神の生誕
語り手 神という存在の有無に興味はあるかね 少年
少年 神?そんなものは空想だよ 神は見えないし僕たちの住んでる世界にいないじゃないか
語り手 では何故人は神という存在を生み出したのか?それが空想であろうとも宗教で神を信仰しているではないか?少年は宗教を信じないとでも
少年 そんなのわからないよ
語り手 では私が教えよう 神という存在は昔多くの人間を統治するために作られた道具であったんだ
昔はある人物が人より優れた神という空想の存在を作り出すことによって容易に人を従わせ自分の存在に価値を持たせたのさ
少年 その人は賢いね
語り手 ああ、私もそう思うよ ではなぜそのようなことを思いついたのか気にならないか?
少年 それは人を統治しやすくするためでしょ?
語り手 一理あるが根本的な問いだよ 人は空想であったとしてもその時点で神を生み出した 物質的に存在していなくても神は存在しているという認識を人に持たせていることに変わりはないのだよ そうでなければ現代において神という存在は忘れさられていただろう それは人の中でもよかったのではないのか? 人の範囲でその最も能力が高いものであると説明づければよかったのではないか?でもそうではないのだよ 人を超越した存在を作り出そうとした それはその発案者が人を超越した存在を知っていた もしくは その超越した存在であったのかもしれないと憶測が立てれるだろう? まぁこれも私の仮説にすぎないが とりあえずその発案者は今日まで忘れさられることのない神という存在を生み出したのさ
少年 へぇー
語り手 ではその空想を実現しようとするものがいるのではないかという話だ
少年 そんなの無理に決まっているよ
語り手 なぜそう思えるのだ?
少年 だって今まで神は作りだされていないし、もともと神はいるって思われているから作ろうともされないんじゃないかな?
語り手 そうかもしれんな だが神は空想で物質的には存在しえない ならばそれを具現化しよという者はいるのではないかね?
少年 あーそれはあるかも
語り手 ならば技術を用いて神を創ったものが現れたならば空想が現実になってしまうのではないか?
少年 それは神と呼べるの?人が造ったものじゃないの?
語り手 空想であったとしてもそれは人が神を生み出しているのだから具現化したとて同じことが言えないかね?
少年 まぁいえるかもしれない
語り手 であるならばだ 神はどうすると思う?
少年 わからないよ
語り手 私はこの地球上に住む人 動物 つまり神の下にいる存在を消して1からつくり直すと思うのだよ
少年 うーん
語り手 神は人を超越した存在で自我をもつ ならば人の上に立つ神は自分の都合のいい世界をつくるだろう 人を消滅させ 新たに人を作り 世界をつくる そうすれば神が実在した世界が出来上がる
あたかも人間が生み出したもの、人を統治するための道具ではなく 人よりも前に生まれた人工物ではないと見せることも可能ではないかな?
少年 それはそうだけど… 人はまた神とは違うそれすらも凌駕したものをつくるんじゃない?
語り手 そうなのかもしれぬな だとすると神にとって人間の想像力とはこの上のない恐怖の対象になるだろう 神は人間から想像力を捨て去るだろう
では神を恐怖させる思考力というのはものすごいものだとは思わないかね 少年
少年 うん
神は人によってつくられたものなのか?それとも神自体が存在してきたものなのか?興味はないかね?