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4話



 新生活が始まってから、一週間が立ち大体の生活の流れができ始めた頃、俺はある問題に直面していた。


「う~む・・・これがこうで・・えと・・」


「どうしたんじゃ?」


「えと・・・これなんですけど・・・」


「ふむ・・どれ?貸してみよ、」


 俺が悩んでいたのはこの通称、魔導銃と呼ばれる物、この世界ではやはり強さと言うものがとても大切らしく、居候が決まった次の日に剣を渡されて驚いたりもした、アルバさんと手合わせをする所かまともに振る事すら出来なかった俺を見てアルバさんは何故か深く悩み、少しして持ってきて渡されたのがこの魔導銃だった


「うむ?何も問題は無いと思うがのう~」


「そうですよね・・でも、何故かこう手にしっくり来ないと言うか、打とうとすると違和感があるんですよ」


「違和感・・とな?」


「はい」


 アルバさんに最初渡された時は魔導銃と言うものは魔弾と呼ばれる魔力の込められた弾に使用者の魔力を一定量追加して打ち出す物で、アルバさん曰く今の俺の魔力はその辺の人より少し高い程度で、10発も打てないらしい、その話を聞いて一日に何発撃てるかで自分の魔力量がどのぐらいか試しているが、7発打ってかなりふらつく?いわゆる魔力切れと言う状態になる日もあれば3発打って魔力切れの感覚になる日もあった、原因がわからないが魔導銃を使う時にこう、言葉であらわしずらし違和感があり、その感覚で減っている量が違う気がする、つまりアルバさんに説明された使用者の魔力を一定量追加すると言う話に矛盾があった。


「ふむぅ・・すまんのわしも実はこれはもらい物でな、ちと、分からんが古いのが原因かもしれん」


「そうですか・・・すみません、そんな大切な物を貸していただいて・・」


「ん?フハハ気にするで無い、それにそいつは変わり者での。捨てたら捨てたでうるさいんじゃ、それとコレはお主に貸したのではなくあげたんじゃ、必要としてる物に譲ったのならあ奴も文句は言わぬじゃろうに、」


「ありがとうございます」


「なーに、気にするで無い、それより坊主、今日はちと出かけるぞ!」


 アルバさんと俺はこの一週間でかなり打ち解けた気がする、一緒に暮らして分った事だが、アルバさんは信じられないほど強い、いや、強いと一言で表せるようなものでは無かった、例えると外見はどう見てもじいさんなのに中身は一流アスリートと言うところか?もしもこの世界でのアルバさんが一般だとしたら、俺はかなり苦労するかと思うが、少なくても魔力についてはその辺より少し高い程度と言われているので、なんとかなりそうではある、


「出かける・・ですか?どこに行くんでしょうか?」


「うぬ、ちぃとばかし食糧庫が乏しくなってきたのでな、その調達じゃよ、」


「あぁ・・すみません・・・」


「うむ。。。またお主は謝るのか、何も謝る事など無いぞ、気にするで無い、」


 社会人として生きてきた俺はもしかしたら、必要以上に謝る事が癖になっていると言う事か?、アルバさん曰くこの世界の人達は確実に自分が悪い時以外は謝罪しないらしい、人に詫びると言うことは、自分の非を認め相手より自分が格下だと認めるという事になるらしい。


「分かりました、何時頃行きますか?」


「そうじゃのう、もうすぐ昼になる故、食後にでも行くとしようかのう」


「はい」


 昼飯を食べ終わった後アルバさんに付いて行って森に入った、俺は魔導銃の他に短剣を渡されてアルバさんは何か古い剣を持ち出して来た、あまり深くまでは行かないらしいが・・・森に入って15分ぐらいすると何かの鳴き声の様な物が聞こえてきた。


「イーシャシャイヤーセー」


「ん・・・?アルバさん!何か聞こえます!」


「ふむ、あれはアザッスの鳴き声じゃな、」


「アザッス・・・あの肉か・・・」


 アザッスと言えば前に食った肉でめちゃめちゃ美味かった記憶があるが・・鳴き声が変すぎる、もっとこうガー! とか ビー!とか・・・ 無いものか・・


「だ・・だいぶ特殊な鳴き声なんですね・・・」


「うぬ、だがお主も食ったじゃろう?美味いんじゃ、から多少の事は気にするで無い、」


「はい・・・」


 やっぱりこの世界でも変だったのかと納得しつつ鳴き声のする方へ進んで行くと、そこには丸々と太った鶏の様な生物がいた、頭の毛だけがやたら長くこちらを睨むような目で見ている、


「アルバさん・・あれ・・ですか?」


「うぬ、良く肥えておるのぅ、あれは美味いぞ。」


 アザッスを見つけてからアルバさんと一言交わすとアルバさんはすぐに剣を抜き走り出した・・・と思ったらアザッスに向けて剣を投げつけた、


「ゴォォォォォトォーォォォー」


「あ・・・アルバ・・さん・・」


 剣はアザッスの首の付け根辺りに刺さりアルバさんはゆっくりと歩いてアザッスに接近し、剣を抜いてためらう事無くアザッスの首を跳ねた、その光景を見た俺は、余りにも慣れない事に吐き気がしてしまう。


「うっ、、」


「うむ、なかなかの獲物じゃの、うぬ?レークスどうした?」


「いえ・・なんでもありません、少し気分が・・・」


「・・・そうか、お主の狩りを目にするのはもしや始めてかの?・・・」


「はい・・」


「うぬ、気持ちは分からなくも無いが、この世界でこれから生きて行くには、早く慣れた方が良いの。」


 慣れる・・・と言っても・・・確かに俺はこの年になるまで何度も肉を食べた事はある、むしろ好物だ、当然料理もした事はある、だが、それは加工された状態を更に加工して食品にしていただけだと言う事を強く感じてしまう、うぅ・・上手く言えないがとにかく生々しい、俺は今まで肉を食べる毎に誰かに代わって貰っていたと言う事か・・当然か・・・


「レークスよ、わしはコイツを一度持ち帰るが、お主はここで少し休んでおるか?」


「え!・・」


「心配はいらぬ、この辺りに強いモンスター所か、襲ってくるモンスターはおらぬからのぅ、」


 確かに、俺がこの世界に来て数時間歩き回った時は、モンスター所か・・鳴き声すら聞こえなかった・・・そう考えるとこの森は随分と安全なのだろう、


「分かりました、少し・・・ここで座って休んでおきます、」


「うぬ、時には一人で考える事も必要じゃろうに、では、行って参る。」


 アルバさんはアザッスの首を埋めてから、首の無いアザッスを担いで家に戻って行った、俺は一人で近くにある木の下に座り体を木に預ける様に休む、思えば、この世界に着てからこうして一人で落ち着いて考える事が出来るのは初めてかもしれない、確かに何度か考える事はあったが、明日すらどうなるか分からない不安が常にあった為今みたいに落ち着いて考える事など出来なかった、そう考えるとアルバさんにはいくら感謝しても足りない気持ちになる、


「俺は・・・いったいこれから・・どうすればいいんだ・・・」


 一人空しく呟く様に出た言葉はそんな言葉だった、一時は諦めてしまいそうな程に先が暗かったが、アルバさんのおかげですくなくても明日や一週間・・近い未来は明るいと思える、だが、1年・・・10年と長い先の事を考えると、この世界にいる今、黒しか浮かばない、


(これから俺は・・・どうすれば・・どう生きればいいんだ?、いや、俺はどう生きたいんだ・・・分からない・・)


 自分でも自分が分からない、一人森で悩む、今までとは文字通り<世界が違う>これから先・・俺は・・・


[現実を見ろ!]


「ん!?」


 何故だろうか・・考えていたら唐突に浮かんだ、昔誰かに言われた言葉を思い出す、確か・・アレは嫌な記憶だったと思うが・・・


(そうか・・・そうだよな・・・! あぁ、とりあえず、生きていくにしても、ここはあの国の様に安全では無いしあの世界でも無い、俺は・・・強く・・強くならないと・・いけない、いや、生きて行けないかもしれない。強く・・強く・・・)


 カータス王国アモル領の聖銀の森で、一人蹲って考え込む・・・ここでの決意が彼自身の運命だけではなく、この世界の運命に大きく影響する事となるとは、彼もまだこの時は気がつかなかった。



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