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18:注文代行

2025/04/05 接続詞等微調整。

「ウーラ、起きてるか? 朝飯食いに行こうと思うんだが」


「起きてるわよ。ちょっと待ってて」


 港町ヤコウの宿で朝を迎え、隣の部屋をノックして話しかけるとそう返事が返ってきた。やや待ってから扉が開く。


「おまたせ。じゃあとりあえず出ましょうか」


 二人とも宿を引き払い、歩きながら相談する。


「この時間なら少し歩くけど市場近くで新鮮な魚がおすすめよ。それでいいかしら」


「ああ。地元の人間が言うんだから間違いないだろう」


「じゃあ案内するわね。生の魚も食べられるけど、チャックは平気?」


「あんまり生臭いのは得意じゃないな」


「新鮮な魚なら大丈夫だと思うけど、それなら炙った魚にしましょうか」


◆ーー◆ーー◆


 市場付近まで来ると朝とは思えないほどの人がいた。


「店をやってる人は早朝のセリで仕入れて開店までに仕込みをするから、このへんのお店は午前中は大抵忙しいのよ。ゆっくり話すんなら午後の方が狙い目ね」


 そんなことを教えてもらいつつ市場の手前に到着し、メインの道路を少し脇に入ったところにウーラのおすすめのお店があった。今朝の注文もウーラにまかせる。


「タタキっていう調理法でね。塊のまま表面を炙ってから薄く切って食べるの」


 提供されたのは周囲は焼き色がついているが中はほとんど生に見える切り身を多めの香味野菜と茹でた麺とともに皿に盛ったものだった。かかっているタレも香りが強く、魚の生臭さはほとんど気にならなくなっている。


「これもお酒に合うんだけどね。チャックはこれから仕事でしょ。あたしも酒飲んで家に帰ったら家族がうるさいし」


「それは仕方ないだろう。ところで明日の冒険者ギルドへの紹介はどうする」


「うーん、朝は家が忙しくて手伝わされそうだからお昼の鐘が鳴ったら宿の近くにあった広場で待ち合わせでいいかしら。ところでチャックのお届け先は? 知ってるところなら案内するわよ」


「依頼の内容は秘密にすることになってるんでな。道は冒険者ギルドで確認するよ。じゃあ明日の昼に」


◆ーー◆ーー◆


「オットー水産なら市場の手前のでかい建物だよ。市場はわかるかい?」


 昼近くになって訪れたヤコウの冒険者ギルドの伝令人(メッセンジャー)代表はジーナという恰幅のいい女性だった。ここもやはり大きな街らしく伝令人は事務からたたき上げの女性が強いようだ。


「ああ。今朝メシを食いに近くまで行ってきた。間違ったりしないぐらいでかいのか」


「周りにはそんなに大きいのがないからわかると思うよ。小売りもやってて1階の隅が普通の魚屋みたいになってるけど、そのすぐ脇に事務所があるから表から入って構わないよ」


「わかった。ありがとう。ところで伝令人の仕事に興味があるという女性がいるんだが、明日の昼頃にこっちに連れてきてもいいかな」


「それは構わないけど、その子はどのぐらいの仕事ができそうだい?」


「その子って言うにはちょっと年齢いってたかな。野犬に苦労してたから単独だと外回りはきついけど経験者と一緒ならできそうな感じだった」


「わかった。じゃあ説明の準備しとくからよろしく頼むよ」


◆ーー◆ーー◆


「オトヤのグーンさんからですか。毎年注文頂いてたのに今年はなかったからどうしたのかと思っていたんですよ」


 オットー水産の事務所で対応してくれたのは事務担当のマークという若い男性だった。


「『熱を出して寝込んでいて注文が遅れて申し訳ない。今年もよろしく頼む』との伝言でした。あと遅れたお詫びに追加の注文も出したい。予算はいつものに追加で1割を何かおすすめを見繕ってと。追加注文書へのサインは自分が代理人として委託されています」


 一応仕事の相手なら丁寧語ぐらいは使う。


「そういうことでしたらいくつか候補を出しますので選んで頂けますか。奥の商談室へどうぞ。詳しいものに説明させます」


 案内された部屋に向かう途中、後ろからマークの「おーい、姉さん呼んでくれ」という声が聞こえた。建物は大きいが家族経営のようだ。通された部屋で待つこと少し、ノックのあとにいかにも事務という服装の女性が入ってきた。


「失礼します。ご説明させていただきます担当の……」


 そこまで言って固まった彼女に声をかける。


「魚屋の娘だと聞いていたんだが、ウーラ」


◆ーー◆ーー◆


「爺ちゃんの魚屋を父ちゃんが加工もはじめて大きくしたけどあたしにはいまでも魚屋なの。

 っと、そのグーンさんのお店ではどんなお酒が多いのでしょう」


「なるほど、さっきのマークさんが聞いてた跡継ぎの弟さんか。

 グーンの店では強めの蒸留酒(スピリッツ)がよく出ますね」


「そう。奥にいたのが嫁さんでヴィータ。出来のいい子よ。

 蒸留酒だったらこっちの強めに味付けた燻製がおすすめです」


「家族にはもう伝令人希望の話はしたのか?

 あなたの見立てなら間違いないでしょう。注文書をお願いします」


「今晩の食事で話すつもりだったのよ。よかったらチャックも一緒に説明してくれる?

 この予算だと量はこれだけですね。品目と数量確認して署名をお願いします」


「何で俺がウーラの家の夕食に出るんだよ。

 署名はこれでいいですか?」


「お客がいるならお酒が出るでしょ。

 OKです。ご注文ありがとうございました」


「酒のために家族の問題に巻き込まないでくれ。

 では控えは持ち帰るので注文の品はよろしくお願いします」

一応ウーラの正体判明。まだ一個設定を書き切れてないけど。

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