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冷血女王様は踏まれたい  作者: りりぃこ
第二章 映画編
22/77

22 シビア


「えっとー、私達の出演している夢見パレード、そこで今度から爽香が新コーナー担当することになりましたー!」


「わーってか、これもう言っていいやつ?」


「うん、別にいいって。どんどん言ってファンに、宣伝しろって偉い人が言ってたし。あ、見てくれるってコメントありがとうー、友達にも宣伝してねー」


「でも、上手くできなかったらお蔵入りになるって脅されてるんでしょ?」


「へへ。怖いねぇテレビって」


「あ、お蔵入りになったらそのテープ買い取るってコメントあるよ」


「やばいやばい、ファンに余計な気を使わせないで」


「好葉と奈美穂は出ないんですか、って。コメントありますねー。今のところオファーが無いので、とりあえずどうやってねじ込もうかと好葉と話し合ってる最中なんです」


「そうなの。ロケバスにどうやって潜めばいいか検討してて。ロケバス結構スペースありそうだから二人くらいイケるかもしれないよね」



 いつものライブ配信。


 私達は無難に仲良くこなしていた。配信を終えると、奈美穂がおもむろに私の隣やってきて、静かに座った。


「私、頑張ろうって思うんです」


「うん?」


「今回の新しいコーナーの件。私、いつもストレスに弱いって言い訳して爽香におんぶにだっこだった気がするんです。なのに、今回爽香だけコーナ持つって聞いた時悔しかったんです」


 奈美穂がそう呟くように言った。


「頑張らなきゃ。今がチャンスなのに。爽香みたいに頑張んなきゃって今回すっごく思いました」


 私は、奈美穂のまっすぐな瞳がうまく見れなかった。


 爽香が選ばれたのは爽香が頑張ってたからからじゃない。単に爽香が一番若かったからなんだよ。


 そう言いそうになるのをぐっと堪える。そんな事言って何になる。爽香も傷つけるし、誰も幸せにならない。


「そうだよね。私もそう思った。私達も頑張ろ」


 私はそう言って奈美穂に頷いてみせた。


「好葉、奈美穂、二人で何話してるの?」


 爽香がこっちにやってくるので、私はわざと悪い顔をしてみせる。


「爽香の悪口」


「え!」


「そんなわけ無いでしょ」


 私は爽香に笑いかけた。爽香はほっとしたような顔になった。爽香の方も少し気にしていたのかもしれない。



「ねえ、ちょっと皆、いい?」


 赤坂さんが私達を呼んだ。


「急なんだけど、明日のレッスン無しにして、ライブハウスに行きます。前のライブの時の衣装着るから、髪と下着は各自やってきてね」


「待って。明日ライブ予定とか無かったよね?ゲリラライブ?」


「違うの。撮影。スターライトブーケ」


「スターライトブーケって、花実さんの映画の?」


 私がたずねると、赤坂さんが微妙な顔をしながら頷いた。


「花実さん演じる主人公が、初めてアイドルを見て憧れるシーンのアイドル役。本当は別なダンスグループがやるはずだったんだけど、ちょっとメンバーの1人がやらかしちゃってね。アイドル役とか超ダサい、わざと下手に踊った方いいかも、なんて言ってる裏アカが発覚して、原作者怒らせたみたいなの」


「あちゃー、裏アカなんてやらなきゃいいのに」


 爽香が呆れたように言う。


「別にそれくらいで降ろしたりはしないんだけど、まあ別に彼女等じゃなきゃだめって訳じゃないから降ろしちゃえ、なんか代わりに花実雪名が役作りしたっていうアイドルを起用しようって監督が言ったみたいでね。それでうちに話が来たの」


「シビア……」


 私達がゾッとしながら呟いた横で、赤坂さんがニヤリと笑う。さっきの微妙な顔は、ニヤケ顔を堪えていた顔だったらしい。


「人のやらかしを喜ぶのも何だけどさ、いいチャンスもらっちゃったな、と思って。ライブシーン一瞬しか映らないみたいだし、セリフも無いんだけど」


 確かに赤坂さんの言うとおりだ。


「楽しみです」


「うん、明日頑張ろ」


 私達は力強く頷いた。



 帰り際、スマホを見ると、雪名さんからメッセージが入っていた。


 明日よろしく、という素っ気ない言葉と、明日は前に買ったパンプスで来なさいよ、という気の抜けそうな命令だった。



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