ルネークス ルート
私はルネークス先生のところへ行った。
「先生、没収した水鉄砲返してください」
手を出すと、先生は何かを念じ、手になにか出現させる。
「はい、今度は校内で使わないよう気をつけてください」
かと思いきや懐から水鉄砲を出され、手渡される。もっと渋られるかと思いきやすんなりだったなあ。
あと引っ掛かるところがあった気がするけどなんだろう。
______
私は前回同様、三人と森の中へいく。
「うわああああ大変だあああ洞窟でドラゴンが暴れてる!」
見知らぬ男子生徒1が洞窟方面からやってくる。
前回と同じくドラゴンの暴走はおきたが、場所が違う。
「なぜ洞窟で!?」
ループしたはずなのに、違うってどういうことなんだろう。
とにかく行ってみよう。と三人が向かった。
_____
―――惨宴<みじめうたげ>の洞窟。アクアルドの鍾乳石とは違って、スタンダードな黒っぽいところだ。
「ドラゴンはどこだろう」
私達は暗がりをライト魔法で照らして進む。
途中キイキイとした変な声にびびるが、蝙蝠だった。
「あ、なんだ蝙蝠か」
ほっとしたのもつかの間、ドラゴンの呻きがきこえてきた。
「あんがい近いな。いくぞ」
そこにいたのは赤っぽいドラゴン。火属性の攻撃をしてくるだろう。
「くらえ水鉄砲!」
しまった中身は空だった。
「どの道そんなの役に立たないだろ」
「わかってたけど……」
ガアアアア”と咆哮が耳や洞窟内に重圧を与える。
「まずいな、早く仕留めないと崩れるかもしれない」
ユベリスは洞窟の内部を気にし、あまり強い魔法を使おうとしない。
ミューティロギアンはまず計算から始めるため攻撃をしない。
コンファルは―――――
なんか骸骨を見て笑っている。
しびれをきらしたドラゴンが暴れだした。衝撃で内部は崩れ、岩が落下してくる。
「きゃあああああ」
「浄化の雨〈スコール・クリア〉!」
ドラゴンがどこからか発生した激しい水圧に沈静された。これは――――
「ルネークス先生!?」
どうしてここにいるんだろう?
「避難してきた生徒からドラゴンが暴れていると聞きました。まさか君たちがいるとは……」
「すっすみません」
「無謀といえばそうですが、おそらく君達なら私が手を出さずとも倒せていた相手でしょう」
「助けてくださってありがとうございます!」
私達は洞窟を出た。
――――
翌日授業も終わり昼になる。
真っ先に公爵を探したアクアルナだが、みあたらないので彼女は先生を慰めることにした。
――――私は先生を励ますことにした。
「先生、元気出してください」
にっこり微笑む。
「いいんですよ気を使わなくて。どうせ私はまともに授業すら教えられないダメ教師ですから……」
――いつも授業は質問攻めだもんなあ。けどそれって……
「でも、先生がそれだけ皆から親しまれてるってことじゃないでしょうか?」
「……え?」
「嫌いな先生に質問なんてしないと思います!」
「アクアルナさん……
なんだか貴女が女神に見えます」
るねーくす は たちなおった !
「というわけで、お昼ご飯なにかめぐんでください」
「……悪女の間違いでしたね」
ルネークス先生からヤキトリの缶詰をもらった。
なんで魚じゃないんだろうか気になったけどありがたくもらった。
まあ先生が元気になってよかった。
――――
「……チッ……あの野郎、余計なことしやがって」
「どうした、荒れているな」
「お前には関係ないだろ」
「せっかく仕組んだ毒が、無駄になったからといって焦るな」
「あの女に関係の無い相手が病院おくりになっちまったよ」
「奴はtargetの従弟、まったく関係ないわけではないようだ」
「そうだろが、狙いじゃなけりゃ無駄なんだよ」
◆
王子に求婚された私は、色々大変な目にあったけどなんとか逃げた。
だけど、チンピラに銃を向けられピンチ。三人が倒してくれて、私は助かった。
だけど、なんだか――――
「アクアルナさん!」
学園へ帰還すると、ルネークス先生が私のところへ走ってきた。
「先生!」
一番に来てくれるなんて、心配してくれたんだ。
――私、なに喜んでるんだろ。
クラス担任の先生なんだし、生徒の心配をするのは普通だよね。
なのに、にやけてしまう。
◆
モヴ王子の一件で金に目が眩んだりしないようにすることにした。
――――なんだか眠れない。噴水の水でも飲もう。
パチャリ、パチャリ。こんな夜中に誰だろう。
いくら学園の近くに池や泉等の水場がないからって噴水で水浴びなんて、しているわけないか。
「……あ」
街灯に照らされる。水をまとって、ピチピチ魚の尾ヒレは跳ねる。美しい金髪の男―――――人魚。
「ってルネークス先生!?」
―――ルネークス先生は人魚だったのだ。
たしかネプテュス星人は水に濡れたら人魚になると言っていたし、だから水鉄砲を没収されたんだ。
「あ―――なんで先生が魚じゃなくヤキトリの缶詰をくれたのかわかりました!」
「……いまその話になるんですか」
「はい、魚の缶詰だと共食いになるからだったんですね!」
「いえ、別に魚は食べますけど」
「……そうですか」食べるんだ。
「このことは誰にも言わないでくださいね」
「え、べつにたいして隠すようなことなんですか?」
「いたずらで水かけられますから」
「あー」
―――昨晩はすごいことがあったなあ。
夢に人魚がでてきて海の中でウロコだらけになって、飛び起きてから目がさえて眠れなかった。
二人だけの秘密なんてトキメクけど言うなって言われると言いたくなる。
まあ大してビッグなニュースじゃないけど、彼に水をかけたくなってきた。
足にどのくらい水をかけるとその姿になるのか、それとも場所は関係なくちょっとでもいいのかとか―――――
ルネークス先生のことが気になってる。
これって恋だよね!?
早朝、寮から校舎へ行く最中――――ブォンブォン!!とバイクゥのエンジン音が鳴る。
「何事!?」
「大変だあああリージェン党が出たぞおおお!!」
――説明しよう!!リージェン党、それはボウソウゾクゥのことである!
「おや、リージェン党ですよフィース先生。懐かしいですね……」
「ええ、昔を思いだしますね」
先生達がなにやら彼らを観て話している。
「あ、ルネークス先生、フィース先生。お早うございます」
「おはようございます」
「……アクアルナさん、おはようございます」
「なんかすごいですね。私リージェン党は初めて見ました」
「今では静かですが、昔はもっとすごかったんですよ」
「ええ、そうですね」
懐かしい目でバイクゥをみている。――というか先生たち、彼等を注意しないんだなあ。
◆
「もうすぐ冬休みです。実家に帰星<きせい>する方は申請してください」
「はーい」
いいなあ。私は帰る実家がないので、うらやましい。
そういえばルネークス先生は実家には帰らないのかな。
後できいてみよう。
――――
「私は大昔に勘当されまして、帰る家なんてありませんよ」
「お前なんぞ勘当<くぁんどぅ>だぁー?」
「そんな感じです」
「なにしたんですか?」
家業を継がずにバンドやりたいと言ったとか許されぬ恋とかかな?
「まあ色々ありましたね~」
なんか今遠い目をしたような。本当になにしたんだろ。
―――そういえば、人魚の少年はどうなっただろうか。
そもそもチーム戦以降、どのくらい前にループしたのかわからない。
もしかしたら人魚の少年と会ったことも無かったことになっているのかな。
「先生、臨海学校っていつありましたっけ?」
既に行ったことになっているのか、またはこれからあるのか、というどちらともとって貰えそうな意味でたずねる。
「臨海学校ですか……そういえば学園長がラウルくんが海行きたい。と言っていた。と一昨日話していましたが……」
「そうなんですか」
「海はちょっと……」
ああ、先生入れないもんね。
臨海学校にはまだいっていないってことか。季節は春から夏、秋まで過ぎてもう冬なのになあ。
もしかしたら、ループするのは人の記憶だけで、時間まではまきもどらないのかも。
だからドラゴンが森じゃなく洞窟で暴れたんだ。
ループしなくても結果的にはドラゴンが洞窟で暴れる可能性もあったってことかな。
「先生、さようなら」
私は教室を後にし、そのまま寮へ戻ることにした。校門から帰星組がぞろぞろと出ていく。
私意外に学園で過ごす人っていないのかな。まあいてもいなくても寮母さんがいるからいいか。
◆
「ごめんねこの寮、今年は使えないのよ……」
――――え。おいおい、そりゃないぜ寮母さんヘーイ。
「なんでですか!?」
「テラマージスが現れたからバルシャンするの」
こんなクソ寒い中、野宿とかマジありえんぞ。
脳内のマイケル(仮)がホームドラマ並みのオーバーリアクションで両手をあげている。
こうなったら今日から野宿!というフッハイしたお姉さま向けマンガをかいてアニメ化しようかな。
ためしに絵をかいた―――あ、これあかんやつや。
「よし、そこに寝場所がある。のーじゅくーのーじゅくー私はのーじゅくー」
わずかな荷物を寮に放置して、そこらに野宿。校舎を閉め出されたので、バルシャンが済むまでそこらに座っていよう。
「ようそこのカワイコチャン」
誰かが私に声をかけた。
「ちょっとオレらと茶でもシバこうや」
ディスイズ・ア・チンピラだ!!
〔チンピラがあらわれた!!アクアルナはどうする?〕
なぐる →たすけをもとめる
私は周りにたすけをもとめた。
しかし、学園前に人はいないので、助けはこない……困った。
〔さて、どうするか?〕
→なぐる たすけをもとめる
「オラァ!」
私は足でチンピラを蹴った。チンピラをみたらこうするのはこの世界の常識だ。
しかし、あたらなかった。絶体絶命のピンチ!――と思いきや、ドカバキっとコミカルな音がした。
チンピラは絵かきうたのようにあっという間にKOされた。
「ルネークス先生!」
にっこり、爽やかな笑顔を浮かべている。先生が物理攻撃できるなんてびっくりした。
「怪我はありませんか?」
「はい!……あ、そうだ先生、校内のバルシャンって終わりましたか?」
「……いま職員室に忘れ物をとりにきたところなので、校内の状況をきかれても話が見えないのですが」
「テラファーマーズが出たとかで、バルシャン焚いてるらしいんです」
「そうでしたか……それで、ここでいったい何を?」
「チンピラに囲まれていましたけど」
「そうでしたね。……ちょっと外へ買い物のへ行くところには見えませんが、なぜレジャーシートが校門前に?」
「あー寮のほうもバルシャンなので、終わるまで待ってました」
「あと5時間もこんなところにいるつもりだったんですか!?」
ルネークス先生が驚いている。心なしかガチガチに寒くなってきた。
どうやら祖先のおかげで毒やウィルスに強いマキュス星人の私でも【ワケノワカラナイヤマイだからカゼというんだぜ病】には勝てなかったもよう!
名前のわからない病をカゼというから対抗できなかったということかな――――
倒れた私はそれからの記憶がなく、目が覚めたときには綺麗な部屋で寝ていた。
ここはチイユ星の病院だろうか?
「目が覚めましたか?」
「先生!私どうしたんでしたっけ」
「突然倒れたんですよ。チイユ星で見てもらったところタダの風邪でした」
「ごめんなさい……」
「いいえ」
「どうしよう私お金なくて病院代払えないんですけど……」
「そっちの心配ですか!?」
「薬は?」
気を失っていたら飲めないしまだ飲んでいないのだろうか。
「注射ですよ。漫画でよくあるアレはないですから」
「……ええ!?」
注射って処方箋や市販の風邪薬より高そうなイメージがある。
負債が……
「たいした金額ではなかったですし、出世払いで構いません」
先生っていい人だったんだなあ……
「……というかここどこですか?」
青緑色の壁、海のような深い青色のカーペットに暖かい暖炉。
頭にある病院のイメージとは違う。もしかしつ―――
「私の家です」
やっぱりだった。ヤバイわーまたパパラッチされちゃう。
「先生、私重くなかったですか?」
「転送装置と浮遊魔法を使いましたから、指一本触れていません」
パパラッチはいないみたいでよかった。
「もう少し時間が経てば、ナーマッドは焚き終わると思いますよ」
あれって何時間待てばいいんだろう?
さすがに外は寒いし、あと少しお世話になろう。
「あれ、この写真」
学園の制服を着た先生?と、たぶんフェルシ様、その隣に私の祖父がうつっている。
「それは学園を卒業したばかりの私です。
隣はフェルシ=ネモニアスと大魔導師サンドルマ。彼等とは昔からの付き合いでした」
先生もだけどフェルシ様や祖父の姿は変化がない。先生が卒業したのは10数年くらい前だろうからあまり気にしなくていいや。
「もしかして先生も祖父の弟子だったんですか?」
「いいえ、私は弟子にはなれなかったんです」
「え、なんでですか?」
先生の強さだとかは私には判断できないけど驚いた。
「昔ちょっとヤンチャをしていまして、リージェン党の総長や舎弟とバイコーンを乗り回していました」
ああ、だからあのとき懐かしそうな顔をしていたんだ。
「よく肩がぶつかった相手やメンチをきってきた相手の胸ぐらを掴んだりしていまして」
典型的な不良だ。
「あるとき親父狩りをしていたらたまたまそれがサンドルマでした」
親父狩り?毛でも狩るのかな。
「まあ当然返り討ちにされました。本職に喧嘩を売るもんじゃないですね」
先生は遠い目をしている。なにがあったかは想像がつくので聞かないでおこう。
「それから私は無事卒業し、ダチ公や舎弟たちは所属するか足を洗うもので分かれました」
「へー」
「それからサンドルマに弟子入り志願をしましたが、きっぱり拒否され、しかたなく薬学魔導師サレインに弟子入りし、箔がついたのでこの学園の教師試験を受けて今にいたります」
サレインが誰かは知らないが、教師になるまでにそんな話があったんだなあ。
それから暫く薬学の勉強をしていると、バルシャンが終わる頃になったので、私は透明になる薬を使って学園へ帰った。
部屋のテレビを見る。あ、再放送やってる。やっぱりハレーポタ子は最高だなあ。
先生が悪い人と見せかけていい人だったってのもツボだし。
賢者の石って綺麗だなあ売ったらきっと値段がつかないくらいなんだろう。
値段がつかないのは困る。値段がつかないなら1コエマドゲルポより価値ないもん。
なんでこの学園にはシークレットルームとか地下室がないんだろ。
―――実はあったりして!探索にいっちゃおう。
というわけで、私は学園の地下を探すことにした。
べっべつに盗むわけじゃなくて、ただ純粋に宝探しにいくだけなんだからね!
まず学園の一階から地下への道をさがす。実験室とか陽に当ちゃダメな絵画を置いてあるらしい部屋にはいかないでおこう。
全然隠れていないから、秘密の'じゃないし違うと思う。
よーしたとえばこの壁の裏だとか、くるりと回転する仕掛けがありそう。
体当たり!アウチ!ただの壁だった。
放心して壁って固いんだ……と当たり前な事を考える。しばらく床に伏してぶつけた肩をさすった。
気をとり直し、さっきのような真似は二度とやらないと誓いつつ、壁を全面調べていく。
――もしかして床かな?でもいくらプライドのない私でもさすがになあ―――
こうなったら本を読もう。なにかあるかもしれない。
私は図書室へいくことにした。
ふと気がついたけど、こういう図書室の埃かぶってそうな奥の部屋とかが怪しいよなあ。
もしかしたら鍵付きの秘密の本とか地下への入り口とかあったりして!とにかくなんでもいいから出てこないものか。
私は手当たり次第に本の名を見ていくが、なにも目新しいものはない。
本にゆっくりもたれ回転扉がないかやってみるが、やはりなにもおきない。
私は足を滑らせ、手前の本だなに軽く膝をぶつけた。すると、本は落ちなかったが、紙がひらりとおちてきた。
それを拾って読むと、ご丁寧に私が探していたものの案内だった。
【右は地下への入り口】
【左が鍵つきの本】
さて、どちらにいこうかな。