装備の中身
歩兵の基本は行軍である。15㎏程のはいのうを背負ってひたすら行軍する。そのはいのうの中身は。シャベル、ピックル、野戦用ジャケット、レインコート、靴下、手袋、帽子、毛布、アルミ弁当箱、ガスマスク、簡易トイレ用品、レーション(野戦用携帯食)、小銃、鉄兜等がどっしりと重なり重みを増す。陸軍の歩兵のスタイルは、現代と昭和初期と差ほど大差はない。
陸軍の歩兵と言う者は、補給地やベースキャンプから離れてもある一定程度の間活動出来る、と言う事が大きな利点である。それを可能にするのがこれ等の装備品である。装備品の充実は、歩兵の命に関わる。
歩兵の任務は一日や二日で終わるとは限らず、時には2~3週間、長いと1~2ヶ月の持久戦に耐えなくてはならない事もある。補給無しと言う過酷な状況下にあっても、はいのうの中の、装備を駆使してサバイバルをしていく。それこそが歩兵の本領である。最低限の装備を積めるだけで精一杯であり、私物を持ち込む余裕は無い。
第100大隊では、補充兵ではなく最初からいたメンバーを「オリジナル」と呼んでいたが、よくオリジナルの兵士が補充兵に対して、荷物は最低限のものにしておけと、アドバイスしていた様である。荷物が重ければ重いほど体力の消耗が大きくなるからである。最低限の装備でクオリティを重視する。それこそが歩兵の本領である。
たかが歩兵の持ち物だと思う事なかれ。このはいのうに詰まった装備こそが兵士の命を守る役目を果たすのだ。




