日系青年の悩み
優等生だった春彦にも悩みはあった。それは、父についていき日本に行くか、ハワイに残り夢の続きを見るかと言う大きな選択であった。
日本に行ってしまえば恐らく、ニュースキャスターに成ると言う夢は叶えられない。しかし、日本に行けばそれ以上のやりがいのある事が見つかる可能性もある。何より父の祖国である日本に興味が無いわけでは無かった。父の日本行きは父の都合上確定的だったが、母のスティーブンや弟二人も日本へ行くと言う。
自分だけがハワイに残る事に罪悪感はあった。春彦は父・三郎に相談した。すると、三郎はこう条件をつけてきたのだ。
「春彦、お前がどうしても米国に残りたいと言うなら、ハーバード大学に合格して見せろ。学費や生活費は出してやる。ハーバード大学を出ればお前の目指すニュースキャスターにだって成れるはずだ。」
春彦はうんと頷いた。だがそれは、かなりの難題である。ハーバード大学と言えば天下の名門であり、米国一の大学である。とは言え、米国の大学は比較的入学がしやすく、卒業が難しいとされているが、ハーバード大学ともなれば、門戸は狭いし、そう甘くはない。ハーバード大学の受験に失敗すれば、父の三郎と一緒に日本に行く事になる。
春彦は一生懸命勉強した。元々、勉強は好きだ。だから、苦にはならなかった。そして、ただ入学するだけでなく、どうせならたったハーバード大学の全学生に数%しかいない特待生を狙ってみる事にした。その実力は、春彦にはあった。春彦は勉強漬けの毎日であったが、充実した時を過ごしていた。決して後悔はしたくない。そうした想いを胸に春彦の青春時代は過ぎて行った。そして、遂に合格発表の日を迎えた。果たして、結果は…。




