大統領部隊感状
大統領部隊感状は、戦闘部隊に与えられる最高位の勲章で、第100歩兵大隊はこの勲章を通算3度授与されている。
普通の戦い方や軍への貢献だけでは、この勲章を得る事は難しい。この勲章こそが、日系米国兵の活躍ぶりを物語っていると言っても過言ではない。この勲章を与えられると言う事は、つまり米国大統領がこの部隊の活躍に対して、感謝していると言う事であり、ひいては米合衆国国民の総意と言っても過言ではない。
つまり二世兵達は、米国国民に受け入れられたと言う事でもある。あれだけ差別され卑下されても、ひたむきに努力を続けた甲斐はあったと言える。勿論、そこに至るまでは、膨大な数の犠牲を払って来た事も事実である。だが、二世兵達はここで足を止める訳にはいかなかった。何故ならまだ、戦争が終わっていなかったからである。
大統領部隊感状と言う栄誉が彼等の最終的なゴールではない。あくまで、米国の勝利こそが二世兵達の最大の目的であり、使命だと考えていたからだ。残念ながらそれを達成する為には、まだ多くの犠牲が必要になるだろう。それが分かっているからこそ、勲章を与えられても全く興味が無かったのである。
一時的な喜びはあったかもしれないが、現実を直視すると、そう喜んでばかりもいられない。イタリアが降伏しても、まだ日本やドイツは降伏していなかったからである。しかも、日本は二世にとっては両親の母国であり、二世のルーツとも言える特別な国であった。
せめてもの救いが、日本と直接戦わなくて済むと言う事であった。恐らく上層部が配慮の判断を下したものと思われるが、今はそんな配慮など知るよしも無かった。それほどまでにドイツ軍の反攻は凄まじかった。戦争がこんなにも辛くしんどいものであると言う事を、二世兵達は痛いほど知った。




