第二話 いらない
...アラームの音がせずに目が覚めるのはいつぶりだろうか
昨晩はアラームをかけずに眠ったからか、妙に気分がいい
...昨日は本当にいろんなことがあった
「じゃあ灯くん、二か月後にここに連絡ちょーだいね」
そういってイスカさんは名刺の様なものを手渡してくる
そこには、電話番号と名前が書いてあった
「わかりました」
「そうそう、二か月間みっちり鍛えておいてね。中級ぐらいなら一人で倒せるくらいに」
このときはエンゴの死という現実をいまだに受け止めきれずにとんでもない発言を聞き逃していた
その後辞表を提出し、宿に泊まった
...そして今に至るわけだが
「二か月でそこまで強くなるとか無理だろ...」
最近、俺は伸び悩んでいた
エンゴはめきめき強くなっていったが、俺はどうにも伸びない
俺はエーテル欠乏症を患っているため、エーテル量がほとんどと言っていいほど無い
そのうえどれだけ鍛えても目に見えて伸びることも無い
まったくとんでもない障害を抱えて生まれてしまった
「まず知識からつける必要があるな」
そう思いながら本でエーテルや能力について調べる
エーテルとは、この世界を満たしているエネルギーのことで、独自の法則で動くため物理法則に影響されない
そしてすべての物質に含まれており、それは人間も例外ではない
人間の体には、エーテルを生成する臓器であるエーテルコア、通称核があり、酸素や炭素を基にエーテルを生成する
そして、核も筋肉のように負荷をかければ強靭に成長する
「まあ、俺にはあまり関係ないな」
次は能力を調べることにした
能力には二種類あり、(ここは前回解説したので省略)
固有能力には、特殊な現象が起こることがある
それが、ドッペルゲンガー
同じ固有能力を持つ人物の死から約三日程以内に死体に触れると、その人物のエーテルを一部引き継ぐことができる
...俺の能力は、一般超能力をすべて使える能力だ
だが俺はエーテル量が絶望的な為、あまり有効活用できていない
攻撃力不足を解消するために編み出したのが、浮遊・斥だ
触れた部分の細胞を横に浮かし、相手の防御を貫通できる
しかし、そもそも触れる場面が少ないため、あまり実用的ではない
「基礎知識じゃどうにもならなそうだな」
...待てよ
核は使えば使うほど強くなる...なら
二十四時間エーテルを使い続ければ、とんでもない負荷がかかるんじゃないか?
そう考え、すぐさま実行した
丸一日できるようになるには三日かかった
そこからはどんどん長くできるようになってきた
もちろん、寝ながらはできないので一切睡眠もとらなかった
何のためにここまでできるのか、エンゴの遺言もある
だが、それ以上に俺を突き動かすのは、仲間の死への恐怖だ
俺がもっと強く、先に相手を殺せるならば
幸せも、俺の命も
いらない




