10.5:番外編 マユ先生の魔法講座
主人公がまだパーティー組んでた頃のお話というテイで魔法の設定をちょいと。10話の途中に組み込もうと思ったら予想以上に長くなったので番外編に。
「奥の方、200歩ほど先にゴブリンがいるわね。こっちに気付いたみたいで奥へ逃げていくわ」
探知の呪文を使ったマユが報告した。
「わかった。じゃあ待ち伏せに警戒しつつ慎重に進むぞ。ボブ、前で奇襲に備えてくれ」
リーダーのエースが指示を出し防御役のボブがエースの前に出て先頭に立ち、回復役のリリと魔法使いのマユが続き、最後尾を俺が警戒しながら進む。
「あいかわらずマユの探知魔法はすごいな」
大声を出さないよう小声で話しかけた俺にマユも小声で答える。
「ありがと。でもチャックだって似たようなことしてるのよ」
「俺には魔法は使えないぞ?」
「意識してないでしょうけど、チャックが今やってる『気配を感じる』っての、魔力を飛ばして周囲を探ってるのよ。チャックだけじゃなくてエースやボブも無意識に魔力を使って身体を強化してるわね」
「そうなのか? 確かに並の人間は身長の何倍も飛び上がったり大熊の一撃に耐えたりはできないが、魔力を使ってるなんてことは聞いたことがないぞ?」
「たとえばだけど、歩くときに手足の関節をどう動かしてるかを意識しちゃうとかえって歩き方がわからなくなったりするわよね。魔法にもそういうのがあるから変に意識させない方がいいのよ」
「っておい、俺もそれ聞いちゃったら使いにくくなるんじゃないのか?」
言われてみるとなんとなく気配が感じにくいような気もしてくる。
「わたしのカンだけどチャックなら魔力をうまく使ってる感じがするからたぶん大丈夫よ。あとで魔力の使い方のコツ教えてあげるから」
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「気配を探るってのは自分が広げた魔力に干渉するものを感じてるっていうが、魔物じゃない普通の動物も感じるよな。魔物と動物ってどう違うんだ?」
「根本的には違いはない、ってのが魔法使いの間では定説ね。人間も含めて生き物はみんな魔力を使って生きてるの」
「それじゃあ魔物と動物の区別はどうなってるんだ?」
「生き物の中でも魔力を使うことが得意な、もしくは生きるためには魔力を大量に使わなければならない、そんな存在を魔物と呼んでいるわ。常に炎をまとっている火蜥蜴とかが後者の分類ね」
「ゴブリンとかオーガーみたいな連中は? あいつら魔法は使わないだろ?」
「あいつらは身体強化に魔力を使ってるタイプね。たまに魔法使う変種もいるでしょ。もともとの魔力が大きいからできるのよ」




