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終わりの始まり
あの日、私の人生は終わった。
今でも鮮明に思い出す。
背中に走る鈍い感覚。一気に暗転する視界。ビリヤードの玉の様に弾かれた体。
霞む暗い視界で微かに見えた、覆いかぶさった目の前で青ざめた顔をする君。
道路外へ撥ねられ、鉛のように重い体で空を仰ぎながら私は考えた。
___あの子は、無事だろうか。
考えるのが億劫になるほどの痛みに瞼を閉じた私は、無意識に生きるのを諦めていたんだと思う。
「なにもない人生だったな…」
なんて、物語の主人公のようなセリフを吐きながら、プツッと糸が切れた。