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三つのたまご

紫電「受かっちゃった」


ひとこ「おめでとうー! 研究生からだけど、夢見たドレプロ入りだね! 寮の部屋も一緒になれたらいいね!」


紫電「あ! ひーちゃんも受かったんだ! おめでとうー! これからも頑張ろーな!」


ひとこ「うん! よろしくね!」


『ちょっとちょっと!! 寮なんて聞いてないわ!! イヤよアタシ、テイチョスも来てよ!!』


紫電「……な、なんだ? 喧嘩か……?」


ひとこ「あ、あの子、私の後にオーディション受けた子だよ。受かったんだ!」


???『納得いかないわ! 寮なんてイヤ!』


???『……よく聞きなさい、タオナン。君は今から約一ヶ月前、ワタシに申込用紙の注意事項を確認させただろう? ワタシはそれを『君にもわかりやすい言葉』を用いて説明したと記憶メモリに残されている。君からの返事は、『わかったわ! とにかく受かればいいのね!』だった。ワタシの推測が正しければあの時点で君はワタシの言葉に耳を傾けず、後先を考えずに練習を始めたのだ。そしてそのおかげもあり、審査員の目に止まることができた。だが、この寮生活はドレプロでの正式ドラフトメンバーに入る上では必須となることは君にも伝えていた筈だ。これを耐えなくては君は100%アイドルにはなれない』


???『わからないわ! オーディションに受かったらアイドルなんじゃないの!? アタシはもうアイドルだもん! 寮なんて行かない! 行ーかーなーいー!!』


紫電「何話してるのかわからないけど、修羅場っていうのは伝わるな。あ、おい!」


ひとこ「あなたも受かったんだ! おめでとう! よかったぁ、同じくらいの年齢の子だったから、仲良くしたかったんだ! 私、ひとこ。霜月(しもつき)ひとこって言います。よろしく!」


???「えっ? あ、あぁ、あの鬼の子と話してた……えーっと……」


???「……ワタシの推測が正しければ、彼女は98%の確率で君に好意的なコンタクトをとっている。この場合、挨拶を返すのが正しい対応だ」


ひとこ「……?」


???「え、えぇ、よろしく……ひと、こ……? えっと……アタシ、タオナン」


紫電「お、俺っ! え、えっと……あの……」


ひとこ「よろしくね、タオナンちゃん! この子はオーディションでお友だちになった紫電ちゃん!」


タオナン「え、えぇ、よろしくね紫電……」


紫電「あ、あぁ、よろしくな、タオナン!」


タオナン「えっと……?」


???「幸先がいいじゃないか。君も寮で友達に学ぶべきだ。君達、この子は世間をあまり知らないおてんばな子だが、彼女をよろしくお願いしたい」


ひとこ「はい! こちらこそ、よろしくお願いします!」


紫電「っと、ひーちゃん、そろそろドレプロ研究生歓迎演説が始まるぜ。たっ、タオナンも、その、一緒にいこーぜっ……!」


タオナン「あっ、うん……えっとー……て、テイチョス!」


テイチョス「あぁ、いってらっしゃい。楽しんでくるといい」


タオナン「……うん。わかった! ありがとうテイチョス! 行ってきます!!」


ひとこ「いけないっ! 結構ギリギリだよー! 二人とも! 早く早く!」


紫電「えっあ! 俺の時計10分遅れてるんだった!! ごめーん!!」


タオナン「あ、ちょっと! 待ちなさいよー! アタシ道わかんないわ!! 置いてかないでよっ!! 待ってー!!」


テイチョス「……さて、ご主人様への報告はどうしたものか。60%以上の確率で解雇…少なくとも減給は確実だろう。オーディション合格率はかなり低かった筈なのだが……やれやれ、ワタシとしたことが、聊か彼女を見くびっていたようだ……」

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