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47:不老魔女

「あの塀は魔物避けの魔法がかかっているわね」


 コーリーの住処と思われる家に近づくとパーティーの魔法使いマユが塀にかかっている魔法を感知したようだ。


「それってわたしたちにも害はあるの?」


 パーティーのリーダーサラが尋ねる。


「これはダメージを与えるほど強いやつじゃないわ。『ちょっといやな感じがする』ぐらいでも大抵の動物や魔物は近寄らないから」


 それは確かにそうで、なんとなくいやな感じがするのに進んでしまうようでは生き残るのは難しくなるだろう。生き残っているのはいやな感じがしたら逃げてきた奴らだ。確かに近づくにつれてなんとなく不安な感じがしてくるがそういうものと思っていれば問題なく進める。


「あそこが入口みたいね。チャック、あそこに付いてる模様に見覚えあるでしょう?」


 サラに促されて見ると魔除けっぽい怪物の像が乗った門の錠前らしい物体に確かに見覚えのある模様がある。


「ああ、この指輪に彫ってあるのと同じだな。近づけて魔力通せば開くんじゃないかと思うが……魔法使いって夜中に尋ねて平気かな?」


 ダンジョンを抜けるのに結構な時間がかかってしまい、もう丸い月が頭上に位置するようになっている。普通の人なら寝ている時間帯だ。塀の中を(うかが)ってみるが明かりが付いている様子もない。


「うーん、起こして機嫌悪くさせても怖いから今晩は外で夜営して朝になってからにしましょうか」


 サラがそう言うと、突然俺たち以外の声が響いた。


『そろそろ寝ようと思ってたけどまだ起きてるわよ。その近くにいられると警報がうるさいから入ってちょうだい。門は指輪で開くから、入って左手の離れを使っていいわ。詳しくは明日の朝ごはん食べてから聞くから今日はもう静かにしててくれる?』


 驚いて声のする方を見ると門柱の上の怪物像から聞こえたようだ。観察すると口の中に穴があって奥の方まで通じている。


「魔法を使われた感じはないからたぶんただの伝声管ね。あっちが蓋閉めてなければこっちの声も通じると思うけど、今晩は静かにした方がいいかもね」


 マユの意見に反対するものもなく、その晩はできるだけ静かに移動して離れで一泊した。


◆ーー◆ーー◆


「その指輪を持ってきたってことはザビーの後任よね。あいつはどうしたの?」


 離れで簡単な朝食をこしらえて済ませたあとに対面したコーリーは見た目でいうならマユより年下に見える女性だった。マユがいうには「老化抑制の魔法を自力で完成させた凄腕魔法使い」だということだ。一応伝令人(メッセンジャー)の仕事ということで俺が代表で対応しているが外見が幼く見えるほどでどうもやりにくい。


「ザビーは膝を痛めて故郷へ帰りました。あいつが残した書類から俺が適任として選ばれたんです」


「書類? 直接引き継ぎしたんじゃないの?」


「何しろ突然のことで引き継ぎ書類を用意してくれてはいたんですが、どうしても進行中の案件が優先されてしまったようで。申し訳ない」


「まあ事故なら仕方ないわね。じゃあ今回の書類(おてがみ)出してちょうだい」


 コーリーに促されて荷物から封筒を取り出して渡す。慣れた手つきで開封したコーリーはざっと目を通すとこう告げた。


「ちょっと面倒なお願いね。明日までに返信を用意するから持っていってもらえるかしら。待ってる間は離れを使ってもいいし、外に行ってもいいわよ。穴の上にも魔物避けが施してあるから塀の外でもおおむね大丈夫だし」


「おおむねっていうのは?」


「自然に見えるようにあまり手を加えてないから大雨とかで崩れたりもするのよね。最近は天気よかったし点検したばかりだからたぶん大丈夫」


「そういうことなら了解だ。じゃあ狩りとかしてもいいのか」


「狩りもできるのっ? 新鮮なお肉は不足しがちなのよね。ちょっと多めに獲ってもらえるかしら」


「わかった。じゃあティナも借りていいか?」


 横で聞いていたサラに尋ねると許可が出たのでコーリーに挨拶して部屋を出ようとする。と、コーリーに呼び止められた。


「あ、そこの魔法使いの女の子と回復役の男の子、ちょっと手伝ってくれるかしら。返事を書くのに特殊なインクを作りたいの」


 これにもサラが許可を出し、残りの面々は離れに戻って俺とティナはそこから弓矢を持って狩りに出かけた。魔物避けのせいで小動物も見えず獲物は空を飛んで入れる鳥ばかりになったが、二人で一日狩りをして十数羽の成果となった。離れの台所にも各種調味料がそろっていて美味い煮込みができたし、新鮮な肉をたくさん手に入れたコーリーも上機嫌であった。


「二人が手伝ってくれたおかげで作業もはかどったわ。明日の昼までには返信を仕上げるからよろしくね」


「ここを昼に発つとダンジョンを抜けるころには夜になっちゃうんじゃないか。できれば朝に出発したいがもう一泊させてもらえるか?」


「それなら大丈夫よ。ダンジョンを通らない抜け道使えば北の街道まですぐのところに出られるし、そこからヤドーの村なら夜にはつけるはずよ。明日案内するわ」

「高位の魔法使いってのは老人ってイメージがあるんだが、実は見た目若い奴らばかりなのか?」

「そうでもないわよ。老化抑制の魔法を身につけることができるまでに数十年研究した人とか普通にいるから、そういう人はいかにもな外見で100年とか魔法使いやってるベテランになるわね。あんな若いうちに身につけるのはそれこそ数えるほどしかいない天才よ」

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