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12)再会

 到着した屋敷は、野営用の天幕に囲まれ異様な雰囲気だった。


 執務室代わりの部屋には、懐かしい面々がいた。何日ぶりだろうか。ローズ自身は、攫われてから、どのくらいの日数が経ったのかもわからない。恐ろしくて数えることなど止めてしまっていた。


「ローズ。無茶をしたな。だが、よくやった。グレースとソフィアを助けてくれたことの礼を言う」

アレキサンダーは笑顔だった。見慣れた面々にローズは安堵した。


「ありがとうございました。ただいま帰りました」

「あぁ、そうだな」

アレキサンダーが笑った。


「ローズ」

ローズはロバートに抱きしめられた。

「会いたかった」

耳元で聞こえたロバートの微かな声に、ローズはただ頷いた。


「ローズ、この南の地での慰問も、ご苦労だった。王都から遠い、この南の地での慰問の意義は大きい。よくやった」

「ありがとうございます」


 アレキサンダーは、慣れない土地での、ローズの慰問を労ってくれた。南は王都より、ずっと人と人の距離が近い。ローズを一目見ようとする人々の様子に少し怖さも感じていた。サンドラが隣に座り、顔見知りの近衛兵たちが周囲を囲んでいてくれたから、なんとかなったようなものだ。


「君からも色々聞きたいことはある。今日は、移動で疲れたろう。少し早いが、先に休むといい。ロバート、部屋へ送ってやれ。お前も少し休むと良い」


 アレキサンダーの言葉に、ようやくロバートの腕の力がゆるんだ。

「アレキサンダー様、ローズはともかく、私は。まだ、日も高い頃合いです」

執務室として使われている部屋には書類が山積みだ。確かに、この山となった書類を残して、ロバートが休憩などするわけがない。


 ロバートの腕の中から、ローズはアレキサンダーを見た。先程とは異なり、アレキサンダーは険しい顔をしている。フレデリックから聞いた話のとおりならば、アレキサンダーはロバートを休ませたいはずだ。


「ロバート、私、馬車で少し疲れたの。だから、早くお部屋で休みたいわ」

ローズは少し甘えたように、ロバートの胸に身を任せた。


「わかりました。では、部屋に行きましょう」

ロバートはローズの些細な甘えを拒絶することはない。ロバートの胸に身を任せたまま、アレキサンダーを盗み見ると顔から険しさが消えていた。


「休んでいる間、少しでいいから、そばにいてくれる?」

「えぇ」

言葉と一緒に、ロバートの唇がローズの額に落ちてくる。

「お部屋に行きましょう」

ローズはそっと、ロバートの腕に手を絡めた。ロバートと手をつなぐのでなく、腕を絡めてエスコートしてもらえるようになってから、もう何年にもなる。


 帰ってきたのだ。ローズの胸に、不意に実感がこみ上げてきた。ローズはロバートの腕に頬を寄せた。



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