第2話
「姫様が生き返られたぞ!!」
「反魂の術が成功したんだ!!」
「まさか、成功するとは。しかし、これで多くの犠牲者も無駄ではなかった。彼らは、卑しい身ながら尊い死を賜ったのだ。」
「アーロン様は違うだろう。この国最高の騎士でありながら、姫様のためにその命を捧げられたのだ。奴隷たちと一緒にするものではない。」
「それもそうだな・・申し訳ない。」
「ああ・・尊い犠牲だった。」
なんだ?
やはり、騒がしい。でも、明らかに高校の教室で語られる会話じゃない。この中二臭い会話はなんだ。
明らかにおかしい。それに、僕・・・なんか、固い冷たい床に寝かされてない。今、絶対に教室の椅子に座ってないよね。・・・寝ぼけてるのか、僕は??
うう・・・目を開ける勇気がない。
「姫様が、息を吹き返された!!おおっ、これで、我が国は救われますな。」
「ああ、国は救われた。これで、姫様を差し出せば我が国は安泰ですな。病弱な姫だけに、アメリア国の王子の子が産めるとは思えぬが。」
「それは、それ。早くアメリア国に姫を送り込みましょう。大体、我がオリエント国は大国アメリア国の属国とは言え、歴史はずっと古い。それを、重圧的に・・・姫を差し出さねば税を重くするなど。無礼にもほどがある。」
なんか・・、もう面倒くさい設定満載なんだけど。目覚めたくないんだけど。
「しかたあるまい。アメリア国は軍事国家。王位継承は男子のみに与えられるが、女系家族ときている。現王など、百人の妻を迎えても生まれた男子は二人だけ。しかも、王位継承一位の王子が相当の美女にしか手を出さない偏屈と来ている。アメリア国の王も心配だろうよ。息子には弱いと聞くしな。軍事国家の王が笑えるじゃないか。」
「まあ、そういうな。アメリア国が滅びては、大陸の勢力図が変わってしまう。また、大乱になったらどうするんだ。」
「それもそうだな。」
僕は、ぎゅっと目を瞑ったまま周りの人間の話をこっそりと聞いていたのだが、突然の悲鳴で思わず僕は目を開いてしまった。見えたのは、細かく文様が書き込まれた天井だけ。
やっぱり、僕は仰向けに寝かされていたらしい。
「な、な・・・なんじゃこりゃぁあああーーーーーーー!!」
因みに、この悲鳴は僕のものではない。周りの人々が声の方に注意を向けたために、僕が一瞬目を開いたことには気が付かれなかったようだ。僕は再び、そっと目を閉じた。
「なんだよ、どこだよここは??俺は確か・・・高橋に声を掛けていて、で・・無視されて。ん、それから足元が光りだして。いやいや、そんな事よりこの体はなんだ??俺の体じゃないぞ。なんだよ、このムキムキの筋肉は?いや、まあカッコイイのは評価してもいいけどさあ。ええ・・つうか、ここは・・異世界か??」
いま、『高橋』って言った?
もしかして、中二病君・・・君も一緒に来ちゃったの?
つまり・・・異世界に二人で。
くそ、せめて異世界トリップなら女子と来たかった。