ユベリスendB 剣を納める
だんだんフィルの動きが鈍ってきた。
足元がぐらついていた。どうやらあのときの着地で、右足に軽く怪我をしているようだ。
そこを狙えば勝てるけど、私は卑怯なことはしたくない。
「フィル、足を怪我しているでしょ?無理しないで」
―――私は剣を納めた。
「え!?」
しかしフィルの勢いついた刃は止まらず。私に向かってきた。
――――キィン!
ユベリスが間に入り、刀を止めた。
「王女、もう勝負はついたと思います」
「ユベリス……」
フィルはなにも言わずにリンクを降りて去った。
◆
「あのときはありがとう」
ユベリスがかばってくれなかったら、大怪我するところだった。
まさか剣をおさめた直後にフィルが攻撃してくるなんて思わなかったし。
「私、戦いが終わったら言いたかったことがあるんだけど」
「……なんだ?」
「私ユベリスのことが好き!」
「……!」
「じゃあね、言いたかっただけだから、気にしないで忘れて!
ユベリスにはフィル王女がいるのはわかってるから」
―――去ろうとすると、手を引かれた。
「俺は最初に会ったとき、お前に興味はなかった。――だが共に過ごす間にお前という存在を認識するようになっていた。
今日、お前は戦いより試合相手の怪我を考えた。それで、戦いより大切なことがあると気がついた」
ユベリスは今までのことを饒舌に話す。
「……なにが言いたいのかわからないんだけど」
「俺はどうやら、気がつかない間にお前が好きになっていたようだ」
【グッドend・・戦いに負けて恋に勝つ】