表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パープルハートフォース・ストーリー~Go for Broke ~   作者: 佐久間五十六


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/120

合流

 さて、1944年4月中旬から5月中旬にかけて、志願兵達はミシシッピー州シェルビー基地で、2月に本土の既存兵で編成した第442連隊戦闘部隊に合流した。その地でまず彼等を驚かせたのは、同州のヘイトクライムであった。

 ミシシッピー州では当時、公共の場で白人と黒人が同席する事が禁じられていた。バスも映画館も、座席は別で、トイレも同様であった。幸運にも、二世兵達は白人待遇を受けたが、生まれて以来ヘイトクライムに苦しんでいた身としては、複雑な気持ちに成った。

 第442連隊は、それから1年余り長期の野営、寒冷地や雨中の戦闘訓練や、不眠不休の行軍等、厳しい軍事基礎訓練を受けた。二世兵の成績は極めて優秀であったが、一つだけ重大な問題を抱えていた。ハワイ出身の兵士と本土兵士が、不仲であった事である。理由の一つは言葉にあった。

 ハワイ出身の兵士が話すのはプランテーションで生まれた「ピジン英語」。これは一種のなまりの様なもので、本土兵には野蛮で下品に響いたし、第一何を言っているのか分からなかった。反対に本土兵の話す標準英語は、ハワイ兵には自分達を散々こき使ったハオレ(白人)の忌むべき英語に響いた。

 それに何より、最大の違いは本土兵が強制収容所から来たと言う現実であった。にも関わらず、ハワイ兵は強制収容所の存在すら知らされていなかった。そこで、上層部は週末にハワイ兵にアーカンソー州のジェロームやロウアーの強制収容者を訪問させる事にした。それにより、収容所の現実を見たハワイ兵は、本土兵の現実を知った。

 収容者達は、二週間分の配給を大事に貯めてハワイ兵をもてなした。本土兵はこんな酷い境遇から"志願"したのかと、ハワイ兵は尊敬の念を持つに至った。それ以降本土兵とハワイ兵のわだかまりは無くなった。この辺りの戦略は米国陸軍の巧みなところであり、ようやく第442連隊戦闘部隊の足並みが揃おうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ