表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/24

3話 アンカーギー師団長姑息な罠

当作品はフィクションです。実際の個人、団体とは一切関係はございません。また、この作品は作者の思想を表した物ではございません。

「一同、せいれーつっ!!点呼を取れぇ!」


「おぅ!!」


「いちっ、にっ、サーンッ!!よん、ごっ、ろぉ〜く!!なな、はちっ、キュゥッ!」


放龍達がいる神殿から約2キロ離れた場所でウヨー自由主義皇国の軍隊が整列をしている。その声は神殿を囲う樹海全土に響き渡るほどだった。


「師団長、こちらA班。全員います!」


「こちらB班、全員います!」


「こちらC班、一人ウンコして遅れます!」


「うるさい黙れ、団体行動を乱すな。A班B班A班B班で交互に並べ。」


「師団長、A班はB班より若干多いです。」


「そうか、だったらA班B班A班A班B班A班B班だ。」


「A班B班A班B班A班A班B班ですね?」


「違うわ、よく聞け!こうやって並べ ABAABAB、ABAABAB、ABAABBABAB、BABAB左右A左右左右左右Bだ!」


「オウっ!!」


この師団長、アンカーギーは皇国屈指の軍師として名を挙げている。歴戦の勇姿を讃えられ放龍たちのいる神殿一帯の奪還を総統の命により任された腕利きだ。

もっともパヨンの民にはただの侵略者に過ぎいのだが…。


アンカーギーは部隊を確認したところD班の姿が見えない事に気がついた。


「親衛隊共よ、D班はどうした?」


親衛隊、それはウヨーのお偉いさん達に配属されるエリート尖兵なのだ。戦闘を始め諜報、調査、作戦考察を主に仕事としている。


「は、調べたところ神殿付近で消息を絶ったと思われます。」


「神殿?誰かが召喚術でも使ったのかもしれん。調べてみるか。A班B班は基地に帰還、C班はD班の捜索を手伝え!」


「ははぁっ」





 アンカーギー部隊が神殿に向かう頃、放龍達は…


「なぁクルオナ、これはどう言うホログラムだ?集団ストーカーのCGはここまで進んでいるのか?」


「ホログラム?CG?何言ってるんですか?ここではリントの言葉で話してください。」


目の前に自身が住んでいた世界とは全く違う景色を見てもなおそれが信じられない放龍は未だに異世界というものを信じようとはしなかった。彼からしては組織がその手のクリエイターを雇い自身を騙そうとしていた程度にしか思っていなかった。

しかし実際は異世界に飛ばされている。彼には現実を受け止められなかった。


そんな放龍の事も考える気力もなくクルオナは完全に疲れ果てた。もういっその事今彼が見ているのは夢という事で片付けて元の世界に返してやろうと思った。


「はいはいもう種明かしします。あなたが見ているのは夢ですよ。今から目を覚ます手続きをしますので神殿に戻りゆっくり待ってもらっていいですか?」


「ふざけるな、今すぐ覚まさせろ。それに夢ならお前みたいなガキが出てくるわけがない。俺はロリコンとは違うぞ。」


「明晰夢でもすぐには覚めないもんですよ。あとガキは言い過ぎじゃないですか?」


流石に夢ではない事くらいわかる放龍は流石に苛立ってきた。口論だろうが殴り合いだろうが徹底的に臨むことにした。


「ほう、人を連れ去っては帰り満ちも案内できずに終いには夢扱いして誤魔化そうとしてもうまくできもしないとは飛んだポンコツだな。」


散々な言われようにクルオナは腹を立てた。放龍を元の世界に戻すために神殿に連れ戻そうとしたがそれも嫌になり彼を放って帰る事にした。

本来なら召喚に失敗し意図せぬ者を呼んだ際、放置すると危険性がある返すのが普通ではあるが、彼くらいなら放っておいても何も問題ないと思ったのだ。


「もう呆れました、好きにすればいいですよ。本当は召喚失敗した時は後処理が必要ですがあなたのようなデクの棒でしたら放っておいても良さそうですね。もう勝手にしてください。」


召喚はタダではない。多かれ少なかれ代償は必要である。

放龍の召喚に使ったコストはアイスクリームとジュースとピーナッツとクロレラキャラメルなどである。

彼女は少なからずガチャ石を集めたが限定の担当を当てられなかったアイマスP並みに落胆していた。代償なことなんかより放龍に言われた言葉の方が彼女にはきつすぎたのかもしれない。


 その後のクルオナは放龍と離れ離れになり帰り道を歩いていた。がその時に怪しい物陰が彼女を襲う。アンカーギーの親衛隊が彼女を捕らえたのだ。


「悪いな嬢ちゃん、少し付き合ってもらうよ。」


「嫌、やめて…離して!」


一方放龍はアンカーギー部隊のC班に囲まれていた。


「貴様が俺たちの仲間を葬った奴か?」


「敵をとってやる。」


「召喚術がされてたかクソ、早く始末せねば厄介だぞ。」


親衛隊の調査により神殿内でD班が全滅した事が分かり、その情報はC班に伝えられた。部隊は厳重な警戒態勢に入っていた。


「これまた厄介な事になった…。」


多勢に無勢、放龍危うし。C班の部隊員は一人づつ放龍に切りかかってきた。放龍も華麗に交わす。隙を見せた相手には重いパンチをぶつけた。


「ぐわぁぁぉぁぁ!!!!」


「えぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


数的有利ながら何人か放龍に倒されたC班はどよめきはじめた。


「何だこいつ…攻撃は通じないし殴るだけで兵士を倒しやがる。こいつ、本当に人間なのか?」


「おそろしい、人の姿をしておいても召喚獣なだけあるぜ…。」


震え上がるC班部隊、放龍が前進する度少しずつ後ずさりするのであった。


「なんだ、来ぬのか?ならばこちらから行こう。」


ついに放龍の反撃が始まった近くにいた兵士から順番にパンチを入れて倒していった。C班は残り3人にまで追い込まれた。流石は放龍、雑兵如き物の数ではなかった。


ところが…


「待ち給えよ武闘家よ、こやつの命がどうなってもいいと申すか?」


 放龍の後方に突如現れたのはアンカーギー師団長とその親衛隊であった。

放龍は睨みながら師団長の方へ振り返った。


「何用だ、おめぇ?」


「これはこれは挨拶が遅れた。我が名はアンカーギー。この部隊の師団長を務めるウヨー自由主義皇国の軍人よ。お主、いいものを見せよう。我らに盾つけられなくなるほど立派なものをな。」


そう言われ、後の親衛隊が一人の少女の口を腕で抑えていた。囚われていた少女はクルオナだった。


「こいつがどうなっても良いと言うか?ひざまつけ召喚獣。」


「た、助けて…放龍さん。」


これは危うし放龍、人質をとられ放龍の行動次第では人質に命はない。完全に追い込まれた…。


と、思いきや放龍は驚きの返事をした。


「フン、集団ストーカーの命など俺は知らん。好きにするがいい。茶番が過ぎる。貴様らはグルで少女を殺められる所に動揺したところを狙っているのだろう?貴様らの考える事は見え見えだ!」


これは的外れであった。しかし放龍の返事は場を騒然とさせた。


「ななななんと、このメスガキを見捨てると言うのか?」


「そんな…いやっ!私は死にたくない。集団ストーカーなんて関係ないから助けて下さい…。」


涙ぐむ表情を浮かべるクルオナに対して放龍は言い放った。


「クルオナと言ったか?悪いが俺はデクの棒だ、デクの棒に人助けなど出来やしないぞ。」


「デクの棒と呼んだ事は謝ります。それでも気に入らないのでしたら他の頼みも何でも聞きます。お願いです。助けて下さい何でもしますから…。」


放龍が自身を見捨てた事にクルオナは大粒の涙を流した。大声で彼に助けを求めても、その声はただ神殿の周り覆う樹海に鳴り響くだけであった。誰も助けに来やしない。


「静かにしろクソガキ、貴様はもう用済みだ。なんの脅しにもならん、生きる価値もないからさっさと死ね!」


師団長が諦めきっていたクルオナに向けて刃を振り下ろそうたした。その時、何処かから素早く動く者がやってきて親衛隊を振りほどきクルオナを救い出した。


「何者だ!」


突然の出来事にアンカーギーは焦りながら聞いた。一同もざわつき始めた。目にも止まらぬ速さでやってきた者は敵か?味方か?その者はアンカーギーに向かい話し始めた。


「私はついこの間に女の子を授かりました。元気で可愛くて一生の宝物ですよ。」


「だから貴様は何者だというのだ!ひとの作戦を邪魔しておいて、さては立憲の者か?」


アンカーギーの質問に対し答える気がなさそうにその者は自分語りを続けた。これは隙を与えた師団長が悪い。


「だから見ていて不快になるんです。女の子を盾にしようとしている人は…例え同じ志の者でもね。」


「あ、貴方はコズミック=シンジェロ参謀ではありませんか。シンジェロ殿が何故こんな所に…?」


そう言われるとシンジェロは姫様抱っこで抱えているクルオナを開放し、質問に答えた。


「総統が念の為と派遣したのですよ。現に貴方は一人相手に複数人で挑み劣勢、挙げ句に少女を人質に取ると兵士の風上にもおけない愚行。あなた程の者がそこまでするというほど相手がお強いと言うことですか?それとも、貴方がその程度の方だったという事ですか?」


「ふざけるな、ならばこんなやつ俺一人で片付けようではないか。黙ってみていろ七光が!」


 シンジェロの挑発に乗ってしまったアンカーギーは放龍に一騎打ちを申し込む。放龍は一騎打ちと思わせ不意打ちをするだろうと警戒しつつ受理した。


「行くぞ召喚獣、死ねええええええ!!!!!」


「こちらも行くぞ!」


『パスンッ、』


音をたて拳が交差した。放龍はアンカーギーの攻撃を辛うじてかわす事ができた。しかし体制は不自然なため放龍もまたアンカーギーの顔にかすり傷を入れることが精一杯であった。


「ぎゃぁぁぁぁぉぁぁ!!!!!顔に傷がぁぁぁぁぁあ!!!!」


取り乱したアンカーギーは即座に撤退した。それに続き親衛隊とC班も現場を後にした。

残ったシンジェロは放龍に向かって忠告した。


「幼いとはいえ女性はレディです。レディを悲しませてはいけませんよ。では、アドゥー!」


そう言い残し去っていった。



 放龍もその場を去り帰る方法を探すことにした。クルオナはそんな放龍を追った。


「待ってください、先程の事は謝ります。なので置いていかないでください…。」


誰もいなくなったその場には犠牲になった兵士の骸が転がりそよ風が吹き渡るだけであった…。

放龍に傷をつけられ激しく復讐に燃えるアンカーギー、そして謎の男シンジェロとそれを派遣した皇国の総統は何者か?放龍の拳が唸りを上げる。


次回「決めろ魔断拳、アンカーギー師団長決死の対決」にご期待ください。


早くて日曜かもしれませんね

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ