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53:福利厚生

2025/11/23 ミスタイプ修正

「今度のケンジョー行きの仕事だがな、ウーラも連れてけ」


 昨日受けた仕事の詳細を詰めようと出向いた伝令人(メッセンジャー)控え室で代表のダンからそう言われた。


「俺一人でも十分な仕事だと思うが、一応理由を聞こうか」


 どうも最近はギルドの女性陣からの視線が微妙なので正直なところ二人でというのはできれば避けたい状況だ。


「まず一つはウーラの研修だ。ヤコウのギルドでも長距離で大丈夫という鍛え方はしたようだが、まだ地理には詳しくないようだからな。軽めの仕事で実績を積ませたい」


 うん、まあそれは確かに反論する理由はない。


「まずは、ということは他にもあるんだな」


「そうだ。この間『ついでに職員旅行の下見かねて温泉を見てこい』っていっただろ。あれを事務やってた女性陣にも聞かれててな。『女性の視点でどうなのか確かめることも必要でしょう』って強く主張されたんだ。正直言うと男の有志だけで行くつもりだったんだが、ジョウの連れ合いのレーナにも伝わって『男だけで行くなどもってのほか』と女性陣を巻き込んだようなんだ」


「なるほど、レーナは少々嫉妬深い、というかジョウの女癖が信用されていないからな」


「まあそういうわけで『職員旅行』は伝令人の男女ともかなりが参加することになりそうなんだ。全員で行くわけにはいかないから何組かに分けることになるだろうが。それで女性陣からは視察には女性の視点も必要だろうという意見が出てな」


「心情的にはともかく理屈としては納得した。それでウーラの方には話は通ってるのか?」


「そいつは問題ない。ただ今日は別の仕事で隣村まで行ってもらってるんでな。明日の夕方には帰るだろうからまた打ち合わせよう」


 そうしてこの日は一通りの説明を受けて終わりとなった。


◆ーー◆ーー◆


「すまんが更に人数が増えることになった」


 翌日ウーラと連れだってギルドに顔を出したところに開口一番で申し訳なさそうな顔のダンが告げた。


「人数が増えるっていうのは?」


「伝令人担当以外のギルド職員にも話が伝わってしまってな。『それならあたしたちも行きたい』って声が出てきたんだ」


「それを想定してなかったというのは今まではそんなことはなかったのか?」


「そいつについてはチャックにも責任があるんだぞ。お前、遠出した先で土産物をちょいちょい買ってくるだろう」


「ああ。最初は迷惑をかけた詫びのつもりだったが思った以上に喜ばれるのでな」


「そう、喜ばれているんだ。それで特に女性職員の間では他の街や村への関心が高まってしまってな。機会があったら自分でも行ってみたいというのが増えていたところに伝令人の職員旅行の噂を聞いて便乗したくなったということだ」


「それが俺の責任と言われるのは少々心外だな。だがまあ希望者が増えたというのはわかった。それで視察の人間が増えるっていうのか」


「ああ。伝令人担当の職員は内回りや短距離やりつつ事務手伝いしてて事務専業になってしまったのも多いから割と遠出にも慣れてるが、一般職員はそうでもないからな。本当に大丈夫そうかの確認がしたいというのとが一つだ」


「まあそれはそうだな。で、次は?」


「全部署的に予算を出すんならきっちり見積もりをするべきだと会計係から言われてな。そっちの担当も一人同行させるってことなんだ」


「じゃあ追加の人員は旅についてはほぼ素人だっていうのか。ウーラも戦闘力が高いわけじゃないしちょっときつくないか?」


「それならたぶん大丈夫だ。会計係で予定されているのはブライスって男だが、こいつはもともと冒険者上がりの魔法使いなんだ。五年ほど前に一度病気をして冒険者を引退したが計算に強かったんでギルドで雇用してな。病気が治った今でも冒険者に復帰しないで事務方が引き留めてるってやつだから十分戦力になるだろう。健康には人一倍気を使っているから温泉旅行も非常に乗り気だ」


「できれば前衛職も欲しいところだが、たしかに魔法使いの索敵魔法があればかなりを回避可能だな。それであとの一人は?」


「あ、それは私です」


 ちょうどお茶を運んできた受付嬢のゼナが答えた。


「お休みが欲しいと思ってたところだったので。それに何人かまとめて休むなら私が一人いた方がいいですし」


 いつものように落ち着いた口調で淡々と語ってくるのは説得力を感じる。


「人のやりくりについてはそういうものなのかな。それはともかく腕っ節の方はどうなんだ? がっちり守らなきゃならないのだときついが」


「強いとは言えないですけど、まあ護身術ぐらいは一応。受付嬢は荒っぽい方々を相手にすることも多いですから、いざというときにすぐ応援が来るといっても最低限は対応できるように仕込まれてます」


 それはちょっと意外だったが、言われてみれば少々乱暴な相手にも見た目は平然と対応するにはそれなりの自信も必要なのだろう。


「チャックも納得したか。じゃあついでだからブライスも呼んで打ち合わせしようか」

まだ本人登場してないけど新キャラ投入。最初の構想では同行者はウーラだけと思ってたけどウーラと二人旅ってのは前にやったから変化つけたくなった。

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