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異世界第一街人

作者の気まぐれで創られた拙作ですので更新も気まぐれです。具体的には、1週間の時もあれば1ヶ月更新がなかったりするかもしれません。かと思えば半年後にひょっこり更新したり。そんな気まぐれに気まぐれが重なって生まれたものです。

どうか気まぐれに読んでいただけたら幸いです。

俺はまず近くの街に向かう事にした。流石に草原で一生過ごすのは無い。色々と。具体的には精神的にも食料的にも。


「とりあえずお婆さんからもらった地図を頼りにこのコル…?って街に行こうか」


幸いそんな遠くない。むしろすぐそこだ。


「意外と近いな…」


背嚢を深く背負い直し街に向かって進む…




「これがコルの街か…」


なんでも、外壁により魔物から守られており平和な街みたいだ。

ちなみに魔物なんて架空の存在だと思ったけど、この世界にはいるらしい。お婆さんがいうには地球でいうエラー的存在なんだそうだ。


幸い俺は出会わなかったが、草原の魔物は強くないらしいし、この辺り一帯はかなり平和な土地みたいだ。

それでも魔物は出るし、絶対安全とはいかないだろうが…


「あ」


そういえば俺、身分証とか持ってないけど街入れるのか?不安になってきたぞ…


「でも行かないっていう選択肢は無いよな…」


歩みを止めず街の入口まで来ると、案の定門番か兵士か自警団か分からないが、人が立っていた。異世界第一村人だ。いや、街人かな?

とりあえず話しかけて、入れてもらえるようなら入れてもらおう。駄目なら…その時はその時だ、当たって砕けろ!…いや砕けたら困るな。


俺がいらんことを考えていると、その門番だか兵士だか自警団だかの人が話しかけてきた。


「大丈夫ですか?なにやら青い顔で考え込んでいたようですが…」


「あ…すみません、遠い大陸からイストルへきたのですが、街にはいるのには身分証か何かいるのかな、と思いまして…」


「そうでしたか。それならご安心を。貴方の大陸は存じませんが、イストルでは街に入るときに制限は設けていません。ですのでご自由に出入りが可能です。」


私が立っているのは万が一の魔物に備えてですね、といって笑った。

…これ、犯罪者とか入り放題なんじゃ?


「あ、一応犯罪を犯したことのある人は魔法で感知されブザーが鳴り響き街の自警団が駆けつけるって流れになってますのでご安心を。」


あ、やっぱり対策はしてあるんだ。

俺は自警団の人に礼を言って街に入った。


「おおー!」


街は結構広くて色んなもの、人が行き交いしていて活気に満ちている。田舎かといえばそうでもないが、都会かといえばそこまででもない感じ。


「お婆さんがいうには…お金を稼いで宿を取ったら後は自由…か」


『あまり貴方の人生を私が決めたくないの、最初の1週間分のお金はあげるから何にでもチャレンジしてみてね。分からなくなったら図書館に行く事。』

そう言ってたのを思い出し、改めてお婆さんに感謝しながら宿を探す。


「しまった、自警団の人にどの宿がいいか聞いておくんだった」


仕方ない、歩いてる人に聞こう…

と考え事をして歩いてると前方に衝撃があった。どうやら人にぶつかってしまったようだ。


「あっ…すみません!大丈夫ですか?」


その人はフード付きコートを着ていて顔が見えなかった。尻餅をついてしまったらしく、急いで手を取り引き起こす。


「すみません、なんでお詫びしたら良いか…」


「…別にそこまでの事じゃないわ」


そう言ってさっさと立ち去ってしまった。


倒れたときにちらりと見えたが、耳が少し尖っていたため、恐らくは森族だろうとあたりをつけた。


ムルには平原族、森族、山族やまぞく海族うみぞくという人種があり、互いにいがみ合ってるらしい。ちなみに俺は平原族になっている。


森族は魔法が得意、山族やまぞくは格闘に秀でていて、平原族は平凡。山族は魔法が全く使えず、独自の技術で身体能力をあげて戦うらしい、素でも強いみたいだ。逆に森族は格闘には向いていないが魔法の適性は抜きん出て高いとされている。平原族は魔法も少ししか扱えず格闘にもあまり向いていない。海族に関しては分からないことが多い。

身体にも特徴があり、森族は耳が尖っていて、山族は額に刻印がある。平原族は何もない。海族は…分からない。

ただ、自分の領土の侵入者相手に戦うことがあっても、戦争を起こすほどではないらしい。いがみ合う程度みたいだ。

他種族は嫌われるが、それ以上にもっとも忌み嫌われるのは、他種族と他種族のハーフだ。なんでも生物的に相容れないらしい。


とにかく、ここ平原族の領土に森族がいること自体が不思議だ。


「なんでだろう…」


考えても仕方ないのでとりあえず宿探しを続行することにした。


「ここがカルーの宿か」


街の人に聞きまわったところ、居心地のいい宿屋はカルーの宿、という意見が割と多かったのでここにした。

木造建築の暖かみのある家で心も落ち着くんだとか。

中に入ると、女将さんが出迎えてくれた。


「いらっしゃい、ようこそカルーの宿へ。お客さんは新規の方だね」


女将さんは四十代くらいの少し恰幅のいい人で、とても人が良さそうだった。


「はい、今日この街に来ました。ええと…取り敢えず一週間分お願いできますか?」


「はいよ、一週間分ね」


用紙に名前を書いて鍵を受け取る。鍵にはタグが付いていて、304と書かれている。


「そういえばあんた、名前は?」


「あ、タツヤです。よろしくお願いします」


「タツヤか、私はリンデ。よろしく頼むよ。後は…そうだね、ご飯は朝と夜だけ食堂が空いてるから頼むといいよ、腕によりをかけて作るからね」


なるほど、お昼は自分で調達しないといけないのか。そう思いながら一週間分の宿代を渡す。


「ひーふーみー…うん、確かに受け取ったよ。タツヤはこの街に来たばかりって言ってたけどこれからどうするんだい?」


何も考えてなかった。


「あー、ええと…」


『迷ったら図書館に行く事』

ふと、お婆さんの言葉を思い出し、図書館への道を尋ねる。


「図書館に行こうと思ってます。どこにあるか知ってますか?」


リンデさんは、驚いたような顔で答えてくれた。


「図書館って…そりゃ知ってるさ、ウチの目の前だよ」


「そうなんですね、ありがとうございました」


全然気づかなかった。道の反対側にあったのか。


「また何かあったら聞いとくれよ」


手を振って三階へ上がって行く。


「304…304…ここか。」


自分に割り当てられた部屋に辿り着いて鍵を捻って中に入る。


「おお…!」


本日何度目になるか分からない驚きとワクワク。意外と広くて、ベッドもふかふかで気持ち良さそうだ。窓も中庭に面していて、開けると気持ちいい風が吹き込んでくる。


「思ったより広いなあ、それにいい部屋だ。」


風に少し当たってから窓を閉め、背嚢を置いて図書館に繰り出すことにした。

鍵を閉め忘れないように…と思ったら財布を中に忘れて慌てて取りに戻った。



図書館は思ったより大きくなかった。


「当館の説明をさせていただきます。当館の本は貸し出し不可です。その代わり、紙とペンを用意してあります。必要なら紙を買ってペンを借りて写す事をお勧めします。ちなみに本はとても高いので、汚したり壊したりしないようにお願いします。」


「わかりました。」


借りることは出来ないんだ。本が貴重な世界ならではって事かな?写すっていうのも独特な文化だよな。


「最後に…手に取った本はきちんと元あった場所に戻すか私に渡してください。以上です。」


とりあえず俺は気になる本を片端から手に取って隅のテーブル席へ持ってきた。手に取った本は、『先天性の才能や魔法センス』という本や、『イストルの歴史』、『ムルの神さま』…他多数だ。

気合いを入れて最初のページを開く…



日が暮れる…とまではいかないが、かなりの時間読み耽ってしまったようだ。

まとめると、


才能や魔法関連

・人は先天的に必ず2つ得意な才能や魔法属性系統を持っている。例えば剣術と火属性魔法、の様に。

・必ずしも才能と魔法という訳ではない。例えば剣術と槍術。例えば火属性魔法と水属性魔法。

・才能は多岐に渡るが、魔法は属性が決まっている。火属性、水属性、風属性、土属性、光属性と闇属性。

・2つの属性を先天的に持つと、合成属性が使える。水属性と風属性なら雷属性等。但し光と闇の場合は他の属性を先天的に持つことはない。

・光と闇の属性は現段階で使える人数が少なくまだ分からないことが多い。

・先天的才能や、魔法属性は教会で調べることが出来る。


歴史関連

・昔大災害があり、全てのものが破壊され尽くしたらしい。一説によると破壊神によるものとも、魔王によるものとも言われている。その際、高度な文明や技術も滅び、現代では再現不可能になっている。

・旧文明の遺産がごく稀に見つかることがあり、それらは古代遺産と呼ばれ国によって管理されている。

・ムルには神がいる。とても信心深い者等に、教会での祈祷の際、神託が降りると言われているが、詳しいことはわかっていない。



他にはイストルが栄えたワケ等、様々な事を読んで、覚えていった。

いつか役にたつかもしれないからな。


とりあえず今日はこれくらいにして本を返そう。…としたが、元あった場所がわからなくなってしまったので、申し訳なく思いながら説明してくれた司書の方に本を返した。



図書館を出ると、陽が落ちておらず、まだ何か出来そうだった。


食料はお婆さんからもらったものがあるから腐る前に食べ切りたい…そう考えるとつまみ食いは出来ないし…

と考えていると、ふと、頭にある考えが浮かんだ。


「そうだ、教会で才能を見てもらおう。」


幸いこの街の地図は図書館で大まかにメモって来たので、道は分かった。教会はそう遠くなく、陽が落ちるまでに着けそうだったので、足早に向かう。

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