9話
「ついて来い」
陛下と呼ばれていた子供が立ち去ってから、僕はシアンと呼ばれた一人の騎士と一緒に動き出す
訳も分からず訪れてしまったこの場所は、本の中と言われても全く持って理解が追いつかない
目の前には物語に出てきそうな明らかな騎士、正直・・・気まずい。
無言の時が流れる
「ーー止まれ。」
騎士が突然止まり、後ろを振り返って僕を見る
目が合っているか分からない、兜と顔を合わせる
緊張が走る、しかし続けて言われた言葉は僕の緊張をほぐす様な言葉
「・・・はぁ~、そう硬くなるな、陛下はアレだがとても気さくな方なのだ、私も命じられた通り貴殿に魔法を教えるだけの事よ」
「は、はい!よろしくお願いします。」
緊張はほぐれた、だが・・・正直、怖い。マジで怖い。めちゃくちゃ怖い。特にその腰の剣が怖い。恐怖心を抑えその場の空気とノリに全力で合わせた
「そうか、私の事はシアンと呼べ、ついて来い。」
シアンさんに連れられて、着いた先はただただ開けた場所
「コレを使え。」
そういわれて渡された物は一振りの剣・・・剣?
「シアンさん、えと、あの」
「あぁ・・分かる。分かるぞ貴殿のその気持ち」
シアンさんは何が分かるのか?腕を組み頭を上下に動かしながら一人納得している
「言いたい事は分かる、しかしこれから魔法を教えるに辺り始めが肝心なのだ、良く聞いてほしい」
「は・・はい。」
ーーよかった。この人は魔法を教えてくれる人だ、まさかな?気のせいだよな?そう・・・思って・・・
「良いか、魔法とは、つまり、筋肉だ!」
僕にとって、地獄の様な日々が訪れた。
☆
「41・・・42・・・よんじゅ・・ぅ・・うぎゃあ!」
「甘い!もっと全身の力を使え!!」
もう、どのぐらいの年月がたったのだろうか?僕は訳も分からず連れられたこの空間で
只管、魔法と言う名の剣術指導を受けていた
「こうだ!こう!よく見ろこの上腕三頭筋の張りを!ココだ!ココを使うのだ!分かるか?」
「は・はい!」
心の中で、分かるわけねーよ。なんて思いながら今日も指導を受ける、何故かって?理由が知りたいなら教えよう
「よし!では、まずは基本の魔術から行くぞ!構えろ!」
僕は剣を構える。
「行きます!」
「おう!!」
全力で振りかぶりシアンさん・・・シアンの野郎の脳天に殺意を持って全力で振り下ろす
「しぃぃぃねぇぇぇこ゛ぉら゛ぁぁぁ!!!」
「甘い!!!」
体が吹き飛ぶ、まるで強風に煽られたのかの様に
「貴様ぁ~!!」
シアンが怒涛を響かせながら吹き飛んだ僕の近くに歩いてくる
「その程度で!」
腹を蹴られる
「陛下から」
腹を蹴られる
「指導をして頂こうなど」
顔面を大きく蹴られる
「1000億光年早いわ!!」
心の中でまたか・・・なんて思いながらも光年って距離じゃね?なんて思いながら
僕は意識を失うのだった
☆
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
「で?こう成ったと言うのかい?シアンくん」
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
「・・・ハッ!見事、陛下のご命令通りの仕上がりでございます。」
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
「ーーん~そうだっけ?、まぁいっか!!檻から出してあげて!」
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す絶対殺す!
コイツだけは!殺す!絶対殺す!必ず殺す!
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
右足を出し、左足を出し、素早く近づく、剣を振りかぶり下ろす
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
水の流れの様に滑らかに繊細に剣先を振る様にそして左肘を軽く引く、斬る事を意識して
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
同時に魔力を使い剣の全てのエネルギーを、断面に集め切り裂く
殺す殺す殺す殺す殺す!殺す!!殺すぅ!!!しぃぃぃぃね゛゛ぇぇ!ご゛ぁら゛ぁ!!
「奥義 流斬騎ッ!!」
ガンッ!と言う音が鳴り響く、届かない、またか?、だが今日こそはコイツを殺す
すぐに左腕を前に突き出し、剣の中心に軸を生み出してテコの原理を利用してエネルギーを生み出し右腕を引く力を加速させる
その力を右の手のひらで受け、今度は右肘を軸として右肩を出し体勢を左構えまで素早く移動させる
自然に剣先が頭の左に来るので、素早く剣に呪術とエンチェントをかける
左肩を押し出す様にして今度は左肘を軸に貯めた剣先を一気に加速させて薙ぎ払う
「奥義 呪斬騎ッ!!」
またも、ガンッ!!という音が鳴り響く、届かない、コイツには今日も届かない・・・あれ?コイツって誰だっけ?
いや、そんな事はどうでもよい、もっと流動的に体を全身を使わなければ、上腕三頭筋の張りが甘いんだ!!
「わぁ!すごい!!剣の腕は達人の域だね!防ぐのも大変だよ!これは!」
「ハハ!何をおっしゃいますか!流石は陛下!指先一つで受け止めているではございませぬか!」
「いや、ほんと、僕もギリギリだよぉ~、うれしいなぁ~」
コイツらは何故こんなにも笑っている?コイツらは何故こんなにも楽しそうなんだ?コイツらは・・・コイツらは・・・何故、何故!!こんなにも!!
「っと、よし!とりあえずは分かったからこんなもんでいいよ!開け!ポルタコスム」
目の前に眩い光が溢れた、距離を取る、分からない事には慎重に対応するべきだ!!と誰かが言っている気がする、こういう時は素早く同時に罵倒する事で様子を伺うだったか?
「てめぇ!この、クーー」
「ハハハハ!!!アタッチ。」
全身の力が抜ける、なんだコレは?これではコイツを・・・こいつ・・・?を・・・
ーーあぁ、なんか僕って最近いっつも意識を失ってばっかりだ
そんな事を思いながら、僕はまたもや意識を失うのであった
・・・ごめんなさい。




