理解しあう同胞達
訓練がオフの休みの日である週末は、ハワイ兵はジェロームとロウアー(共にアーカンソン州)の収容所を訪問した。その時の感想をハワイ兵であるマイケル・テイラー一等兵は、こう語る。
「同じ日系人でも、ハワイでは強制収容所に入れられる事など無かった。初めて強制収容所を見た時は刑務所かと思った。しかしそれが、全くの別物である事に気付くのに時間はかからなかった。米国本土兵のほとんどが、こうした施設から来ていると知った時、価値観が180度変わった事は確かである。彼等もまた、厳しい環境から志願している。そう思ったら、尊敬の念がどんどんわいてきた。」
同じくハワイ兵のヤマグチ・ウェールドス二等兵もこう語る。
「収容所の現実は、一種のカルチャーショックであった。配給制で微々たる労働報酬しかもらえず、こき使われる。同じ日系兵でも、ハワイ兵と本土兵ではその大変さが全く違った。その時本土兵に対する見方が180度変わったよ。良い経験をさせて貰った。」
米国陸軍上層部としては、あえて本土兵が強制収容所の出身である事実を隠していた訳ではない。たまたま、それを言う機会を逃していたと言う方が正しい。結果的にそれを上手く利用したとも言えるが、いずれにしても本土兵とハワイ兵の仲を取り戻し、理解しあう同胞達を見ていると、この事実をハワイ兵に公表した事は、成功であったと言えるのかもしれない。
収容者達が二週間分の配給を貯めて、来客であるハワイ兵にご馳走してくれると、ハワイ兵達はつぶさに本土兵はこの様な酷い状況や境遇から"志願"したのであると思うと、それまであった負の感情は一切消えて、尊敬の念が生まれ、それ以降は、わだかまりもすっかりと消えた。結果的には上層部の方法が成功したと言えるだろう。




