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21:鍛冶手伝

2025/09/28 ミスタイプ修正

「ドワーフの里まで行けるやつはいないか?」


 オトヤの街で道具屋を営んでいるドワーフのフォージが冒険者ギルドへ依頼をもってきた。受付嬢が簡単に用件を聞いたのちに伝令人(メッセンジャー)代表のダンへと引き継ぎ、伝令人の控え室へと入っていく。


「おいチャック、たぶんお前の仕事になるからこっち来て聞いとけ」


 ダンに呼ばれたので俺も控え室に入る。三人がテーブルにつくとフォージが説明をはじめた。


「ちょっと前にイッシの北のダンジョンが拡張しただろ。そろそろ深いところまで行く冒険者も出てきたが、どうも深いところではミスリルを含んだ鉱石が採れるようなんだ。持ってきたならもちろん高く買い取りするんだが、それを使って自分の装備を作りたいっていうやつも多くてな。俺でもできないことはないが得意なやつにまかせたい。それでドワーフの里まで二、三人呼びに行って欲しいんだ」


「伝言を持っていくだけじゃなく、連れて帰ってほしいということか?」


 ダンが確認事項を詰めていく。


「そういうことだ。若いドワーフは別の集落へ修行に出ることも多いから二日ほど待ってもらえば旅支度もできると思う。俺の師匠に頼めば人選もすぐだろう」


「ドワーフを呼ぶのはいいが、鍛冶道具もいろいろ必要なんじゃないか?」


 俺が疑問を口に出すとフォージが答えてくれる。


「俺の店は道具屋をやってるが元は鍛冶屋なんだ。工房の奥には大物も扱える鍛冶場があって今でもときどき使ってるから少し整備すれば鍛冶屋仕事に問題はない。もちろん愛用の槌とかは持ってきた方がいいだろうが」


「なるほど、ではそれほど大きな荷物は持ってこなくていいんだな」


「大きな荷物はないが、ついでにいろいろ持ってきてほしいものはある。鉱石からミスリルをより分けるのはさすがに大変だからミスリル地金のストックも欲しいし、加工する工具の消耗も激しいからな。まあそれはドワーフたちに持たせればいいから注文書だけ持って行ってくれ」


「注文書運びならまあ伝令人の仕事かな。しかし護衛しながらというのはちょっときびしくないか」


 俺の疑問を受けてダンが詳細を詰めていく。


「たしかに一人ではちょっと無理があるな。フォージ、ドワーフの鍛冶屋ってのは自衛できないようなやつはいるのか?」


「いや、うちの里の方針は『武器を作るにはその使い方も知らねばならない』だからな。うちの鍛冶職人ならみんなどんな武器でも一通りの使い方は仕込まれているぞ。まあ実戦経験のあるやつは少ないが、俺も里を出たときは一人だったからな。複数人ならまだ楽だろう」


「そうか、ならば同行者は『護衛』でなくて『案内』でいいな。なにしろ遠距離を可能な人材が足りないのでな。少人数でいけるとありがたい」


「少人数ってことは俺の他にも誰か予定があるのか?」


「メンバーを決めてはいないが、さすがに単独(ソロ)ではきついだろう。ドワーフの里は街道から外れて普通の山道をしばらく歩かないと到着できないからな。一人じゃ休憩も難しい」


 そういえば伝令人になってからの仕事は基本的に街道で行ける街や村ばかりだった。


「とりあえずチャックはこの仕事受けるってことでいいんだよな。いちおう伝令人以外の冒険者たちにも護衛ということで少人数の依頼を出しておこう。十日ほど待って適当なメンバーがでなかったら伝令人から誰かをつける。フォージ、そのぐらいは待てるか?」


「ああ。うちの客には時間がかかるのは伝えている。どうしても急ぎでやってくれって言うやつには他の街の工房を紹介してるしな」


「なら決まりだな。チャックは準備を進めてくれ。フォージは配達する注文書を。他に何かあるか?」


「そうだな。言い忘れていたが俺の師匠は結構偏屈で気難しいんだ。いわゆる職人気質というやつでな。紹介状がわりに俺が打ったナイフの一本でも持っていけ。そいつを見せれば俺の紹介だと確実にわかるだろう」


「そういうことなら左手で扱う防御を主体にした扱いのできるナイフはできないか? 王都で手に入れたんだがどうもイマイチしっくりこなくてな。ちゃんと料金も出そう」


「そういうことなら、まずそのナイフを見せてもらおうか。それからどういう感じで使いたいのか。手持ちの在庫に手を加えれば十日で十分間に合うだろう」


「よろしく頼む。じゃあ預かり所から出してくるが、ここよりも直接フォージの店に持っていった方がいいかな?」


「まだ正式な依頼書を書いていないから俺はしばらくこちらにいるぞ。先に店で待っていてもらってもいいが、まだ店は開けてないからな」


「わかった。それじゃあここのロビーで待っていることにしよう」


「それにチャックがどういう使い方を考えているかというのも実際に動きで見てみたいからな。うちの店先でもできないことはないがギルドの訓練場を使わせてもらったほうがやりやすいだろう」


「そういうことか。じゃあナイフの他に装備品も出してきた方がいいかな。準備してくるからあとでよろしく頼む」

今回はちょっとやり方変えて10話分程度になると思うプロットまとめて組んでから書き始めた。プロット段階でのこの一話分はここのPC版入力欄で約3行。ちょっと2000文字に少なくてあとで書こうとしてた分から一部ネタを使っちゃったけど。



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