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第24話

「やめてーーーーーーー!!」




壁に背を預けたまま、私は、今出る精いっぱいの声を上げていた。そして、そのまま床に崩れ落ちる。体が思うように動かない。それでも、目線をアーロンに向けて語り掛けていた。




「私は、オタクで中二病のアーロンが好き。結城・・・駄目だよ、昔に戻るな。」




胸が苦しい。それは、過去のボロボロだった親友の姿を思い出したためか。それとも、彼の苛めに関わる事に躊躇して、彼の心がボロボロになるまで放っておいてしまったしまった自分の不甲斐なさか。




結城が学校に持ってきたサバイバルナイフを思い出した。


それが、心臓に何度も突き刺さるような痛みが走って、身を捩った。




「うっ・・・はぁあ・・」




「!?」




フローラの異変にアーロンが気が付いたと同時に、ライナードの魔法防壁が粉々に砕け散った。それは綺麗な光景でもあった。キラキラと輝くかけらの粒子の中をアーロンが必死の形相で駆け寄ってくる。




「フローラ!!どうした、苦しいのか?」




アーロンがいつものアーロンに戻っている。それが少し私を安心させた。でも、心臓の痛みは止みそうにない。脂汗が、だらだらと流れ出す。


ライナードが、こちらに近づいてくるのが見えた。そして、ゆっくりと口を開く。




「フローラは、心臓も悪いんだ。ま、体中悪いところだらけだが。これは、心臓の発作を起こしているな・・・不味いな。」


「おい、魔法使い!!何とかしろ!!」


アーロンが焦りを滲ませ叫ぶ。


「おやおや、それが人にものを頼む態度かな・・・アーロン?私は、君同様上から目線の人間が嫌いでね。」


ライナードの言葉に、アーロンはそこでグッと唇を噛みしめた。そして、苦しげに言葉を吐き出す、頭を額ずけながら。




「頼みます。フローラを、助けてください。あなたの妹を助けてください。ライナード王子。」




アーロンの態度に満足したのか、ライナードは子供っぽい笑顔を浮かべて口を開いた。




「あのね、今夜フローラを呼んだのは、昨夜掛けた魔法術式の発動方法を教えるためだったことを忘れちゃったのかい?」


「それじゃあ、フローラは助かるのか?」




「病気の根本は治せない。そんな魔法に興味は持てない。だから、研究にも身が入らなくて・・・昨日の術式崩壊大爆発だ。これでも、お兄さんは、妹の事を想っているんだよ。で、昨夜フローラに刻んだ魔法はとても面白くて興味をひくものだった。」


「だから、何なんだよそれは?」




「人の精気を吸い取り、命の糧とするんだよ。古代魔法王国の遺跡で見つけた石版にこんな物語が刻まれていた。」

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