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第17話

「私は、魔法の力にはほとんど恵まれなかったが母は稀有な魔術師だった。その血を色濃く受け継いだのが、第三王子のライナードだ。弟と、母は親子でありながら師匠と弟子という関係でもあったんだよ。その事が・・・幼いころは羨ましくてね。少し、嫉妬を覚えたくらいだ。」




カラン王子が懐かしそうに昔の事を語る。私は、黙ってその話に耳を傾けていた。




「でも、母が病で亡くなった時にライナードは心に大きな傷を負ってしまったんだ。母親と師匠を一度に亡くしてしまったようなものだからね。それからだよ・・・今のように、古代魔法王国の魔法に没頭しはじめたのは。遺跡を巡っては、自室の研究所に潜って、世事には全く関心を向けなくなってしまった。あいつは・・・真っ直ぐで、繊細すぎたんだよ。」




ライナードが、真っ直ぐで繊細な男?


その言葉は、今の彼には似つかわしくないように思えたが時の流れが彼をそう変えてしまったのかもしれない。そう思うと、彼は案外いい奴なのかもしれない。・・・・まあ、疑わしくも怪しいが。




「ライナード兄様にそんな過去があるとは、知りませんでした。でも、これで少し納得がいきました。ライナード兄さんは捻くれて見えるけどその実、優しい人なんですよね?・・・きっと。」


「ん?」


「その・・・昨日の夜、ライナード兄様が突然私の部屋にやってきて『全裸になれ!!』って迫ってきたんですよ。」




「えっ!?」


「えーーー!!」




声を上げたのは、カラン王子だけではなく、側で控えていたアーロンもだった。私がアーロンに視線を向けると、(何故話さなかったんだ!!)と無言のオーラを放っていて思わず視線を避けていた。視線をカラン王子に向けると、彼も『?』の表情でこちらを見ている。これは早々に誤解を解かねばと、話を続けることとした。




「それがですね・・・ライナードお兄様が、私の病気の症状を和らげてくれる魔法を見つけてくれたそうで、それを背中に魔法術式として刻み込んでくれたんです。あ、で『全裸になれ』は魔法術式は服の上からだと上手く体に刻めないからだそうで。それに、術式は背中に施したから、別に本当に全裸になったわけじゃないですからね!!」




カラン王子もアーロンの頬も若干ひきつって見えるのは気のせいだろうか。ちゃんと説明したつもりなのだが。ここで、カラン王子が咳払いを一つして話を進める。




「それで、その魔法術式でお前の病は治るのか?」




期待が籠ったその言葉に返事をするのが少し辛く思えた。




「それが、病自体は治らないそうなんです。ただ、症状を和らげて・・・寿命も少し伸びるらしくて。」


「そうか、病は治らなのか。だが、症状が和らいで寿命が延びるのは朗報だな。ライナードはやはりお前を愛しているのだな。」




そうなのだろうか?昨夜、術式を背中に施しながら彼がニヤニヤ笑っていた事を思い出し、少し不安になる。それでも、彼の過去を聞く限り元は真っ直ぐで心優しい人だったのだ。妹のおねだりで、何度も魔法で指輪を作るようなそんな人。そんな兄を疑うのは・・・たぶん、間違っている。よね???




「フローラ姫、その魔法術式の発動内容など・・・ライナード王子から詳しく聞きましたか?」




アーロンが心配そうな顔でそう聞いてきた。(高橋、あいつを信じて大丈夫なのか?)とその顔には書かれているように思えた。私は、苦笑いを浮かべながら返事をしていた。




「それが、兄様の迫力に圧されて施術を受けちゃって、施術が終わった後に兄様から詳しい説明を受けるはずだったんだけど。なんか、ライナード兄様の自室の研究室が研究途中の魔法術式が暴発して爆発してしまったらしくて、兄様が飛んで帰ってしまって詳しく説明を聞けなくて。今日の夜にでも、改めて聞きに行くつもりなんです。」




私の説明に、兄様もアーロンも頭を抱えている。う・・、何か私はとんでもない失態をしてしまったのだろうか。

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