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君の想うこと

作者: will
掲載日:2016/04/16

 イヤホンからはすこしテンポの速いサウンドと、すこし低めの声が聞こえる。

 「何聞いているの?」

 急に耳からイヤホンが抜かれ、私に声をかけたのは同じバイト仲間の日野さんだ。明るくて優しくてみんなからの信頼も厚い。

 「人によってはかなり価値があるらしいですよ。私はわからないですけど」

 「へえ、なんて歌手?」

 「歌手じゃないんです。元彼です」

 そういうと日野さんはすこし面白そうに笑う。

 「元彼の歌を聞くなんて変わってるね」

 「一般的にはそうなりますよね」

 「まあ、そうだね」

 別れても未だに聞いているということは未練がましいということになるのだろうか。今でも好きかといえば好きといえるけれど。

 時計を見ると休憩時間が終わりそうなので、私は席から立ち上がる。

 「じゃあ、いきますねー」

 「いってらー」

 私は日野さんに軽く手を振ってから休憩室を出る。

 フロアには十人ぐらいのお客さんがいて、この時間では多いほうだと思う。

 今日は私と日野さんのほかにアルバイトが三人と店長がいる。みんな優しいし、色々と助けてくれてかなりありがたい存在だ。

 ピロロロロ……と入り口からチャイムが鳴る。

 「いらっしゃいませー。何名様ですか?」

 それからは混んでいく時間帯になっていき、息をつく暇もないほどの忙しさになりそのまま私は終了時間を迎えた。

 「ナギサお疲れ様ー」

 「お疲れ様ー。疲れた……」

 バイト仲間とすこし話して、お店を出る。すこしひんやりとした風が私を包む。この季節だと気持ちがいい。

 私は自転車に乗って、保育園に向かう。

 「サキ、ただいまー」

 「ままー」

 私のことを見た途端に遊んでいたおもちゃを放り出して、私の元へ走ってきてくれるサキが可愛くて仕方がない。ふにゃふにゃとてとてと、でもしっかりと私の方向に走ってきてくれる。

 「すみません、いつも遅くまで……」

 「いえいえ、今日はサキちゃん上手にお絵かきできたんですよー」

 「ままー」

 サキが机から白い画用紙を持ってきて私に見せてくれた。

 「ぴょんぴょん?」

 「うん」

 画用紙にはピンクのクレヨンで耳の長い動物が描かれている。幼いながらも丁寧にいろ塗りされていて可愛い。

 「上手に描けたねー」

 私がそういうとサキはにこにこと笑う。そんな笑顔のために私は頑張る。この笑顔を私はなんとしてでも守らないと。

 私は保育士さんにお礼を言ってから、サキの手を引いて自転車に乗る。

 ザーッと音を立てながら自転車坂道を下る。涼しい風が身を切る。とても気持ちがいい。

 「サキ寒くない?」

 「だいじょーぶ」

 保育園からアパートまでは十分ほどで、その間にスーパーに行って晩ご飯の材料を買い、アパートに帰る。アパートはすこし古いけれど他の部屋の人はいい人だし大家さんもいい人だし気に入っている。けして広くはないけれど二人で暮らすにはちょうどいいと思っている。

 サキは部屋に入るなり、机の前で画用紙に絵を描いている。

 朝炊いておいたご飯をフライパンにいれ、卵や刻んだ野菜とともに炒める。同時進行でお鍋で野菜をたくさんいれたスープを作る。今日は野菜たっぷりだ。

 ご飯を作っていると、サキが必ずやって来る。私の服をひっぱり今日は何かと聞く。

 「今日はチャーハンとスープだよ」

 「ちゃーはん!」

 それを聞いたとたんサキは目尻をでれーっと下げて笑う。サキは食べることが本当に好きだ。

 できあがったご飯をお皿に乗せて机に運ぶ。サキにはサキ用の小さいスプーンとフォークを渡す。

 「いただきます」

 「まま、おいしい」

 「よかったー」

 サキはにこにこと笑いながら必死に食べ続ける。

 「ごちそうさまでした」

 私は食器を洗ってからサキをお風呂に入れる。 

 サキはいつだって私の前でにこにこと笑い、ケラケラと笑い声を上げる。あまり赤ちゃんの頃から泣かなかった。あやさなくていいという点ではよかったが、たまに不安になった。サキは本当に何もないのだろうか。悲しいこと、怖いことを抑えているのではないか。何度か怖いことはないかと聞いたけれど、サキは首を横に振るだけだった。

 サキは今幸せだと思ってくれいるのだろうか。父親がいない、親が私だけの状態で。

 君は今どこでなにをしているんだろう。知ろうと思えば、知ることはできるけれど怖くて知ることができないでいる。

 それでも私は悩んでばかりではいられない。サキの前で暗い顔をしているわけにはいかない。

 「おやすみ、サキ」

 「まま、おやすみ」

 真っ暗の部屋でサキと隣り合って布団に寝転がる。

 目をつぶると君の声や顔を思い出す。

 低くて優しくて私を落ち着かせる声。だから今でも辛い時、泣きそうな時は君の声を聞いてしまう。

 君は今どこで何をしているのだろうか。



 「ナギサちゃん見てよこれー」

 休憩室でぼんやりとしていると、日野さんから声を掛けられる。

 「誰ですか? この子」

 「妹ー」

 日野さんのスマホには一人の女の子の写真が表示されている。高校生ぐらいだろうか。派手ではないが可愛らしい顔立ちの女の子だ。

 「日野さん妹さんいたんですか」

 「うん、オレも最近知ったんだけどねー」

 「え、どういうことですか」

 「父親が違うんだよね。妹の母親とオレの母親は同じなんだけど、父親がオレは母親の一回目の夫で、妹は再婚相手の子供。だから最近知った」

 「なんて返せばいいかわからないじゃないですか」

 「ごめんねー、でも可愛いでしょう」

 「可愛いですねー。いつ知ったんですか?」

 「一ヶ月ぐらい前。急に父親が改まって話し始めるからなにかと思ったら、まさかねー」

 日野さんはにこやかに話すけど、どう対応すればいいのかわからない。最近はそういうことも少なくはないのかもしれない。私のような未婚の母親も最近は多いような気がする。

 「暗くしちゃってごめんね。最近サキちゃんどうなの?」

 「日に日に成長していっている感じです。可愛いですよー」

 「ナギサちゃん本当にいいお母さんって感じがするもんね」

 「そんなことないですよ。不安なことばっかりだし……」

 実際毎日不安と戦っている。私は結婚もせずに子供ができ、結婚をしないということでほとんど実家とは縁切れだ。なにかあったらどうしようという不安は絶えず生まれる。

 「ナギサちゃんは誰かと付き合う気はないの?」

 「それは悩んでます。サキにはやっぱり父親って必要なのかなーって。今まで何度か告白はされたんですけど、サキがいるって言ったらだめで」

 私の第一優先はサキだし、サキになにかあれば私はサキを優先する。それをいうと全ての男性は離れていってしまった。

 「そうなんだー。難しいよね」

 「そうなんです……」

 「ナギサちゃんさ、オレと付き合う気ない?」

 「え?」

 「ナギサちゃんのこと好きなんだけど、どうかな?」

 突然の日野さんからの告白に頭が真っ白だ。最後に告白されたのがサキが一歳にならないぐらいなので、久しぶりでどうすればいいかがわからない。しかも今までずっとバイト仲間だと思っていた日野さんに。

 「ちょっと考えてもいいですか。あと、私にはサキがいます。子供がいます。大丈夫ですか? 多分日野さんが想像しているよりも私はサキを優先すると思います。恋愛よりもなによりも」

 「うん、それはわかってる。オレはあんまり子供と接したことは無いけど、それを忌み嫌おうとは思わないよ」

 日野さんの顔は真剣で、いつも笑っている日野さんの顔ではない。

 「じゃあ、オレフロア行くね。返事全然すぐじゃなくていいから。またね」

 日野さんが休憩室から出て行ってから、私はスマホにイヤホンを出し君の声を聞く。

 どうすればいんだろう。日野さんはサキがいても大丈夫だと言ってくれたけれど。サキには父親が必要なのかもしれないけれど。私はいまだに君への思いが捨てきれずにいる。だから今でも安心するからとどこかで言い訳をして君の声を聞く。

 そんな状態で日野さんと付き合うのはルール違反じゃないんだろうか。

 でも、サキには私ひとりではだめなのかもしれない。親にも頼れないし、なにかあればサキの身内は私しかいない。私になにかあればサキは一人だ。

 「どうすればいいんだろう」

 そんな私の独り言は虚しく空気に混ざるだけ。

 ぼんやりしていれば、休憩時間は終わりまた私は働く。頭が回らず失敗ばかりしてしまった。みんなから心配されてしまい、店長からは体調が悪いなら先に帰ったほうがいいと言われ頭を冷やすために十分ほど休憩をもらった。

 お店の外ですこし空を見ていると、ふいに泣きそうになった。

 どうすればいいんだろう。サキはこのままでずっと笑っていてくれるのだろうか。サキは可愛い。産んだことを今までで一度も後悔したことはない。でも、どうすればいいかわからない。怖い。育児放棄をするのではないかと一度母親に言われたことがある。たまにそうなってしまうではないかと自分が怖くなる。ふとした拍子にサキをどこかに置いていってしまうのではないかという思いが頭から引かない。

 「ナギサちゃん大丈夫?」

 「あ、日野さん」 

 「ごめんね、あんなこと言っちゃって」

 「いや、日野さんのせいじゃないです」

 「なにかあったの? 辛いことがあるの?」

 「いや、これからどうしようかなーって考えたら意味がわからなくなって」

 「将来のこと考えるのってしんだいよねー。わかるわかる。オレも未来のこととか考えたくないもん。一生逃げ回りたいね」

 「たまにサキを置いていってしまうんじゃないかって思うんです」

 「んー、ナギサちゃんはそんなことしないと思うな。だって置いていっているならとっくの前にそうなってたと思うよ。それにいつもサキちゃんのことばっかり考えてるし」

 「でも、怖いんです。自分がいつか変なことを考えてしまいそうで」

 「ナギサちゃん最後に遊んだのいつ?」 

 「多分、サキを産んでからは遊んだことないと思います」

 「オレはさ、子供を産んだことも育てたこともないけどさ、多分それだと思うよ」

 「え」

 「ナギサちゃんはあまりにもサキちゃんのことばっかりを考えすぎているんじゃない?

 そりゃ育児放棄も虐待もだめだよ? でもたまには誰かにサキちゃんを預けて遊んでもいいんじゃないかな。よかったらオレ預かるし、母親が家にいるから大丈夫だと思うけど」

 そんな考え頭に全く無かった。確かにサキを産んでから自分のためになにかをしたことがなかったように思う。ずっとずっとサキのことばかり考えていた。

 「ありがとうございます。一度考えてみます。たしかにずっと考えすぎてたのかも」

 「あと、これは余計なことかもしれないけど。元彼と会うことはできないの?」

 「難しいです。本当に悪い人じゃないんですけど。今でもお金ずっと送ってきてくれてるんです」

 「そっかー。あんまり気を張りすぎないでね。バイトのみんな頼ってよ。みんな本当に心配してるんだから」

 「すみません。ありがとうございます。仕事に戻ります」

 私は足早に店内に戻る。みんなに謝ってからフロアに戻った。みんな大丈夫かと心配してくれて申し訳なかった。しっかりしないと。

 「ナギサ大丈夫? 相談乗るよ?」

 「ありがとう、ごめんね」

 お店の中に入ってからこんな会話を十回ぐらいした気がする。本当にみんな心配してくれたんだな。

 「お疲れ様でした……」

 なんとか仕事をし終え私は自転車に乗って保育園に向かう。

 誰かにサキを預けてみようかな。少し一人で考えてみたい。君に会えないだろうか。一度だけでいい。また話してみたい。私はその考えを頭の隅へやる。君とはもう会わないと約束したんだ。

 「ままー」

 「サキ、ただいまー」

 家でご飯を作って、お風呂に入って、サキと布団をしく。サキはふにゃふにゃと笑いながら、今日あったことを話してくれる。本当に楽しそうでよかった。

 サキがこのままずっと笑っていて欲しい。これからどうなるか全くわからないけれど。

 君は今何をしているんだろう。会えないけれど、確かめる方法はある。君は自分でネット放送みたいなことをしていると言っていた。付き合っていたときも、別れた後も一度も見たことはない。でもそれを見れば少しはわかるかもしれない。

 私は布団から出てスマホに手を伸ばし、ネットに繋ぐ。私は君のネットでの名前を検索する。出てきたのは、君のツイッターだった。開くとちょうど今放送をしているところらしい。専用のアプリをインストールして放送を見る。

 「ままー、どうしたの?」

 サキがふにゃふにゃとした足取りで私の足元に近づいてきた。眠そうに目がとろんとしている。

 「今からね、サキのお父さんを見るの」

 「ぱぱ?」

 「うん」

 サキには今までほとんど父親のことを話したことはない。それでもサキは幼いながらにもなにかを思うらしく、聞かれることもない。

 『最近は涼しくて少しすごしやすくなりましたねー。あ、皆さんの地域はどうですか?』

 生というと少し違うのかもしれないけれど、でも久しぶりに生に近い君の声を聞いた。優しい声。いつだって私を安心させてくれた声。

 コメント欄にはたくさんのコメントが流れるようにされていて、私もコメントをしてみようかな、と思った。

 『お、沖縄はまだまだ暑いのかー。むしろ北海道とかどうなんですかねー? 最近僕はチョコレートにはまってます』

 チョコって子供だよ……。スマホの前で私はくすりと笑う。

 「ぱぱー?」

 「うん、そうだよ。サキのパパだよ」

 サキに初めて聞かせる父親の声がじかに会っての声でないことが悲しいけれど、サキは父親に会うことはできない。

 『チョコレートが子供っぽいって? もう、うるさいなー! 結構舌が子供って言われますね』

 《ルーク。さん子供舌っぽい(笑)》《北海道は夜になると寒いよー!》《チョコにはまるwwww》《ルーク。さんってどこ住みなんですか?》《山奥に住んでそうww》……

 『僕は、そこらへんに住んでますよー! 言っておきますけど山奥には住んでないですから! おお、北海道は寒いんですかー。行ってみたいな北の大地!』

 《彼女いるのー?》《イケボだからモテモテそう》《山奥の熊にモテモテとかwww》……

 『どんだけ山奥で住ませたいんですか僕を!』

 君は引越しをしたのだろうか。引越しをしていなければ、この家から二駅ぐらいのところのはずだ。

 《初めてです。今好きな人いますか?》

 ただ知りたいことで、好きな人とか彼女とか。大切な人が新たにできたのだろうか。コメントが多いから読んでもらえるかわからないけれど、送信ボタンを押す。

 『あ、初見さんいらっしゃいですー。なんでもない放送ですが、ゆっくりしていってくださーい! そして初見さんなかなかぶっこみますねー。好きな人はいますねー! ずっと昔から好きな人です!』

 《まじか……。めっちゃ意外》《ルーク。さん好きな人いるんだー》《なんだと……、ルーク。さんには好きな人とか似合わんw》《誰だ誰だ》《どんな人ー?》《ルーク。さんに好かれている人うらやましい(笑)》……

 『え、うらやましいって書いてるひとなんで(笑)なんですかー。どういうことだ! 僕が恋愛してるってそんな意外なのかなー』

 それは誰かとコメントをしてしまいそうになりながらもなんとか堪える。

 今好きな人がいるんだ。昔ってどれぐらい昔なんだろう。

 そんな未練がましいことを考える自分に笑ってしまう。私が知っても考えても仕方が無いことだ。

 君が幸せならいいと思いながら、心のどこかで期待してしまう。今でも好きでいてくれないだろうかと。私のことを覚えていてくれたらいいと。でも、君はもう新しく誰かを好きになったのだろう。

 《告らないの?》《告白したらいけそう》《ルーク。さんに告白されたい》

 『告白はねー、もうできないかな。もう会えない相手だから。会わないって決めたから』

 《え、まてめっちゃ悲しいやん》《ええええええええええええ》《どうした?》《悲しい》……

 『当分恋愛する気になれないかなー。ほら、なんていうか弱ってるところを助けた猫が元気になるまで他の猫は飼わないみたいな……?』

 《一途……》《たとえが謎》《猫のはなしわかるようでわからん》《来たらルーク。さんがマジトーンで恋愛語ってるから何事かと思った》《誰かの成長を見守るって事?》《愛されている人うらやましい》《いい話だけど猫》……

 『んー、まあそんなものですよー。っていうかみんな猫のたとえ酷評じゃないか』

 「ままー? 泣いてるの?」

 「うん、ごめんね……」

 君はきちんと私のことを覚えてくれている。君は優しい人だ。サキが産まれた時本当に喜んでくれたのは君だった。二人でサキの名前を考えた。最終的には一緒にいることはできなかったけど、本当に楽しかった。好きだった。大好きだった。

 涙は私の頬を通り、サキの足元にぽたりと落ちそのまま何度も何度も落ちた。

 サキは不思議そうに私を見つめる。サキの前でこんなに泣いたのは初めてだ。

 「サキ……。サキ……、ごめんね」

 「ままー? ままー?」

 君は優しくて、どうしようもないぐらい優しかった。そのことを忘れていた。

 君がサキが成長するまで、大きくなるまで誰とも付き合わない、恋愛をしないなら私もそうしよう。君がそう考えるなら私もそうしよう。

 「サキのぱぱはとってもいい人なんだよ。優しくてかっこいいんだよ」

 「ぱぱー、えへへへへ」

 サキの頭を優しくなでる。

 遠いような、近いようなどこかで頑張る君がいる。君が私のことを思うなら、私も君のことを思い続けよう。



 「日野さん、ごめんなさい」

 「わかった。ごめんね困らせて」

 私は次の日の朝お店の休憩室で日野さんにごめんなさいと言った。

 「私こそせっかく言ってもらったのにすみません」

 「なにかあったの?」 

 「元彼が、サキが大きくなるまで恋愛はしないって言っていたので私もそうしようと思います」

 「そっかー。それなら仕方が無いね。でもこれからもバイト仲間のとして仲良くしてね」

 「はい、こちらこそよろしくお願いします」

 頭を上げると日野さんがいつものよう笑っていた。



 その数日後、私はバイト仲間の子にサキを預けて一人で出かけている。

 小さな町で、でも私にとって大切な場所。君と会った場所。サキを産んだ場所。君と別れた場所。

 何百段もある階段を上れば、この小さな町が見下ろせる。

 久しぶりに来たその場所は懐かしくて、見下ろした町は少し小さくなった気がした。

 君の想うこと。それが正しくてこのままでいいのかわからないけれど、君の優しさを信じようと思う。

 私は少し小さく見える町に向かって叫んだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  優しいおかあさんです。 [一言]  シングルマザーの難しさが伝わってきました。子供は本気ではない異性を遠ざける役割を果たしているように思います。
2016/04/16 11:50 退会済み
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