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24:狩猟体験

2025/04/29 表現微調整

 学園都市ヤダイを出て、次の街は大規模な治療院があることで有名なトニッセである。


「この先しばらくは魔力の流れがいいから治療魔法も使いやすいの」


 というのがマユの説明だった。そんな話をしながら街道を歩いていると休憩所になっている広場が見えてきた。例によって中央に大きな樹が植えられていて、少し離れたところに石が三つ。


「そうだな、この辺なら獲物も居そうだから携帯投石紐(スリングショット)を狩りに使うの見てもらおうか」


「獲物が居そうとかもわかるようになったの?」


「食料を現地調達して荷物を減らしたい伝令人も多いからな。情報が共有されてるし先輩からコツも教えてもらえる。大規模に狩られると困るから伝令人以外には秘密だがな」


 実際はコツどころかはっきり目印が置いてあるわけだが。


「それをあたしが聞いていいのかしら」


「具体的な方法まで教えなきゃ大丈夫だと思う。それにマユなら余計なことはいわないだろ」


 話しながら狩り場の方へと案内する。少し歩いてそれらしい林があったので獲物の気配を探る……とやりかけたところで思い出す。


「そうそう、教えてもらった魔力での『気配感知』だけど、あれを狩りに使おうとすると敏感な獲物は逃げてしまうみたいなんだ。狩りをするには面倒なんだが、なんとかならないか?」


「ああ、あれね。パーティー組んでたときはあたしの探知魔法の方が範囲も広いから先に見つけてたし、こっそり近づきたいときは言えば止めてくれるから気にしてなかったわ」


「俺ってそんなことしてたのか?」


「だから才能あるっていったんだけどね。とりあえず今の気配感知がどんな物かやって見せてくれる?」


「わかった」


 中断していた気配感知を再開し、魔力を飛ばす。俺の場合だと周囲100歩ほどの範囲が感じられるが予想通り数体が逃げていくのがわかる。


「なるほど、だいたい分かったわ。チャックは飛ばしてる魔力が強すぎるのよ。たとえて言うなら大声で叫んでる感じ。これだとたしかに鈍感でない相手なら気がつくでしょうね。遠くまではっきり感じたいって意識でそうなってるんだと思うけど」


「なんとかなりそうか?」


「すぐには無理だけど弱めの魔力を遠くまで飛ばすのとわずかな魔力の変化を感じ取る訓練でなんとかなると思うわ。また今度ゆっくり教えてあげる。とりあえず今はあたしが周囲を探って獲物の場所をチャックに教えるのでいいかしら」


「そうだな。大きめの鳥かウサギ程度の小動物がいるようなら教えてくれ。その程度なら携帯投石紐が通用する」


 俺が答えるとマユは短く呪文を唱える。


「ちょっと離れた川に水鳥が十羽ぐらい居るわね。近くにウサギとかも居るけどさっきので警戒してるようすだから難しいかも」


「水鳥はわりと警戒心薄いんだが仕留めても回収が難しい……そうだ、水面に浮いてる獲物を魔法で回収できるか?」


「物体移動は初歩の魔法ね。もちろん大丈夫よ」


「そいつが狙えるかな。どっちの方向だ」


「左斜め前、距離は120歩ぐらい」


「よし、風上だな。こっちの匂いが届きにくい」


 マユの誘導で川に向かうと蛇行して流れが落ちているあたりに水鳥の群れがいるのが見えてきた。マユにはここで待つように指示を出し、気取られぬよう慎重に近づく。このへんは盗賊(シーフ)として鍛えた技術が役に立つ。十数歩の距離まで近づき、携帯投石紐で狙い、撃つ。


『バシャッ』


 一羽に命中すると同時に他の鳥が一斉に飛び立つ。まあ今回は携帯投石紐の実地使用を見てもらうのが主な目的だから一羽で十分だろう。マユに合図をして呼び寄せる。


「お見事だったわ。なるほど、弓矢よりもかなり自由に姿勢がとれるのね。ほとんど腹ばいだったじゃない」


「紐が引ければいいからな。じゃあ回収を頼む」


 獲物は岸から離れた位置の水面に浮かんでいる。俺一人では回収は難しいが魔法に頼れば簡単だ。岸まで寄せてもらったのをつかんで引き揚げ、その場で羽をむしってざっと下処理をする。取り出した内蔵はきっちり分ければ食える部位もあるが、今はまとめて自然に帰す。


 広場まで戻ったところで本格的に肉にする。


「一羽だったら二人で全部食べちゃう? 保存を考えないならスープでいいかしら」


 俺が解体している間に調理の準備を頼んだマユが訊いてくる。


「この大きさなら食えるだろう。まかせるよ」


「じゃあ終わったところからこっちにちょうだい」


 言われるままに処理の済んだものから渡していく。ようやく全部解体が済んだところでマユの方を見ると鳥の骨まで煮込んでいた。


「じっくり煮込むといいダシが出るんだから」


「それは知ってるが、時間がかかるだろう。夜までに街に着けないんじゃないか」


「そうね、行けても次の広場ぐらいで日が暮れるかしら。今日はこのままここで野営でもいいんじゃない」


 簡単に言われたのでちょっと考える。そういえば最近は単独(ソロ)でやっていて見張りがいない野営は怖いので基本は選択肢から外していた。この先、山道に入ると村も少ないということだから今のうちに勘を取り戻しておくのもいいだろう。


「そうだな。じゃあ今日はここでゆっくりするか」



連日更新。実は前話にまとめて収めたかった分のプロットから長くなったので分割したのが今回分。更に書きかけて後回しにした分も少しあり。もう少し進行速度上げようか。

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