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ズーメイ-06

 現在、樺太島近海にある、四六の所有する強襲母艦【ひとひら】と、ガントレットが用意した護衛艦が四隻が、横隊を組んで停船している。


各人員の機体出撃が可能となった事により、ガントレットがそれぞれの状況確認を行う。



「各員、出撃準備はいかがか」


『こちら聖奈機、問題無し』


『こちら久世機、問題無し』


『こちら島根機、問題無しデース』


『こちら村上機、問題無しっす!』



 と、そこで雷神に搭乗する筈の織姫と楠から返答がなく、ガントレットは「ライジン、どうした?」と問う。



『整備不良アリ』


『いえ、規定値はOKなんですけど、お兄ちゃんが納得できないって……今直してもらってます』



 AD兵器は自動整備システムでの整備になれば、規定値異常が出なければそのまま出撃可能となってしまう。


 しかし雷神は通常のADよりもデリケートな機体であるし、そもそも織姫が荒っぽい操縦を行うパイロットなので、僅かでも整備が怠われていては、納得できないのだろう。



「メーカー。どういう事だ」



 ガントレットが問うと、四六に付く高田重工の整備士が『いやホントに大丈夫なんですって』と言い訳を開始したが、ガントレットも苛立ちを隠せずに言う。



「それでパイロットが死んだらお前らの責任にも発展させるが、それでも尚言うか?」


『それは、少々傲慢じゃないですか? 我々整備士だって、出来うる事はします』


「していないという事でパイロットから報告が来るのならば、それはしていないと判断せざるを得ない。そして今オリヒメから送られたデータを見ると、各関節における整備状況値に低下が見られる」


『ですから、通常の挙動ならば問題が無い値ですので』


「本気で稼働させれば12Gを超える加速を見せる雷神の挙動に対応できると言えるか?」



 そこでグッと言葉を詰まらせる整備士の言葉に、ガントレットは「あまり言いたくないがな」と先に言葉を挟む。



「お前らはパイロットの命を預かっていると自覚しろ。


 自動整備装置等と言うモノに頼って、自分たちの仕事を減らし、その結果パイロットが死ねば、その責任はお前らにも問わねばならなくなる。

 それを十五歳だった少女が自覚してるのに、お前たちは自覚が無さすぎる」


『……以後、気を付けます』


「宜しい。だが時間が惜しいので、先に雷神を除く四機で出撃を開始。


 まず敵拠点に繋がるゲートはこちらによる爆撃で破壊する。


各機はその後順次突撃を開始し、敵拠点を制圧・敵のADを無力化しろ」


『了解』



 全員の返答がそこにあった事を確認。ガントレットも続けて命令を出す。



「では、各員カタパルト接続、出撃を開始しろ」



 カタパルトに接続されていく、各秋風。


まずは聖奈の搭乗する秋風・高機動パックが腰を落とし、手元にあるレバーを握って、出撃準備を完了させる。



『城坂聖奈、高機動パック――出ます!』



 押し出される機体。その初速を持ってカタパルトから切り離され、空を舞った聖奈機に続けて、良司機のフルフレームも続く。



『久世良司、フルフレーム――出撃』



 こちらはフルフレームの重量か、速度は聖奈機には及ばないが、安定した滑空に頷く。



『島根のどか、高機動パック、行きますよー!』



 続けて出撃するのどか機は、聖奈機やフルフレームとは違って安定性こそないが、しかし猛スピードで駆けていく姿は、力強さすら感じる。



『む、村上明久! ハイジェットパック……行きますっ!』



 当初はハイジェットパックの高出力に怯えつつも、しかし滑空と言うより飛行とも言える出力で飛び立っていく明久機を見据えて、ガントレットは続けて爆撃隊に命令を送信。



艦隊砲撃による攻撃と、爆撃機からの短い絨毯爆撃に襲われ、樺太UIGを守る木々に偽装したゲートは崩壊。


 聖奈機とのどか機が、まず率先して降下していく。


低速で降りればCIWSからの攻撃に晒されると危惧した聖奈は、のどかへ短く『行くよ!』と声をかけ、のどかも頷いて、機体を反転させた後、スラスターを吹かして急降下を開始。


落下の寸前に逆噴射と電磁誘導装置での制御を行い、そこに存在する門へは、続けて降下した良司のフルフレームが持つ115㎜滑腔砲が、着弾。


破壊された門より覗き、敵がいない事を確認しようとした三機の前に、二機のADが出迎えた。



『やぁ、四六の諸君』


『まぁた会ったなぁ』



 声は、敵の機体から聞こえた。



 アルトアリス試作一号機――その大型ブレイドが目を引く接近戦に特化した機体に搭乗する、オースィニ。


アルトアリス試作五号機――プラスデータの装備機構を備えた、量産化を想定した汎用機体に搭乗する、リントヴルム。


続けて落下してきた明久機が着地する音と共に、三機が門から飛び出して、それぞれ発砲を開始。

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