日系米国人
米国では、明治時代に始まった日本人移民は長い排日の歴史と、第二次世界大戦を経てようやく日系米国人として、世間に認められたと言う経過がある。
その中で、日系米国人の地位向上に寄与したのが、米軍に徴兵された日系二世兵達である。彼等の活躍と、命を睹した信念とそれに基づく行動が無ければ、ジャパニーズ・アメリカンズの人達は今もヘイトクライムを受けてい続けていただろう。
多くの犠牲の上にこそ今日の日系米国人の日常はあるのである。米国は言わずもがなであるが、多民族国家であり、移民の国である。一定の民族(主に白人)が政治も経済も牛耳っている。白人至上主義の名残で、白人の影響力は今尚健在である。
しかし、有色人種やその血を受け継ぐ者でも、実力を示せば、白人社会でも活躍出来る時代になった。その先駆けとなったのが他ならぬ日系二世兵である。彼等のアピールの場こそ戦場であったが、恐らく神は日系二世兵にチャンスを与えるべくして与えたのかもしれない。
戦場と言う極限状態の場で、己のアイデンティティーも不確かなまま、祖国米国の為にあるいは家族の為に日系二世兵は戦った。そして勝利を掴み米国社会での信頼を勝ち取った。
それはまだ、米国に根強くヘイトクライムが残っていた時代の話であり、かの有名な黒人牧師キング氏も多民族の誰一人として、その矛盾や不合理に立ち向かう以前の話である。
日系二世兵が民族独立の大義を果たしたかと言えば、yesともnoとも言えないが、それでも米国と言うヘイトクライムの文化を持っていた国の中で、その壁をgo for broke (あたって砕けろ)精神で米国社会に一石を投じた事に違いは無い。