栄光のホワイトハウス
欧州戦の終結から、一年余りたった1946年7月15日ホワイトハウスの芝生には、第442連隊戦闘部隊およそ500人と、トルーマン大統領の姿があった。大統領はこう言った。
「諸君は敵ばかりではなく、ヘイトクライムとも戦った。そしてそのどちらにも勝ったのだ。」
と、スピーチし、日系部隊にっとっては、七つ目となる大統領部隊感状と、特攻大統領賞を受勲した。第二次世界大戦に参戦した二世の忠義が、国のリーダーによって堂々と、宣言された瞬間であった。
しかしこの間に、860人が戦死し、67人が行方不明。9486人もの青年が、名誉戦死傷賞であるパープルハート勲章を受けた。他の部隊にはこれ程評価された部隊は無かった。広島や長崎に原爆を落とした部隊でさえ、ここまで表彰された事はなかった。
トルーマン大統領が示す通り、日系部隊は2つの敵と戦っていた。「米国の敵」と「ヘイトクライム」である。決して恵まれた環境下にいなかった日系人が、さしたる期待もされず、捨て石の如く戦場に投入されたのは、事実である。それでも、多くの仲間を失っても尚、彼等は前に進む事を諦めなかった。戦争は終わった。しかしヘイトクライムは終わらない。
とは言え、二世兵の頑張りは人種の垣根を越えて体を張った。それが無ければ今日の黒人や有色人種の活躍はなかっただろう。二世部隊は決して戦争を望んでいた訳では無い。人殺しを望んでいた訳でも無い。
与えられた状況の中で、ただベストを作っただけである。米国人はよく戦争が好きだと勘違いされているが、そうではない。彼等は戦争が好きな訳では無く、戦いを通じて自らに優勢となる国際秩序を作りたいだけなのである。




