表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼天の誓約  作者: 天都奈
2/3

転校

 職員室から出た俺は急な転校話に少なからず動揺していた。何と言ってもいきなりの転校である。俺は母親に電話をした。しかし繋がらず、父親も同様だった。

「何でこんな肝心な時に・・・。」

などと愚痴ってみたものの繋がらないものは繋がらない。そんな事をしている内に俺は教室へとたどり着いた。

 教室に戻り先生から貰ったプリントを見て俺は驚愕した。



                 転校の手続きについて

 初夏に入り陽の光が益々強くなって来ている今日の候、皆様はどうお過ごしでしょうか。さて先月決まりました、三原優一君の転校の件ですが、以下の通りになっておりますので、御本人、先生方の御確認を宜しく御願い致します。


               転校日時   7月5日

               集合場所   上野原駅西口コンコース

               集合時刻   午後1時

               

                    その他

 集合時刻については厳守でお願いします。また、住居・家具・家電は当高校が用意致しますが、衣類・貴重品・その他の所有物については持参しても構いません。なお、御一人暮らしの場合(アパート、宿舎は除く)自宅は必ず施錠をし、当高校の窓口にお預けください。

  

                       私立白彩学院高等学校理事長  斎藤 敏明



 色々ツッコミどころはあるが、まず集合時間。現在8時50分。つまり4時間10分で支度しろと言うことである。

(ヤバイ!集合時間まで4時間しかない!!)

 俺は、教科書類をカバンに詰め込むと、教室を出た。出る前に、ふと教室の中を見て短い間だったか世話になったな。と思いつつ今度こそ教室を後にした。

 自転車で坂を下り、俺はいつもよりかなり早い帰路へと着いた。街には平日だからか、サラリーマンやお年寄り、子供連れの親子しかいなかった。

 家に着いた俺は、取り敢えず家にあったボストンバックとキャリアバックに、私服・通帳・小遣い・漫画などを詰め込み、家と自転車に施錠をし家を出た。

 家を出てから1時間半、俺は集合時間前に集合場所である、この上野原かみのはら駅西口コンコースに着いたのだが・・・

「此処でどうしろって言うんだ?」

 プリントを見直すも集合場所しか書いておらず、取り敢えず1時まで待つことにした。

 それにしても、周りは相変わらずお年寄りとサラリーマンと親子連れしかいない。確かに平日の午後だ。逆を言えば俺のような高校生が、こんな時間に私服でここに居ること自体がおかしいのだ。

 そんなことを考えていると1人の女の子が目に入った。女の子と言っても大体俺より頭半分位身長が小さく、肩まで伸びた茶色味かかった髪は内側にハネており、白いミニのワンピースに黒のショートパンツ、ブラウンのブーツを履いた女子高校位の女の子が辺りをキョロキョロしていた。

(なんだか彼女も俺と同じ場違いな感じがするな・・・)

 なんて思っていると、彼女は俺に気付いたのかこっちを見て、持っていた紙を見るとふっと微笑み、こっちにやってきたと思うと、

「ふにゃっ」

 転んでいた。

 いきなり自分の前から消えたのでビックリしたが、直ぐに駆け寄って手を貸した。

「だ、大丈夫?」

「は、はい。大丈夫です。」

 幸い怪我は無いようで、立ち上がると洋服をポンポンと叩き砂埃を落とし、こう言った。

「初めまして。美原悠一さんですよね?白彩学院2年の高瀬知奈です。これから私のパートナーとして一緒に頑張っていきましょう。よろしくお願いします。」

 と言ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ