0-ハジマリ-
めっさ短い。でもよろしくお願いします。今日は11時でしたが次の話からは0時予定。
長い髪を束ね、暗闇の中を一人歩く女がいた。かすかに燃える炎の明かりを頼りにコツコツと音を出しながら階段を下りていく。
軽く息を吐き鉄の取っ手に手をかける。ひやりとして一瞬手を引いてしまったが静かに扉を開け、中を覗く。誰もいないことを確認したあとするりと入り込んだ。
そこに広がるのは広大な本の棚。図書館だ。昼間は監視がついているため自由に読めない本らが夜なら読めるはずだと確信を持ってこっそりと来ている。
ここの歴史など興味はない。気になるのはここ以外の場所についての文献だ。昼にちらりとだけ目に入ってきた、ひとつの本の題名だ。きっと王もこのことは知らないだろう。誰も行かない部屋の隅に無造作に置かれていた本だ。気づく者はきっとここに一日を費やしている私だけだ。
少女は口角を上げるとその本を探す。
――これだ。
炎の明かりを本に近づける。燃やしてしまったら元も子もない。ゆっくりとページをめくりそして見つける。
――……すごい!
体に衝撃が走ったのがわかる。大発見だ。これを記したのはきっとその世界から来た者、だろう。そんなものがいるのかは不明だが。女は思わずほくそ笑む。
いつかこの世界に必ず行く。行き方も書いてある。これを書いた人は書いたあとその世界に戻ったのだろう。これだけわかっていてここにとどまる必要はないはずだ。ここよりかはるかに文明が発達しているという。ここと同じ時が流れる、違う世界の土地――地球という世界に。
感想やその他をもらったら飛んで喜ぶ私をよろしくお願いいたします。