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54:偵察分隊

「ゆるいとはいっても登り坂は結構きついですね」


 馬の生産地として有名なケンジョーへ出向いてついでに近くの温泉でのんびりして、いい感じなら伝令人(メッセンジャー)何人かで職員旅行をしようという話がなぜかオトヤ冒険者ギルド全体に広がってしまい、一般職員を含む俺たち4人での下見ということになってしまった。そしてオトヤを出てから半日も過ぎていないあたりで早々に弱音を吐いたのは普段は受付嬢をしているゼナである。


「オトヤを出てからずっと登り坂ですからな。わたしも遠出は久々なので衰えを感じております」


 こう言うのは同じく同行者で一般職員のブライス。病気で引退した元冒険者の魔法使いで、病気は完治したが復帰せず職員を続けている。ただ一度病気をしたせいか身体には気を配っているということで見た感じはバテているようには見えない。ゼナに気を使っているのであろう。


「私も鍛えてないつもりじゃなかったんですけど、登りばっかりなのはちょっときついです。普通の事務の子たちはもっときついかも」


 さすがに優秀な受付嬢だけあってバテながらもしっかり下見としての役目も遂行している。冒険者と直接接する仕事なので最低限の護身術は学んでいるというからある程度は体力に自信もあったのだろうが、持久力はまた別なのかもしれない。


「途中の広場では毎回休憩が必要かもな。ちょうど次の広場も見えてきた。確か水場も近かったはずだし茶を沸かして休もうか。予備の水筒も満杯にしていこう」


◆ーー◆ーー◆


 緩いが長い坂を上ってヤダイに到着したのはもう日が落ちた時間帯で、ゼナは疲労困憊という様子であった。


「俺はついでに済ませたい用事もあるから、明日一日はそれぞれ自由行動でいいか?」


 俺の提案にゼナは弱々しく片手をあげて賛同を示す。ブライスもやや疲れが見えるが休日ができるのには賛成のようだ。


「女に会ってくるんじゃないでしょうね。浮気は許さないわよ」


「だから別にウーラ(おまえ)とは夫婦でも恋人でもないだろうが。一番近くて飲み仲間な。まあ明日の相手が女性なのは確かだが」


「やっぱり。あたしもついていくからね」


「それは別に構わんが、あまり面白くないと思うぞ」


 なおこの日の晩飯だが「前にマユと来たときに行った鶏料理の店でどうだ」と提案したがウーラからは強く別の店にしようと反対され、海産物の干物類を多く使った店になった。鶏は苦手ではなかったと思うが。


◆ーー◆ーー◆


 開けて翌朝、宿で休んでいるゼナとブライスを置いてウーラと二人でやってきたのはマユの師匠の魔法使いアシュリーの研究室である。


「やあ盗賊君、久しぶりだね。今日はマユは一緒じゃないんだね。そっちの子は初めましてかな」


「こっちは伝令人の新人です。マユは別のパーティーに加わって、今は確か小鬼(ゴブリン)退治の依頼を受けてたと思いますよ。俺が今日来たのは携帯投石紐(スリングショット)でちょっと気になることがあったもので。マユから報告(リポート)行ってませんか」


 俺は前に死霊と遭遇したときに意外なダメージを与えたことを話す。


「なるほど。確かに攻撃魔法といえば基本的には魔力を炎や水、電気などに変化させてぶつけるもので魔力をそのままというのはほとんど無いからな。それが有効だったというのは有り得るかもしれん。報告ありがとう。また何か気付いたらおしえてくれたまえ」


 よくわからないがアシュリーは何か一人で納得してしまった。俺たちも挨拶をして辞去する。


「チャックって意外な人に面識あるのね。実は魔法にも詳しいの?」


 帰りに寄り道で入った店でお茶を飲みながらウーラが感心した顔で話しかけてくる。


「きっかけは偶然携帯投石紐(スリングショット)に使ってる紐を手に入れてしまったことだがな。それもどちらかというとドジ踏んだ方のやらかしだ。知り合いというより観察対象の持ち主みたいな感じだし魔法に詳しいわけじゃない」


「普通の人は魔法の話なんてできないわよ」


「あの時は『もっと詳しいことを』って根掘り葉掘り聞かれたからな。多少はできるようになるさ」


 そんな話をしながら時間を潰して夕方に宿に帰るとゼナも復活していた。


「何かスタミナのつくものが食べたいです」


 ゼナがそういうのでその日の晩飯は若者向けの肉をガッツリ食える店となった。


◆ーー◆ーー◆


 ヤダイから先は逆に緩い下りとなる。ゼナは『楽』と喜んでいるが帰り道には登りになるというのはわざわざ言わなくていいだろう。


 行程は順調でトニッセに到着したのは夕刻早い時間帯だった。事務方組の疲労もそれほどではなかったので一緒に食事に行くことにする。


「この街は落ち着いた感じのお店が多いですな。ヤダイよりちょっとお高めのようで」


 通りを歩きながらブライスが言う。


「大きな治療院があるから患者が集まってくるので強気な価格でもなんとかなるらしい。そういえば前に来たときは外で狩りをして野営して昼間に通過したな」


「慣れない職員が野営は大変ですから、基本は街や村に泊まる想定にしましょう。予算的に安いお店は探しますが。ここのギルドで訊いてみましょう」


 ゼナがトニッセ冒険者ギルド支部の職員と小一時間話し込んで(最後の方では友人のように談笑していた)選んだ店は確かに安くて多人数でも対応可能ないい店であった。

元のプロットが少なめだったんでがんばって膨らましたら逆に予定のとこまで行かなかった。次回ちょいと加速予定。

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