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2話 戦え放龍 纏えよアルミの装甲

※当作品はフィクションです。実在する個人や団体とは一切関係ございません。

 目を覚まし、さっきまでいた場所とは違うことに気づき困惑する放龍の前には十代半ばの少女が立っていた。


「気が付きましたか?」


「誰だお前は、ここは何処だ?」


「ここはあなたのいた世界とは別の世界、俗に言う異世界です。私の名前はクルオナ、召喚術が使える聖職者です。突然召喚してしまい申し訳ありません。この国は隣のウヨー自由主義皇国からの侵略で危機に貧しております。貴方に聖なる力を宿し、とてつもない強さに仕立て上げます。なのでどうかこの国をお救い下さい。」


クルオナと名乗る少女、目はぱっちりとしており顔が整っている。こちらの世界なら人気若手女優として活動する事も可能だろう。髪は銀髪、目はピンク色…いやマゼンタかもしれない。わからない。紹介するのはやめておこう。

若くて、元気で、可愛らしい女の子がいるだけでもう十分にパワーをもらえる。と言いたくなるほどのエネルギーに満ちた女の子だ。


 だからこそ警戒せねばならない。それは巧妙なハニートラップの可能性があるのだ。鵜呑みにしたら待ち合わせに7時間待たされ盗撮されて帰る羽目になる。それで済めばまだいい。個人情報や財産、人名が奪われる危険性もある。集団ストーカーの常用手段だ。


放龍は警戒しクルオナに言った。


「何が異世界だ馬鹿野郎。そんなものあるわけがない。でっち上げるならもっと上手くしろ。貴様らの陰謀は見え見え、俺を拉致して何するつもりだ。言え、集団ストーカーめ!」


言われもない事を言われ罵倒までされたクルオナも黙っていられず言い返す。


「拉致だのストーカーだの人聞きが悪いですね。それにあなたならストーカーくらい追い払えるでしょう。陰謀って言っちゃう辺り頭大丈夫ですか?」


「とぼけるな!そんな胡散臭い格好して。お前はどこのカルト所属だ?」


「カルトじゃありません!立派な聖職者の衣装です。こんな人が救世主な訳ありませんね。今回は変なのを召喚しました。さっさともとの世界に帰しましょう。」


「フン、勝手に連れ去って帰すとはただの時間ドロボウか。そうやって俺の貴重な時間を奪って妨害するのも集団ストーカーらしいな。もとい、少女を使い手を出したら性犯罪に出さなければ言いなりにと典型的な手口だな。」


「だからストーカーなんて物騒なものでは…」


 二人が会話している中、何者かが近寄ってきた。複数人だ。目で確認できるほどの位置につくと声をかけてきた。


「会話は終わったか侵略者共。この土地は我らウヨー自由主義皇国が奪還する。パヨン立憲主義国に死を」


その者たちの正体はクルオナが言っていた侵略国家の自由主義皇国の兵隊だった。

クルオナは兵隊達に言い返す。


「侵略者はあんたたちでしょう。長年私達の生活を圧迫し血税を貪ってきたあげく国民を戦場へ連れていき戦わせようとしたのも自由主義皇国の連中じゃない!」


「被害妄想が過ぎるな。そもそもお前ら無能共を兵隊にしたら、俺たちの方が迷惑だ。異国からの侵略に先に手を打てるために法を変えようとしただけだ。それを徴兵制と勘違いした立憲主義国の貴様らバカ共が騒ぎ立て今の紛争が起きたんだろうが。国を骨抜きにしようとしたクズ共め。貴様らが心の侵略者と自覚しろ!」


どうやらこの国は元々一つの国が意見の違いにより2つになったようだ。片方はウヨー自由主義皇国、もう一つはパヨン立憲主義国のようだ。


 クルオナと兵隊がいがみ合っている中、未だに異世界というものを信じれず何故言い争っているのかわからない放龍は両者に尋ねた。


「何故集団ストーカー同士で争っている?何の作戦だ?何の派閥争いだ?」


その質問に二者は同時に大声で返した。


「ストーカーじゃねえよ!」

「ストーカーではありません!」


「何なんだこいつ、あんた召喚者だろ?こいつの言っていることがわかるか?説明してくれ。」


「それができたら苦労はしませんよ。」


「呼んどいて面倒も見れないのか3流見習いが」


「ちょっとあなたさっきから口が過ぎません?女の子に威圧的な男の人はいつまで経ってもモテませんよ童貞さん。」


「なんだと、雑談は終わりだ。てめぇは言ってはいけないことを言った。ガキだからとて許されん。おのれメスガキ、今ここで成敗してくれる。」


その時、後ろの方の雑兵が名乗り出て戦闘の兵に告げた。


「兄貴、俺が行きやしょう。相手は二人、この思考盗聴魔法で片付くでしょう。」


「おう、早急に頼むぞ。」


「そうこなくちゃ、行きやすで、『思考盗聴魔法"脳神経錯乱波"』!!」


思考盗聴魔法のひとつ"脳神経錯乱波" は魔法で大気中に何かしらの振動を起こし相手の脳波を混乱させまともに立てなくするほどのダメージを与える。最悪の場合、死に至ってしまう事もある恐ろしい魔法です。

あなたは最近、近場で変な空気の流れになったことはありませんか?電磁波のようなものを感じ体調不良になったりしてませんか?そのまま放っておきますと、大変なことになりますよ…。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ頭が、頭がおかしくなりますわァァァァァァ!!!!」


頭を抱えながら涙を流しクルオナは倒れ込んだ。このままでは脳波が乱れ修復できない程になり生涯を発狂したまま終えるかもしれない。クルオナの命が危ない。


「げーっしっし!これで二人ともオダブツやんすねー!」


「バカタレ、よく前を見ろ。」


「え?」


倒れるクルオナの後側には堂々と放龍が立っていた。


「何を、この脳神経錯乱波が通じぬというのか?」


「名前を聞いて思考盗聴から脳を守るアルミホイルを巻いたのだが、そうすると効かなくなるようだ。どうやらお前たちが魔法と思っているのはただの電磁波攻撃に過ぎんようだ。」


放龍は頭にアルミホイルを巻いていた。それだけではない、手にも巻いていた。恐れる者なしと言わんばかりの表情で兵隊に近づいた。その威勢は戦闘用意のできている兵隊の方が腰を引き後ずさりするほどであった。

一歩、また一歩、放龍が近づく度恐れが兵隊の表情に現れ始めた。


先頭に立つ兵が大声を上げて全員に向かい言った。


「たかが一人に臆するな。我々は複数ぞ、今こそサイキックセイバーを使えばこんなゴロツキ人ひねりだ!」


「うおおおおお!!」


掛け声と共に元気ついた兵隊は手先から剣のようなものが飛び出し一斉に放龍に切りかかった。


しかし放龍には素人の殴りかかる仕草に過ぎず、全員を片手で始末した。


「うわぁぁぁぉぁぁぁぁ!!!」


「ひぎいまぉぉぉぉぃ!!!!」


「ひでぶぅぅぅぅぅぅ!!!!!」


「おっぺけぺぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


最後に残った一人が再度切りかかった。しかしアルミホイルのグローブに刃が立たず剣が折れた。


「何!?」


「どうやらその剣も電磁波でできたようなもんだったな。このアルミグローブには通じない。」


その後右ストレートを決めて兵は吹っ飛んだ。壁に当たり円形のヒビが入ると共に兵は絶命した。


「………他愛もない。」


放龍は命を守るためとはいえ、ボクサーであるプライドも捨てた。ボクシング以外で拳を上げてはいけない掟を彼は破ったのだ。


『フン、元々向こうから追い出された身よ。今更関係あるか。』


そう思い帰宅しようと神殿の外に出た放龍、目の前には明らかにかつていた世界と異なる景色が映っていた。


空を飛ぶ爬虫類、サイのような角のシカ、メガニューラのような大きいトンボ…


目を疑った、異世界というのは実在したのか…。


後ろから目を覚ましたクルオナが近寄ってきた。


「置いていくなんて酷いじゃないですか。貴方はまだこの世界を知らないでしょう…」

意見が食い違い、言い争い仲違いをしてしまう放龍とクルオナ。その時謎の男が二人を襲い、クルオナが人質に取られる!?


次回「恐怖、アンカーギー師団長の姑息な罠」にご期待下さい


早くて一週間後すねー。

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