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ミューティロギアン ルート


同じマキュスの出身、ミュートロギアン。侯爵家で学年一位、間違いなく優良物件。


せっかくの臨海学校なのだ、彼にアプローチをかけよう。

そう思っていると――――――


「ミス・アクアルナ」

「うわ…ミューティロギアン!」


とつぜん背後にゆらめく眼鏡が光ってびっくりした。


「なんで眼鏡してるの?」

「惑星ミューンの光は目に悪いというからな。ブルゥライトカットだ」

「そうなんだ」


「それよりこれから肝だめしをやるんだが」

「私もいく!」


肝だめしといえば王道デートイベントだし。

――


臨海学校でミューティロギアンとの距離が縮んだりはしなかった。


「あーなにやってたんだろ……」

うなれ私のタックル!


「何をしているミス・アクアルナ」

ミューティロギアンが飽きれながらこちらをみている。


「ラブラブアタックの練習」

「なんだそれは」


「なんか昔、敵を倒すために神に選ばれし男女が愛の力つまりブラブアタックで悪いやつを倒したっていう伝説があったから?」


「そんな伝説聞いたことないが。本か何かの話と混ざってるんじゃないだろうか?」


「そっか。残念。愛の力で敵を倒す英雄って(よく考えると笑える)かっこいいと思ったんだけど」


「愛とはなんだ?」

ミューティロギアンに真顔で訪ねられた。


私も知らない。愛ってなに?



「あ、フェアリーベルだ!」


私たちは教室へ直行した。

―――――――



「よかった……まだルネークス先生は来ていないみたい」


「HAHAHA堅物のミューティロギアンがレディと一緒に登校だなんて珍しいね」

クラスメイトIがあいもかわらずキザに言う。


「まあ偶然だろ?」

クラスメイトAが言う。

「そんなことより、アルベルド。宿題やったか?」

「あ、やってねー」


昨日が臨海学校終了で宿題なんてそんなのいつ出されたの!?


「その顔はもしかしなくても宿題を忘れた顔だな」

「いつ宿題プリント渡されたの?」

「ノートで自習をして提出するだけだ。昨日集会で言っていただろう」


―――集会なんてあったっけ?


「どどどどうしよう」

「今からでも遅くない。早弁の要領で授業の間に何か書いたらいいだろう」


「うーん」


「はーいみなさんいますねー」


「先生ー昨日の授業はなんですか?」



「全クラス合同でチーム戦です」


――――え?またチーム戦?

―――


チーム戦も終わりお昼になる。

コエマドゲルポのない私は水を飲むしかない。


私はミューティロギアンとお弁当を飲むことにした。


「ねえミューティロギアン、一緒にお弁当を飲<たべ>よ?」

これみよがしにくんできた川の水を見せてアピールした。


「……しかたないな、昼食はファミレスのバーミリアンでいいか?」

「いいの!?」


ミューデギロアンが神に見えてきた。

____



「込んでいるな仕方がないからラリッテラにでもいくか……」


私はおごってもらう手前、ミューティロギアンについていくだけだ。


「休みか……しかたないからシャチョサンにでもいくか」


また入れなかった。


「ここもだめか、よろしい……ならばCoCoD<ここで>どうだ!!」


客はパンパンで待ち。


「困ったときはイッタリアーンだ!!」

ドレスコードに制服がひっかかった。


「ここから近いのはドウナルマジデ、ケンタイッキー、テカストップだが……ジャンクフゥドはな……」


最近サンドを食べた私に食べられないものなんてないけど?


「まあ空腹よりはいいか」


ミューティロギアンはケンタイッキーのビスケットゥを買うと、めちゃくちゃ絶賛していた。


私はありがたいことにミューティロギアン神にチキンのお徳用を買っていただき、これを一ヶ月分の食事にすることにした。



王子に求婚された私は、色々大変な目にあったけどなんとか逃げた。


だけど、チンピラに銃を向けられピンチ。


「水門の精霊ネアンディーナよ、対象を満たせ!」


水の竜が唸りを上げ、すさまじい圧力がピストルを壁に叩きつけた。


「ミューティロギアン!!」


アクアルナは目を見開き、ハッとし彼の方へ駆けた。



「どうやら間に合ったようだな」

「オレ達は出る幕なかったけどね」


ユベリス、コンファルが後ろからやってきた。


「二人まで!授業ほって助けに来てくれたの、どうして!?」


「僕は二人がどうしても行きたいというから、引率として着いてきたら

たまたま一番に着いてしまっただけだ」


「フン」

「プッ」

ユベリスはニヤリ、コンファルは笑う。


「?」

―――



後からこっそり二人に教えられたことだけど、ミューティロギアンは真っ先に私を助けに行こうとしていたらしい。


そのことが、とても嬉しい。


「おはよう」

寮から校舎へ歩いていると、ミューティロギアンと会った。


「ああ、お早う……」

なんだか彼の元気がないけど、何かあったのだろうか。


「元気ないね、具合でも悪いの?」

「いや、実家から今度の休みには帰って来いと言われてな」


今度の休みというなら、身内に不幸。というわけじゃないようだ。


私が彼と登校するのは約二度目だけど、前はなんとも思わなかったのに、今は幸福を感じている。



「おはようみんなー!」

――――教室へ入る。


「はよー」「ふあーあ」

みんないつもと変わらない。


ああ、今日も平和だなあ。



ドガアアアアアアアアア”


「なんだ!?」

――――なにやら騒がしい。


みんなざわざわと外に出た。そして、変な黒い霧が学園の周りを覆っているのがわかる。


「なんだこ……ぐっ!?」

急に皆がパタリと倒れていく。


「みんな!?」

やがて、ほとんどの教師や生徒が倒れてしまっている。


ユベリスやコンファル、ルネークス先生やフェルシ先生も、ほとんどの生徒がチイユ星へ搬送されてしまった。


「ミューティロギアン!」


残った数名と合流し、件の対策を練ることに。


「やはり.君も無事だったか」

「なんで私やミューティロギアンは大丈夫なの?」

あのユベリスが倒れるくらいのウィルスなのに。


「純マキュス人は先祖由来で、ウィルスや薬品等が効かない体質なんだ」

「そうなんだ!?」


そういえば、学園の噴水に以前毒が混入していたらしいが、私は飲んでも特になにもなかった。イトコのニルスはチイユ星送りだったが、たしか父親はマキュス人ではない。



「―――というわけで、学園の希望たる我々マキュス星人が、此度の件を請け負うことになった」


いかにもインテリな眼鏡、堅苦しい挨拶。彼はマキュスの王子・カーズマキュスだ。

なんだか、どっかで見たことあるような気がしてならない。


「……彼女の命がかかってるんだ。やるよ」

ドラゴンの羽を生やした生徒会役員で一年のフォドル。


「彼は私が助ける」

科学者の娘ネティシア。

――皆マキュス人だ。こんなにいたんだ。


「まず、あのウィルスは新種と見て間違いない。チイユ星でも手をこまねいている情況だ」

カーズは王子だから仕切る。ちなみに彼の成績は2年の三位である。


そんなのわかりきってるだろ。と皆言いたげだがミューティロギアンを始め皆は余計な口を挟まない。


「というわけで特効薬を作り、このウィルスで学園を脅かし、なにかしらを企む首謀者を捕まえる!」


―――しかし、こんな小人数でどうするのだろう。



「アクアルナ、ネティシアはウィルスを調べ、残りは犯人を探す!」

「了解」



「先輩よろしくお願いします」

「がんばりましょうね!」

彼女はたしか科学者の娘らしいし、きっとなんとかなるよね。


――――ミューティロギアン達、大丈夫かな。


「あの霧はいったいどこからまかれたのだろうか……」


方角から散布されたときに犯人がいた場所を導き出せないかとミューティロギアンは考える。


「学園の外に撒かれたなら、敵は学園には関係のない立場にあるだろうな」

「つまり内部犯の可能性は下がりますね」


現時点で内部犯が自爆覚悟でやったという可能性は、ほぼなくなった。


「学園の外といったら悪星だろう。ドルゼイと考えるのが妥当だろうか」


「しかし、ドルゼイは自ら敵地へ攻めるタイプですよ」

「ふむ……三大悪星の一つダークブルームは政略結婚にたいしての嫌がらせをする星だからな毛色が違うし……」


「プルテノはここから遠い上に、他星を攻めるまでもなく財源の富む星」


(……もしや、カレプレン星?)


ミューティロギアンの脳裏に、モヴ王子がよぎる。


(いや、まさかな……)


三人は念のため、町の住民に聞き込み調査へ出る。




「彼等の症状は微熱と幻覚らしいわ」


ネティシアがチイユ星から連絡を受け、アクアルナに伝える。


「微熱に幻覚……」


微熱といえばケッカァク菌。幻覚はキケンナオクスリが浮かぶ。


「とりあえず想定よりは大事には至らなくて安心したわ」

「はい」


アクアルナはケッカァクに対抗する薬にキケンナオクスリを中和する薬品を混ぜた。


しかし、これが効くかはわからない。もしや違う菌なら体に更なる害が及ぶ確率もある。


健康体のアクアルナが飲んでも、まったくもって意味がない。


「この薬を、チイユ星にもっていく?」

「あ、念のため別の薬もつくっておきま――――」


アクアルナはビィカァを倒し、落下させてしまう。


がしゃり、割れた破片を拾おうとして、切てしまう。


(へー私の血、ていうかマキュス星人の血は青かったんだなあ……)」


ネティシアが驚いている。


「めずらしいね、私の血は水色よ?」


「ターマネギたべてサラサラにしようか……」


アクアルナはその場に倒れる。




「そうですか……」

「ご協力ありがとう」


有力な情報は得られずだった。


「いったん彼女たちのところへいこう」

とカーズが言うので、二人の元へ。


「大変よ!」

「どうした!?」


アクアルナの指から出血が止まらないため、チイユ星へ搬送されたと言うネティシア。


――――ミューティロギアンは理科室を飛び出した。



「ミス・アクアルナ!」

「あ、ミューティロギアン。そんなに慌ててどうしたの」


「君が搬送されたときいて……」

「あービーカーを割っちゃって、指を切りすぎて……治療してもらったし、もう大丈夫だよ」


「そうか、ならいいが……」

「あのさ……」

「どうしたんだ!?」


アクアルナはもじもじ、なにやら言いづらそうなことを言おうとする。


「医療費貸してくれない……?」


(まさかあんな大事になるなんて思わなかったし。普段なら病院なんていけないので、意識のないうちに治療されたのは不可抗力だと思う)


「……しかたないな」

あきれながらため息をつく。




「みんなが元気になってよかった」


あれから何事もなかったかのように、元通りになった。


あれはいったいなんだったのか、そんなことはいい。少なくとも今は―――――



寮に戻ると、寮母さんがこちらにやってきた。


「ちょうどよかった。アクアルナ、あなた当てになにかが届いているよ」

「え……なんだろう?」


部屋に行って箱の中をひらく。ドレスと実家からの手紙。


[アクアルナへ。いい縁談があるので―――]


それは縁談の話だった。もしかしなくとも、祖父の権威目当てのだろう。


相手が男爵より上の場合は子爵家に価値はない。祖父のサンドルマには浮き名を流した相手が幾多もいる。

その中でも正当な後継者というのが私なのだ。


きっと相手は裕福で、箔をつけるためなのだろう。

―――王子の件もあるので金品が恋に絡むようなのは嫌だ。バックレることにする。

====


[ミューティロギアンへ。相手は名のある令嬢です―――]

「……どうしたものか」




「アクアルナ様ですね?」


翌日の夕方、私は見合い相手の使者という男に声をかけられる。


「お迎えにあがりました」


―――最悪、逃げなきゃ。


「乗るんだ!」

「ミューティロギアン!」


―――私は彼の手をとって、ホウキの後ろに乗った。ミューティロギアンの背にしっかりとつかまる。


「どうして助けてくれたの?」


「ある事から逃げようとしていたときに、君が連れていかれる姿が見えてな……一体なにがあったんだ?」


――ミューティロギアンは何から逃げてきたのだろう。


「実は縁談があって」

「そうか……奇遇だな。僕もなんだ」


「え、ミューティロギアンも!?

……私が逃げるのに協力しちゃって大丈夫なの?」

「僕は侯爵家だからな……あまり立場を利用したくはないが、それなりに抑止力にはなると思う」

「そっか……」


さすがに侯爵より上からくるわけないよね。


「それにしても、こう言っては悪いが……」


ミューティロギアンは“没落した家によく縁談なんかあるな”とでも言いたいのだろう。


「家は没落したけど、十中八九お祖父様の名前目当てだと思う」


「……君は大変だな。少なくとも僕より苦労している」

「そんなことないよ。ミューティロギアンって上のほうの家でしょ。私なんて悠々自適にスローライフだよ?」


――どちらが苦労しているかを譲らない。言い合いはしばらく続いた。




「ここまでくれば大丈夫か」


私たちは惑星ジュプスのディーツ=エリアに来ている。惑星の中で最大規模で中心である。


「ジュプスには美味しいウィンナアがあるんだってね」

「ビィルもあるらしいが、ワインヌのほうがいいな」


「それにしても広いね」

「さすがは中心惑星<センタースター>と言われるだけはあるな」


私たちはしばらくジュプスを歩くことにした。


「……後先考えずに逃げてきたけど、この後どうする?」


このまま逃げてるだけじゃ、問題を先送りにするだけだし。

明日は土<サタナス>だけど――――


「そうだな……」


ミューティロギアンが歩きながら考えはじめる。


「そこのお二人さん」

「はい?」


露店の人に声をかけられた。


「カップルだろう? 対になるリングでも買っていかないかい?」


「いやカップルじゃ……」


サフィル石のついた可愛らしい指輪だ。でもお金ないし―――――


「買ってやりたいが、カードしか……」

「カードでもいいよ」


「なら頼む」

「え!?(ミューティロギアンとペアリング……)」


彼がリングを買ってくれて、私に袋を渡した。―――二つ入っている。


「あ、ねえこれミューティロギアンの分じゃない」

「君が想う相手にやるといい」


「……」

「私好きな相手なんて作る予定ないから、ミューティロギアンが持っててよ」


―――好きなんて言ったら彼に迷惑だから。

ううん……この曖昧な関係がくずれないように、言葉を濁す。


「なら仕方ないな」


ミューティロギアンはそれを受けとった。




「そろそろ日も暮れるし、宿でも取るか」

「……あ」


外泊届けを出していなかった。


「どうした?」

「外泊届け、出してなかった!!」

「ああ、うっかりしていた。……これでいいな」


私が慌てていると、ミューティロギアンがタブレッティオで連絡メィルを入れた。

私のぶんも一緒にやってくれたみたい―――



宿の食事はナンダカワカンナイヨ・フルコースセットがきた。


「あ、これ美味しいね」

「そうだな」


マキュス人は食事にたいして興味ないので、たんたんと食べる作業だ。



―――翌日。宿から出ると、吟遊詩人が弾き語りをしていた。昔起きたドラゴンと人の戦いの話をしているようである。


「行こう」

「あ、まって」


――ミューティロギアンはどうして戦いを嫌うのだろう。

なにか嫌なことでもあったのだろうか。聞いてみたいけど、やめておこう。


街を歩いていると、荷車がこちらに向かってきた。


「大変だあああああスパイシェ地方の名物のハラペェニョのつまれた荷馬車が暴走したああああ!!」


「時よ止まれ!!《スタッティム》」


荷車がギリギリのところで止まったが、タルが迫ってきた。

ミューティロギアンは私を飛ばしてタルからかばう。


あわや大惨事、ハラペェニョの入ったタルがくだける。

ミューティロギアンはタルにはぶつからずハラペェニョをあびるだけですんだ。


―――ボワン。スパイシーな煙がミューティロギアンを包んだ。


「ありがとうミューティロギアン……大丈夫!?」


ミューティロギアンのいた場所に、小さなドラゴンがいる。


「あれ?」

ミューティロギアンの姿がない。


「ここだミス・アクアルナ」

「どえええ!?ミューティロギアン!?」

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