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Blog.(無題)【20XX.03.24】 2
生滅変化は命の単位でくくれない。「観察」もまた同様だ。種子による作用は始まりでも終わりでもない。始まりも終わりもない流れの中に、観察という使命が絡み合う。
辿りついた古びたアパートには、幾つかの、ミイラ化した、取るに足らない骨と皮が並び、点いたままのパソコンが静かに息をしていた。そしてそのディスプレイの薄明かりに照らされて、捻じ曲がった植物が生えていた。ところどころ、まだ、肉色の残骸が見える。
私はそれを根元から引き抜いた。繊維が断ち切れる鈍い音が、空気と皮膚を振動させる。私は引き抜いたそれを身体に縛りつけ、身動きに支障のないことを確認した。
部屋を出るとき、汚れた姿見に私が映った。背中のそれと目が合った気がした。
それが身をよじるように暴れだしたのは、私が目的地へ辿りついてからのことだった。




