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チョコレート

作者: 太美

私と彼が付き合いだして、初めてのバレンタインがやってくる。


親友のくるみがチョコを手作りすると言い出した。


「だって、気持ちを伝えるんでしょ。だったら、やっぱり手作りじゃん!」


「えぇ〜っ、だってチョコ溶かして型に入れて完成でしょ!気持ちなんて入ってないじゃん!」


「これだから、素人は困るのよ!刻み方1つで味も変わるし!」


「そうなの?簡単じゃないの????」


「違うよ!一緒にチャレンジしてみる?」


気は進まなかったけど、くるみの熱弁に負けて一緒に作ることにした。


バレンタイン当日は平日で、普通に授業がある。


でも、5限で終わるので、帰りも早い。直接くるみの家で作ることになった。


材料を購入し、緊張しながら作り出す。


「まさか、なみは初めてチョコ作るの?」


「実は、そう!バレンタインはいい思い出ないから、ちょっと抵抗あるな・・・・」


「振られてばっかりって事?」


笑いながらくるみは言った。


中学の時、大好きだった先輩にチョコを渡そうとしたら邪魔された事。


2年の時は、私が風邪を引いて家から出れずに渡しそびれた事。


3年の時はチョコを渡せたけど、彼がチョコ苦手だった事・・・・・・・・


結局、成功した試が無くって、いい思いでもない。


だから、バレンタインはどこか冷めてる。


でも、今年はりょうちゃんがいる。


昨日もメールで"手作りのチョコをあげる♪期待してて♪"と送った。


りょうちゃんからは"すげーっ!楽しみにしてる!"と返事があった。


今年こそはいい思い出になって欲しいと思う、とくるみに話すと大爆笑された。


結局、過去の失敗は私のリサーチ不足らしい。


大笑いされながら、チョコを刻みだした。


刻んだチョコに、温めた生クリームを入れて混ぜる。


キッチン一杯にチョコの甘い香りに包まれる。


絞り口で溶けたチョコを絞りだして冷やし固める。


甘い香りに包まれて、顔までが笑顔になる。


固まった半分に粉砂糖をまぶして、急いで丸める。残りの半分も丸めて冷蔵庫で冷やす。


時間が掛かるので、ここでお茶にした。


「なみは、りょうちゃんと付き合ってどれくらい?」


「えっ!クリスマスからだから、2ヶ月くらい・・・・・」


「そっか・・・・・・・」


「くるみは?」


「半年くらいかな・・・・・・じゃ、なみもそろそろだね。」


「えっ?」


「りょうちゃんと、ちゅぅ〜っ♪」


「えっ!くるみはどれくらいだったの?」


「なみ達の頃にはもう、終わってたよ。」


さすが、くるみの彼は年上だけあって、早い!奥手の私には、手を繋ぐだけでもドキドキするのに。


「くるみの彼は何コ上だっけ?」


「えっ?4コだから、ハタチ!大学生だって。」


くるみは、彼とバイトで知り合ったって言ってた。


私とりょうちゃんは、友達の彼が男子校で、その学際についてきて欲しいと誘われて


のん気に付いていくと、彼女はさっさと彼と消えた。


路頭に迷った私に、声をかけてくれたのがりょうちゃんだった。


丁寧に館内を案内してくれて、笑った顔がすごく優しそうだった。


不思議と気があって、メルアドを交換。


何度かメールが来るようになり、そのうちデートになって付き合いだした。


第一印象の優しそうな感じはそのままで、本当に優しい。


同じ歳なのに、ちょっぴり年上に感じる事もあるくらいだった。


その事を言うと、りょうちゃんは


「俺は、オヤジじゃないぞっ!」とか言いながら、顔をくしゃくしゃにして笑った。


そんな事を思い出してると、自然と笑いがこみ上げてきた。


「ちょっと、なみ・・・・・思い出し笑いなんて、気持ち悪っ!」


「ごめん、ごめん!そろそろ仕上げの時間じゃないの?」


慌てて、冷蔵庫に入れてたチョコを出し、粉砂糖のついてないチョコをテンパリング。


そのまますぐにココアの粉をまぶす。


やっと完成した。


「なみ、どうよ!以外に難しいでしょ!」


「本当!簡単って思ってたけど、かなり手間隙かかるのね!」


「でしょぉ〜っ!なめちゃ困るよ!っていうか、早くもって行かないと・・・・・」


時計を見ると5時前だった。


急いでラッピングしてくるみの家を出た。



「もしもし、私。今ねくるみの家を出たの。近くまで出てきてもらえる?」


「了解、じゃぁ、駅でもいい?」


「うん、じゃぁ、また後でね」


電話を切った。くるみの家からりょうちゃんの最寄の駅までは、2駅。


あっという間に改札を出ると、りょうちゃんが待っててくれた。


「せっかくだし、ちょっと歩く?」


そう言うと、りょうちゃんは手を差し出した。


そのまま、私の手を重ねると上着のポケットに突っ込んだ。


こうすると、りょうちゃんを近くに感じて大好きだった。


「ちょっと歩くと、河川敷に出るけど、そこまでどう?」


頷くと、河川敷に向かって歩き出した。


今日のチョコを作る工程を説明して、結構手間隙掛かった事を話した。


りょうちゃんは笑いながら聞いてくれた。


河川敷に到着。河川敷はランニングコースや、サッカーが出来るくらい広い公園みたいだった。


川の流れを見ながら座れるようにベンチまで設置してあった。


「あっ、あそこ空いてる!」


空いてるベンチに座った。


「はい、チョコ。多分おいしいよ!」


「多分って何だよ!多分って!」


「だって、初めてだし・・・・・時間が無かったから味見してないし・・・・・」


「えっ!味見無しなの?大丈夫かよ!」


「大丈夫!その分、私の気持ちを詰めてみました!」


「それって、やばくないっ?」


「じゃ、あげないよっ!」


「ごめん、ごめん!冗談だって。食べてみてもいい?」


そう言うと、りょうちゃんはラッピングをほどいて、チョコを食べた。


「どう・・・・・・・・・」


もう1コ食べた。


「ねぇ、どうなの?おいしくないの????」


「教えないっ!」


「えぇ〜っ!」


急にりょうちゃんに肩を抱かれた。


その手が少し震えてる。


それでも、力強く私を抱き寄せる。


「ちょっと、どうしたの?」


自然と私の身体は、りょうちゃんに近くなった。


りょうちゃんの顔がすぐ近くにある。


急にドキドキしてきた。


さらに、もう1コりょうちゃんはチョコを口に入れた。


「チョコの味、知りたい?」


言い終わらないうちに、りょうちゃんの顔が近くなる。


どんどん近くなって、私にもチョコの味がした。


甘くて、私の感覚も溶けてしまいそうな甘さ。


りょうちゃんの唇が離れると、私は腕の中にいた。


まだ、チョコの甘さを感じながら・・・・・・・・・







最後まで読んでくださって、ありがとうございます。

今後の参考にしたいので、ぜひ感想を聞かせてください。

よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 俺の書いてる作品(更新は一部しかしてないけど)と同タイトルなので、気になって読ませてもらいました。 とても柔らかな雰囲気の作品でした。 できれば、短編ではなくて連載で、この物語の続きも読んで…
[一言] 読んでてほのぼのしました(^-^)
[一言] この小説ゎ良ぃと思います☆ 私もこんな彼氏が欲しぃなぁと思いました♪ 楽しかったです!☆!
感想一覧
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