鋼の咆哮、白銀の閃光
――天から、夜を切り裂くような白銀の雷光が降り注いだ。
轟音と共に、ワームの巨体が地面ごと深々と抉られる。シュウが掴み取ろうとしていた獲物は、一瞬にして眩い光の粒子へと変わり、霧散した。
「……汚らわしい。魔の肉に指をかけるなど、人の風上にも置けぬな」
土煙の中から現れたのは、装飾の施された白銀のフルプレートを纏う男だった。
背中には、純白の外套。手にする長剣からは、魔を退ける聖なる波動が立ち昇っている。
『白銀の聖騎士』アルトリウス。
王国最強の騎士団を率い、民からは救世主と崇められる男が、蔑みの色を隠そうともせずシュウを見下ろしていた。
「貴様……俺の獲物に、何をした」
シュウが地面を這いながら、濁った声で問う。
「浄化だ。この地を穢す魔物も、そして、その魔物を喰らおうとする『出来損ない』の貴様もな」
アルトリウスが剣を向けた瞬間、ミーニャがシュウの前に飛び出し、二振りの短剣を構える。
「ちょっと待ちなよ! 私たちが苦労して追い詰めたんだ、横取りはナシでしょ!」
「……獣人か。野良犬の分際で、聖騎士の裁きを邪魔するか?」
場に流れる、ワーム戦以上の緊張感。
エレインは杖を握り直し、蒼白な顔でアルトリウスを睨みつけた。彼女の瞳には、この男に対する強い嫌悪と、それ以上に**「何かを隠そうとする焦り」**が浮かんでいた。
「アルトリウス……。あなたは相変わらず、光を押し付けることしかできないのね」
「エレイン……。貴様ほど高潔なエルフが、なぜそのような『汚物』の片棒を担ぐ。そいつは救うべき人間ではない。駆逐すべき魔物だ」
アルトリウスの言葉は、シュウの胸に深く、冷たく突き刺さる。
彼は魔物を喰らうことで、確かに人間を辞めつつある。それは否定できない事実だった。




