逆転
淳子と零の間に不穏な空気が漂う、零は死ぬ事を覚悟のうえで淳子に歩み寄ろうとする。
「チカヅクナッ!!!!」
零はその言葉を聞いて足を動かすのをやめてこう言った。
「先程はあなたさまに無礼な発言をしてしまい...誠に申し訳ございません...」
そういって零は頭をさげる。
淳子は頭をさげる零を見て気が落ち着いたのか、さっきとは違い落ち着いた様子でこう言った。
「ほう...これはこれは丁寧な言葉で、しかも謝罪してもらえるとは...私としては大変喜ばしいことですねぇ...」
「それは光栄です...ところで1つ質問したいと思っているのですが...」
「はい、一体なんでしょうか?」
「貴方は一体何者なんでしょうか?」
「何者...とはどういうことでしょうか?」
「先程の超音波といい、触手といい...人間ではないことは分かっています。」
「ですが...それならいったいなんなのだと思いまして。」
「これはこれは、そこのところの紹介が遅れましたねぇ...」
「私はあなた達が言うところの悪霊に当たります...」
やっぱり、そうだったんだ!!
「それじゃあ次に、先程私は廃墟内の部屋にいたのですが...なぜ私はこの空間にいるのでしょうか?」
「それはですねぇ...あなたがいた部屋に魔法陣がかいてあるのは、見ましたか?」
「はい、確かに見ましたが...」
「薄々気づいてるでしょうが...実はあれには空間魔法という魔術を発動させる力があるのです...」
あの魔法陣にそんな力あんのかよ!!でも、それじゃあの指人形の意味は...
「魔法陣の周りにいくつかあった指人形はなんなのですか?」
「あぁ!!あれはですねぇ、魔力を封じ込めているのです、指人形には指を入れる穴があるので魔力を挿入するのが簡単なのです...」
「そして、指人形は私にとってとても便利な道具でしてねぇ...」
あのババァ...触手だけじゃなくて指人形にもなんかあるのかよ!!聞きだしたい気はあるんだが...史華はいつになったら起きるんだぁ?
そう思い零は倒れている史華のほうを振り向いた...
しかし、そこには史華の影はなかった。
零は突然のことで驚倒する。
「あ、あれ?さっきまでここにいたはずじゃ...」
「アレェ???キヅイテナカッタノデショウカァ???」
零は淳子のほうを向き、怒った顔でこう言った。
「おい!!史華をどこへやった!!」
「ドコヘヤッタ???」
淳子は不穏な笑みをうかべこう言った。
「ハジメカラ...フミカサンハイマセンヨォォ???」
そう言って淳子は零に見えるように手を見せる、淳子の指の5本中4本には指人形がつけてあった、それは零が見てもはっきり確認できた。
そして零はその指の間の隙間から淳子の瞳が見えた、その瞳はまるで自分を嘲笑っているかのように零はみえた。