回っていませんね」


「一番遠い校舎ですので、被害は最小限に食い止められるかと」


「いいえ、この後防衛装備長長官が視察を行いますので、万が一そちらに視察が入った場合、長官を狙われる可能性があります」


「そういえば予定がありましたね。流石に全ての校舎を回る事は無いと思いますが」


「憶測は危険です。私はそちらを見回りましょう」


 紗彩子は第四校舎に向けて走り出す。途中で格納庫近くを通った所でタバコを吸っている藤堂を見つけて「AD学園は所定場所以外、禁煙ですよ」と声だけかけた。


「神崎ちゃん、急いでどこいくのさ」


「諸事情で!」


 それだけ答えて走り去る。しかし藤堂は何か面白い物を見つけたような表情で「追いかけてみるか」と呟き、紗彩子にバレない様に行動を開始した事を、紗彩子も気付いていながら見逃した。


**


『そ、それではこれより、交流戦決勝戦を行います!


 えっと、決勝戦はここまでを勝ち上がった久世良司と天城幸恵の両名と、敗者復活戦においてプロモーション枠で勝ち上がった城坂織姫・秋沢楠の二人ペアによる三組の、総当たり戦となります!


試合プログラムは以下の通りとなります!


一試合目、天城幸恵VS織姫・楠ペア。


二試合目、久世良司VS天城幸恵。


三試合目、久世良司VS織姫・楠ペア。


この三試合の結果によって勝利数の多い順に、優勝・準優勝・三位となるのです!


なお一組が二勝した段階で優勝は決定しますが、仮に残り二組が一勝ずつの場合は準決勝戦の試合を行い、さらには全員が一勝ずつの場合、三機によるサドンデスバトルとなります!』


「私と久世先輩の二試合が直後になって、姫ちゃんと楠ちゃんのペアが一試合合間が開くのは策略?」


「まさか、厳正なるくじ引きの結果ですよ」


「その通りです、当方生徒会に不正はありません。ええありません」


 天城先輩が俺と楠の前に立ち、うふと笑みをこぼす。


「ま、いいけど。普段整備科のパートナーはあんまり私が機体に負荷かけないせいで、今回はひーひー言ってるし、ちょっと楽しいもの」


「天城先輩ってドSですよね」


「女の子と可愛い男の子にはそうじゃないよ? だから姫ちゃんにも優しくしてあげる」


「城坂さん、決して乗らぬように」


「けれど――姫ちゃん、一ついいかな?」


「何だよ」


「昨日の試合で、私に負けた時に『何でも言う事聞く約束』って話したじゃない?」


「してないけど、そういう話はあったな」


「今度こそ、その約束しない? ……私が勝ったら、二人に私のとっておき、着てほしいの」


 ニッコリと笑っている目が僅かに開かれ、口もニタリという擬音が似合うモノへ。


俺と楠は背中を走るゾワリとしたものを感じつつ、「何を着ろって?」とだけ聞く。


「コレ」


 携帯端末に表示されるのは、一枚の画像である。


……セーラー服のような柄ではあるが、問題なのはそれが胸と股間を隠す『肌着』という点だ。


「可愛いでしょ?」


「絶対勝つぞ楠」


「元より負ける気はありませんが、より一層負けるわけにはいかなくなりました」


「うふ、恥ずかしがり屋さん」

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