表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
茜・パラドックス  作者: ぷちちゅん
2/14

2.夕暮れ

夕暮れ。沈みゆく太陽を真ん中に赤黄色の空がまとわりついている様に見える。視界に入る建物も広い公園の大きな池も赤黄色にキラキラと輝いていた。

私はそんなキラキラ輝く池の近くにあるベンチに一人で座っていた。周りではあちらこちらで子供達が走り回りキャーキャー騒いでいるのが聞こえる。


「今日は一体どうなってんだろう」


ワンちゃんを散歩している同じ歳ぐらいの女の子を目で追いながら、今日一日を振り返る。


朝ごはんを食べていつも通りお茶を飲み、ママとお喋りを楽しんでいた。……はずだった。気がついたら教室にいた。


そもそもいきなりおかしかったのよね。疲れてるのかな


教室では数学の授業が行われていた。この時既に午後二時。午前中の記憶が全くない……。

教師の立花に言われて、数学の問題をみんなの前で解いた。問題自体はさほど難しくなかったのに、みんなから異常なまでに褒め称えられた。

午後、最後の授業は体育であった。退屈な長距離走。普通に走っていつも通りトップでゴールした。


ここでもみんな驚いてたな……私、マラソンはいつもトップなのに


髪型や身なりもいつもと違った。ツインテールに青いリボン。スカートは大分短く、座る時も立つ時も、歩く時でさえ注意が必要だった。周りの女の子を見てもそこまで短い子はいない。


変な一日だったけど、でもでも、良いこともあったもんね!


悠太が突然声をかけてきた。ペンが落ちた時じゃない。授業後、みんなが部活に行ったり帰ったりする中、いつもはそんなことしない悠太が、茜の机の前に立って言った。


「なんか、なんだかわからないんだけど。お前、今日、感じが違うな。いつもと違って」

「えっ……違うって……何が? 」


突然の悠太からの問いかけに頬が熱くなるのがわかる。


「な、何でもねえよ。じゃ、またな」


悠太はそう言って、私を横目に見つつ部活に行ってしまった。


感じが違うって何……だったんだろう。それに、またなって、もしかして、明日も喋ってくれるのかな……


頬がまた熱くなる。


「悠太と喋るの、ほんっと久しぶりだったなぁ」


うーんと伸びをした。水面に映る黄金色の夕陽の光が目に入った。


明日は普通の一日であります様に


私は立ち上がると、赤黄色の夕日を浴びながら家路へとついた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ