表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
茜・パラドックス  作者: ぷちちゅん
8/14

8.認識

自分の部屋。基調色は水色。壁、シーツ、ぬいぐるみに至るまで水色で統一されている。もちろん、パジャマも例外ではなく、水色のパジャマを着てドライヤーで髪の毛を乾かしていた。

お風呂上がりで、鏡に映るあどけなさが残る顔の頬がほのかに紅い。


(わたしは他の並行世界に紛れ込んでしまったのだろうか)


昼の最上先生の言葉が頭の中でぐるぐる回る。


「しかも、その無数にある並行世界同士で情報のやり取りをしているらしいんだ……」


目の前の鏡を見る。映っているのはわたしだ。違和感はない。部屋にある物の位置も自分の部屋そのものであった。

例えば、並行世界があるとしよう。情報のやり取りをも行われているとしよう。問題なのは、この世界がわたしの知っている世界と少し違うと言う事だ。

昨日、朝食を食べていた……。突然お昼過ぎの教室に記憶が飛んだ。さらに、教室でのみんなの反応。パパのお酒と翌日のママの対応。


「わたし、パンは好きじゃ無いのに」


少しずつズレてると思われる世界。なんなのだろうこの違和感は。


「並行世界ってのは、無数にあって一つ一つはほんの少しずつ異なる世界だ…… 」


再び最上先生の言葉が頭をよぎる。

まさか…ね。でも、今の自分の置かれている状況はそれに当てはまる。恐怖……なのだろうか、心臓の鼓動がドクドクと早まるのが分かる。

ドライヤーのスイッチを切った。それまで五月蝿かった部屋の中に静寂が戻る。微かに一階からテレビの音が聞こえる。


それにしても、悠太。そうだ、あいつが一番変だ。

私の知ってる悠太は寡黙だった。ほとんど喋らない。たまに、 襟がまがっているだの、糸くずが付いているだの。そう言う事でしか会話をしなかった。なのに、なのに昨日からのあいつは……?いきなり目の前に立って、今日のお前は感じが違うと言ってきたり。今日はお昼ご飯一緒に食べようって……。しかも、いつも一緒に食べているって……わたしは、今日初めて食べられたのに。


……このおかしな現象の可能性は二つある。一つは、わたしが最上先生の言っていた、他の並行世界に紛れ込んだ可能性。もう一つは、わたしが記憶喪失みたいなものになった可能性。


「並行世界なんて、どこかの映画か小説みたいな話あるわけ……ない。たぶん。となれば、わたしがおかしくなっちゃったのかも……」


自分が映る鏡をみる。やはりわたしがそこに映っている。自分自身がおかしくなったとは思えなかった。


今日はもう寝よう。ベットに入って、目を閉じ寝ようと努力した。結局、眠りについたのは日付が変わる頃だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ