タレント
作者の気まぐれで創られた拙作ですので更新も気まぐれです。具体的には、1週間の時もあれば1ヶ月更新がなかったりするかもしれません。かと思えば半年後にひょっこり更新したり。そんな気まぐれに気まぐれが重なって生まれたものです。
どうか気まぐれに読んでいただけたら幸いです。
教会まで早足でやってきた俺は、一息置いて中に入る。
荘厳…とまではいかないが、不思議な雰囲気のする空間だ。近くにいた僧侶?の方に声をかけて才能を見てもらうにはどうすればいいのか尋ねる。
「私がタレントをお調べする係なんですが…今日はもう片付けようと思ったところでして。…ですがせっかくきていただいたのです。お調べいたしましょう。」
「タレント?いや、俺は才能を…」
「ああ、才能の事をタレント、と呼称するんですよ」
「そうなんですね…。ありがたいです、お願いします。」
俺を小部屋に案内し、彼はそのまま去って行った。必要な魔道具を取りに行ってくれるらしい。
「必ず持ってる先天性のタレント…なんだろう」
期待半分不安半分くらいでそわそわしながら待つ事5分。彼が戻ってきた。
「お待たせいたしました。では早速取り掛かりましょうか」
水晶玉に手を乗せるよう促され、恐る恐る左手を乗っけた。理由は特になく、何となく利き手だったから左手にした。
すると水晶玉が光り出し、自分の中に光がスッと入り込んできた。
驚き慌て、彼に助けを求めたが、彼は関せず何やら紙にペンを走らせていた。
それから数秒後、彼の手が止まり周囲のピリピリした雰囲気がフッと和らぐ。
「終わりましたよ。これがあなたのタレントです。」
紙を手渡され、半信半疑で読んでみると…
Name:タツヤ
Age:15
Talent One:治癒魔法適正
Talent Two:神からの贈り物
と書いてあった。
治癒魔法?属性じゃないのか?それに神からの贈り物?疑問しか浮かばなかった俺は神官に内容について話そうとすると話を切られた。
「タレントを紙に書いている間は私に意識はないんです。それに他人のタレントを知る事は、本人の同意がない限りタブーとされています。申し訳ありませんが、あなたのタレントについて私は力になる事ができません。」
「そうでしたか、すみません。」
「いえ、謝るのはこちらの方です。先に伝えておくべきでした。」
少し気まずい空気が流れる。
するとおもむろに彼は立ち上がって片付けを始めた。
「そろそろ本当に戻らなければなりませんので、申し訳ないですがここで失礼いたしますね。」
魔道具を丁寧に包むと彼は立ち去った。
小部屋に残された俺はしばし考え込んだが、考えてもわからないので、明日また図書館で自分の才能について調べることを決め、宿に戻った。
翌日、俺はベッドから落ちる夢を見て目が覚めた。
体の節々が痛む…ベッドってこんなに硬かったか?…と思ったら本当にベッドから落ちていた。夢なのか現実なのか…回らない頭で考えても答えは出るわけなく、例え出たとしてもどうでもいい。
ここまで考えてから、考えるのをやめた。
起き上がって掛け布団をベッドの上に戻して大きく伸びをする。
徐々に頭が晴れてきて二度寝したい気持ちも湧かなかった。
「さて、昨日は簡単にパンしか食べてないからお腹空いたな。今日は何を食べようか…」
もらった食料を腐らせる前に食べ切りたいという想いから、屋台や大衆食堂で外食することを避けている。
もらったものは主にパンと水、たまに落雁みたいなほろ甘いお菓子が入っている。これがなかなか美味しく、しかもお腹にたまる。
「って言っても選ぶ余地は無いんだけどね。」
そう言って顔を洗ってから、パンと落雁を水で流し込み、簡単な食事を済ませて宿を出る。目的地はもちろん目の前の図書館だ。
「こんにちは」
図書館に入ると、昨日と同じ司書の人が受付で書類に目を通していた。
「あら、あなたは昨日の…随分勉強熱心なんですね」
そういうわけでもないのだが…はたから見るとそうなのかな?
紙とペンを借り、お金を支払い本を探す。
探したい本は治癒魔法について書かれているものと神からの贈り物というタレントについてだ。
俺は魔法関連の本が並んでるところまで歩いて行き背表紙をはじから読んでみる…がこの方法では見つけるのは困難だと思い断念した。大人しく司書さんに治癒魔法についてと稀有なタレントが載ってる本を尋ねる。
「治癒魔法…って事はあなた学者さんなのね?見かけによらずシブいところを研究してるし…」
本当は学者でもなんでもないがとりあえず頷く
「…シブい?」
「治癒魔法って旧文明時代の魔法でしょ?現代では使える人はいないとされてる。そんなもの調べるなんてシブい趣味だと思ってね。」
「あはは、お恥ずかしい限りです。」
とりあえず同調しておこう…
「でも残念ながら治癒魔法についてはここにはおいてないわよ。稀少なタレントについてなら…ちょっと待ってね」
彼女はいきなり電池が切れたみたいにプツンと途切れてしまった。
「…⁈なにが…」
慌てて駆け寄ろうとすると彼女はこちらを向いてまた話しだした。
「ごめんなさいね、これ、私のタレントなの。『物探し』ってタレントなんだけどね。」
「いきなり固まったのでビックリしましたよ…」
脱力してその場に座り込みため息をつく。
「ごめんごめん、先に言っておけばよかったわね。初めてみる人はみんなビックリするのよ。」
「……。にしても便利なタレントですね。」
物探しとかかなり便利なタレントじゃないか?なんでも出来そうだぞ
「これが不便でね…。私の物探し程度じゃかゆいところに手が届かないのよ。例えば自分の近くのものしか探せないし、例えば大雑把な特徴を伝えられても似たものが多すぎると候補が絞れなくて探せないの。」
「私程度?」
「そうね、私はタレントが弱いから」
「同じタレントでも強さが違う…?」
「あなたもしかしてそんなことも知らないの⁈もしかして別大陸の人?」
「あ、ええ、まあ…」
しまった、不用意に聞くべきじゃなかったか。」
「へえー、珍しいわね。…とにかく、『稀有なタレントについて』っていうのも結構大雑把だったからいけるかわからなかったけれどなんとか見つかったわ。」
「本当ですか?ありがとうございます!」
司書さんに案内してもらい稀有なタレントについて調べていく…が、肝心の神からの贈り物というタレントの項目は見つからなかった。
しかし、収穫もあった。
珍しいタレントは、希少価値が高いため違法な人身売買の対象になる事が多い。基本的にタレントは隠す物である事。
これは珍しいタレントを持ってる俺に言っているようなものだ。
次に、名前に『神』という単語が入るタレントは、そのタレントの効果だけでなく、ほぼ全ての才能に補正がかかる副次効果がある。物探しのようなアクティブな才能には効果がなく、剣術のようなものが対象になる。魔法にも補正がかかるが属性は先天性のものに依存する。
「調べられる範囲は調べたけど…正直宝の持ち腐れ感はあるなあ。」
好きに生きなさい
そうは言っても…そうか、まずはお金を稼ぐ。そしてその後は…後は…また今度考えるか。
宿賃だってタダじゃない、働かざるものなんとやら。明日から早速働いてみようかな。
そんな事を考えながら今日の所は大人しく部屋に戻った。
誤字脱字ありましたら申し訳ないです。
数日遅刻しました。許してヒヤシンス