人間の力
零はことの状況をすぐに理解することが出来た。
しかし、その理解力が零の恐怖心を進行させる。
俺がこいつを騙すはずだったのに...逆に俺が騙された!?
心臓がバクバクと音を鳴り、汗がだくだくとでてくる、零には1つ不安に思ったことがあった。
そして零は震え混じりの声で顔に怒りをうかべこう言った。
「お前...史華をどこへやった...」
「フミカサンデスカァ???」
「コロシマシタァ...」
「な!?」
零は空いた口が塞がらなかった、そして涙袋がピクピクと震える。
なんで...あいつが殺されねぇといけねぇんだよ...
零は力いっぱい拳を握ってこう言った。
「なんで史華が殺されねぇといけねぇんだァァ!!!!」
「ナンデコロサレナイトイケナイカ...」
「ソンザイジタイがウザカッタカラデス!!!」
そう言って淳子は触手で何かを持ち零に見せる。
お、おい...嘘だろ...
史華の死体だった...
両目はくり抜かれ、服と一緒に斬られた傷が複数ありそこから血が流れていた。
「史華っっっっ!!!!」
大声で史華を呼ぶ零を見て淳子は楽しそうにこう言った。
「イヒヒヒヒヒヒッ!!!!!!シタイニヨビカケテドウスルンデスカァ???」
なんで...なんで...史華がこんな目にあわなきゃいけねぇんだ...これが理不尽ってもんじゃねぇのか?
零は瞳から1滴の涙を流す、その様子を見ていた淳子は煽るようにこう言った。
「アナタモシカシテナイテルンデスカァァァ???」
零の何かが...ぷつりと音を立てた。
「俺は...お前をぶっ倒す!!!!たとえそんな力がなくとも...俺は、俺は!!!!」
零は淳子を指差すとこう言った。
「このクソババァをぶっ倒す!!!!」
淳子はその言葉をはっきり聞いた、もちろん淳子は怒った。
「ワタシヲタオス???ナメタコトイウンジャネェ!!!!」
そう言って淳子は数本の触手をだす、その数本の触手は矢ように速く、零を襲おうとする。
落ち着け俺...集中しろ...触手だけを見るんだ!!!!
零はその触手を俊敏にかわす、巧みな動きと身のこなしそして、少し先の攻撃まで回避しようとしているところから零には少し先の攻撃がよめているようだ。
流石の淳子も零のその動きには驚愕する。
ナンデ...ワタシノコウゲキガスベテカイヒサレテイル!?
「ソ...ソンナコトガ.......」
淳子はあまりにも体力をつかってしまったため、呼吸が荒くなる。
零はその様子を見て少し勝利がみえた気がした。
「流石の悪霊も体力ぐらいはあるか!!」
そう言うと零は淳子に向かって勢いよく走りだす。
「ワ、ワタシニチカヅクナァァァァ!!!!!!!!!!」
そう言うと淳子は再び触手をだし零を襲おうとする。
しかし、零はその攻撃さえも巧みにかわしてしまう。
「ウソ...デショ???ニンゲンガ...アクリョウヨリウエヲイクナンテ!!!!」
「どうだ!!これが人間様の力だァァァァァ!!!!」
そう言って零は勢いよく拳を淳子の顔に叩き込もうとした。
しかし、その拳は淳子の顔を貫通した。
「は!?」
淳子は今何が起きているのか分からない零の様子を見てニヤリと笑いこう言った。
「レイサン、ワタシイチオウアクリョウデスヨォ???」
「ニンゲンデアルアナタガ...ワタシノカラダニフレレルワケナイデショウ???」
クソっ!!!!そんなのってありかよ!!!!
零はもう既に体力を全てつかいはたし疲れきっていた。
「サスガニワタシノコウゲキヲカワスノハソウテイガイデシタァ...ソレハホメテアゲマショウ!!!」
「デスガァ...アナタニハシンデモイマショウ...」
そう言って淳子は触手をだし零の背中に突きつける。
そして、淳子は楽しげに笑いながらこう言った。
「デハ...サヨウナラァ、レイサン!!!!」
クソッ!!!!!!何も出来ずに死ぬなんて!!!!!!!!
零はそう思いながら反射的に目を瞑る。
零の背後にある触手はナイフのように零を刺そうとした次の瞬間...
ゴンっ!!!!
なにか鉄板にぶつかったような音がした。
あれ?なんか背中に違和感が...
「ナンデササラナイノデスカァ!?」
「なんでか...教えてあげましょうか?」
その声は想定外の人物だった。
黒髪ショートの小柄な少女の姿...そう、史華だった。