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13:狩猟用具

 狼たちの襲撃を撃退した翌朝、護衛対象である行商人たちはなかなか起きてこなかった。戦闘で負傷した俺は先に休ませてもらい未明からの当番だったが、夜番をしていたもの達によると遅くまで寝られなかったようだ。起きてきたみんなとの相談の結果、昼前ぐらいまでゆっくりしても夕方には次のクオウの村に到着できるだろうと自然に起きるのを待ち、朝食をとったあとは自由行動ということになった。


「時間に余裕があるんなら狩りをしてきてもいいか?」


 護衛パーティーリーダーのサラに訊いてみる。


「あんまり離れて欲しくはないんだけど、近くで獲物が見つかりそうなの?」


「狼がいたってことは、そいつらの獲物になる奴らもいるってことだろ。近くにいると思う」


 伝令人(メッセンジャー)だけに教えられる目印の石でも近くに狩り場があるとなっているがそれは普通の冒険者にも秘密だ。


「それならいいけど、あまり時間はかけないでね。ティナ、あなたもついて行ってくれる?」


「私は構いませんよ。猟は久しぶりですね」


「わかった、ティナの準備ができたら行こう。荷物は預かっておいてくれ」


◆ーー◆ーー◆


「チャック、あなた残りの矢が少ないんじゃない?」


 俺の装備を見たティナが訊いてくる。実際、狼との戦闘で何本か外して回収不能になっているので矢筒には数本しかない。


「ああ、だから大物以外ならこいつを使う」


 俺は腰のポーチから『それ』を取り出す。握りのついた二又の棒に紐がつけられたものだ。紐の中央はやや広がっている。


投石紐(スリング)に似てるけどずいぶん小さいわね。それはなんなの?」


「これはこう使うんだ」


 俺は足元から指先ほどの小石を拾うと紐の中央に挟み、左手で握りを持ってぐいっと引っ張る。紐はそれに応じて伸び、手を離すと小石はビュンと飛んでやや離れた木の小枝を打ち落とした。さすがにティナも驚いている。


「それは始めて見たわね。その伸びる紐は一体?」


「植物性の魔物の蔓に魔物の体液やらなんやらが作用してこういうふうになったらしい。俺も偶然手に入れた」


 実は以前のパーティーでの探索中にうっかり巻き付かれて切り払った蔓が背嚢(バックパック)のベルトに絡んだまま残っていて、その状態で魔物の体液かぶったり魔法をくらったりと散々な目に遭ったあと気付いたらこれができていたのだ。しばらくは使い道も思いつかずしまっていたが、前の狩りで鳥を半分潰してしまったあとにこいつが使えそうとひらめいて作ってもらったのだ。


「面白いわね。それって矢は飛ばせないの?」


「試してみたが重くてろくに飛ばなかった。小石ぐらいじゃないとうまく飛ばないが小動物や鳥が相手なら通用するぞ」


「戦闘には向かない狩猟用装備というわけね。その大きさで矢が飛ばせたなら是非欲しいんだけど」


「狩りにしても大物には使えないからな。本職の狩人には半端な装備だろう。荷物を軽くして小物を狙えればいい伝令人(メッセンジャー)にはいい装備だと思うけどな」


「そうなのね。ところで、さっきの試し撃ちで周りの気配が逃げていったみたいなんだけど」


「……すまん」


 その後、ティナの協力もあってウサギを2匹仕留めることができた。野伏(レンジャー)だけあって弓矢の腕だけでなく動物の生態にも知識が深く、以前に自分が猟をしたときよりも簡単に獲物を見つけてくれたのだ。案内されながらいろいろ教わった話もそのうち役に立つだろう。


 広場に戻ったら肉を切り分けて調理する。食事は朝晩というのが普通だが遠征中は食べられるときに食べておくし、残ったとしても一度熱を通した方が保存性が高い。もっとも今回のウサギ2匹は起きてきた行商人含め総勢9人できっちり食べ尽くしたが。なお残った骨や内臓は広場から離れた場所に始末するのがマナーだ。


 その後数日間は何事もなく、次のクオウの村とその次のケシタの村でそれぞれ一泊して王都までのほぼ中間になるマイケの街に到着した。以前にも来たがここは領主さまが拠点にしているので領内では一番大きな街で飲食や娯楽も充実している。行商人達は狼の襲撃以来神経が張っていたようでもあるし、ここで一日の休息を入れ二泊するということになった。


 ギルド紹介の武器屋で矢を補充したあと、元パーティーの様子が気になって以前の宿泊場所を見に行ってみた。さすがにかなりの日数が経っているので彼らの雇い主であるオガマ村の代官も既に宿泊場所を引き払っていたし、護衛についていたあいつらももういなかった。エースを領主さまへ推薦してもらうという話がうまくいったか、はたまた引き続き代官の護衛になったかもわからないが、そのうちいい噂が聞こえてくることを期待しよう。


 一日の休息で行商人達の顔色も良くなっていたのに安心し、再び王都に向けて出発する。王都は並の街6つ分以上の広さで、昔は本当に6つの街があったそうだ。それが発展拡張した結果くっついてしまったらしく今でも王都の6つの地区名として残っている。マイケから一番近いアカエ地区へは二つの町を経由して到着した。

 スリングショットを持たせたいというのは実は当初からの構想。ゴム紐に相当する素材にどう設定つけるかというのに悩んでた。チートな能力やアイテムは持たせるつもりないけどちょっと変わった装備ぐらいは。しかしこいつの作中での名前はどうしようかな。なんとかこじつけてパチンコと呼ばせたいところだが。


 名前といえばキャラ名は男性をAから、女性をLからアルファベット順でつけてます。悩むポイントが減るので即興で人物増えても対応が早くできる利点が。主人公をソロであちこちの街や村を回るメッセンジャーにしたことで予想以上のペースで名前が消費されていくけど。


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