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12話 パンケーキの代償 轟け、雷鳴百連打!

以前「イガシワン」と言う名前に予定していましたが、諸事情により「イシュデイガ」と言う名前に変更しております。

 ヒャラオホ=ダナンとの戦いを終え、クルオナの故郷を去り次なる街へ向かう放龍一行。その途中、見覚えのあるあの新聞屋がいた。


「デカキン新聞エビディ!!ビンビンハローエブリワン、どうもデカキン新聞です。今日はこの先にあるイオスコのレストラン街にある『マイデン珈琲』にて特性パンケーキが大特価!!是非ともよってみてください。今回はタダの広告だよー、ビラ配りってやつだね!はいもらったもらった!!」


放龍は広告を受け取り、じっくり眺めた。


「当面減量していたが少しくらいはいいだろう、このパンケーキを食べに行こう。」


彼は即決でマイデン珈琲に行く事を提案した。しかしエデアとクルオナの二人は乗り気にならない様子だった。


「兄貴、その店は写真で判断すると痛い目見ますよ…。」

「えぇ、写真はとても良く見えるように加工されてます。なお実物は…。」


二人があまりにもぎこちない態度に出るため放龍は二人に聞いてみた。


「何がどう問題なんだ、大きさが小さいのか?見た目が汚いのか?それとも味に問題があるのか?」


エデアは困ったような顔をしながらほそぼそと返事をした。


「味は問題ありませんよ、むしろチェーン店の中では美味しい方かと。見た目は店によりけりですかね〜。」


「もう現物見せましょう。それが一番、早いかと…」


クルオナの提案より一同はイオスコのマイデン珈琲へ向かうことになった。




 その頃、ウヨー自由主義皇国では上層部が集まって晩餐会が開かれていた。偶然にも、こちらもパンケーキの食事会となっていた。


主催のガース総統補佐は一同の前に立ち大きな声でいただきますの音頭を取った。


「それではみなさん、いただきます。」


ガースは総統補佐でありそして長官である。"皇国を明るくする会"の会長でもある。明るいのは人間性ではなく頭である。国内からも政策の薄さを指摘された時「薄いのは髪の毛だけにしろ」と言われ、おまけに「額だけでなく視野も広くしろ」とまで言われている。かわいそうな人だ。


「呑気にパンケーキなど食ってる場合か?召喚獣は共和国に行ったとはいえまた奴らが毒牙を向けるかもわからんのだぞ!」


 皇国のお偉方、ニケェ元帥は危機感が抜けている一同に疑問をいだき吐き捨てた。


その言葉により一瞬にして会場の雰囲気は冷めた。

そんな中、総統であるアベル=シンドーはニケェに反論として言い放った。


「無粋な事を言うな元帥よ、せっかくの食事が不味くなる。策もなく関係ない時に文句を言うのは立憲の連中と同じだぞ。」


元帥は顔から汗を流しながら黙りこくった。会場はさらに冷え切った。

その時、タローア僧正は場を盛り上げようとおふざけをした。


「おほん、とりあえず乾杯かわはいと行こうじゃねえか!おん、これは乾杯かんぱいでしたな。ハハハハハ!」


滑っていたが一同は作り笑いを浮かべ、どうにか盛り上がった。


「ガース長官、ワインを一杯いかが?」


「総統、私は甘党なのでぶどうジュースですよ。」



 皇国ではそんな事があった中、放龍たちは無事イオスコ1階のレストラン街に着いた。


「ここがマイデン珈琲か、チェーン店にしては洒落てるな。」


「まぁ、そう言う雰囲気のお店ですし…。」


一同は席について注文を決める事にした。放龍は当然パンケーキを注文する。エデアとクルオナは中々決まらず迷いに迷った。


「どうした二人とも、頼むの困っているならパンケーキ3つで良くないか?」


「いやいやいやいや、それだけは困ります。クルオナ、何を頼もうか?どうせなら二人で分けれる物にしよう!」


「そ、そうですね。お腹を壊しては大変です。このサンドウィッチセットにしましょう!」


マイデン珈琲のサンドウィッチセットはサンドウィッチが2つのセットである。一見、二人で分けるには足りなそうに見えるが…


「お待たせしましたー!!」


なんと来たのは1個あたりコンビニで売っているサンドウィッチの3倍、いや4倍はあるかもしれないビッグサイズ!

それはそれは、クルオナ達も敬遠する大きさな事だ。


そして放龍の注文したパンケーキも届いた。店員がテーブルに皿から重みを感じさせるような音を立ててパンケーキを置いた。


「お待たせしましたー!!」


ぷるっぷるに震えるパンケーキは写真を凌駕するようなほど大きさ。厚みと重みのある生地のパンケーキが放龍の前に立ちはだかる。それは大食の人でない限り、とても食べられたものではない威圧感であった…。

そのギャップはSUSURUも思わず卓上調味料を全部なぎ倒し厨房へ入りサブチャンネルで店主の土下座を晒しかねない程である。


「あちゃ〜〜〜〜。この量ですよ兄貴…。」


エデアは改めて実物を見て頭を抱える。彼も放龍が素直に聞いてくれれば避けられたであろう事と考えると余計、頭が痛くなった。

クルオナもこの状況には何かを誤魔化すように苦笑いするばかりであった。


しかし放龍、これを残しちゃ男の名が廃る。彼は表情を崩さず驚きの言葉を交わす。


「なんだこの量か?俺は愛知県民だ。愛知県にはコメダ珈琲と言う店があってな、このくらいの量は日常茶飯事だ。減量続きで腹が減っていた、このくらいで程よいくらいだ。」


体重が重要なプロボクサーは常に減量を欠かさない。しかし、この世界に来てはこのくらいの食事を取らなければ大変である。変な魔術師を相手するには減量なんてやってられない。


ここでメイド服が似合う若い女性店員さんが一同の元に近寄った。


「それでは当店限定サービス〜料理がとっても美味しくなる魔法"もえもえきゅん"をやっていこうと思います!」


これはこの店におけるいただきますなのだ。

エデアとクルオナは友人からのカラオケのお誘いに乗ったら友人が何故か連れてきた知らない人を見つめる様な表情を浮かべ、二人同時に棒読みで言った。


「も、もえもえきゅん…。」


二人とも恥ずかしそうにしていた。特にクルオナは言い終わった頃には顔を隠してしまうほどだった。


そして放龍…。


「もえもえきゅん。」


「ブフォッ!」


恥ずかしそうではないが乗り気でもないなんとも言えない棒読み具合。そのシュールさに二人とも先程までの恥じらいを忘れ思わず吹き出してしまう…。


店員はそんな二人に対しムスッとした表情で警告した。


「どうしてクスクス笑っているんだい?彼のもえもえきゅんは立派だよ。」


「は、はい…。」


店員から叱られ二人は素直に彼女の言葉を受け止め冷静になった。


 いよいよお待ちかねの食事だ。と、言うところだった。何処からか突き飛ばされた警官が放龍のパンケーキに直撃した。


突然の出来事にエデアとクルオナは目をパッチリと開ききりポカンとする表情を浮かべた。


「ア、兄貴…もう一個頼みます…?」


「そ、そうしましょう。店員さん!申し訳ございませんけど、お取り替えできますか?」


「だ、大丈夫ですよ!申し訳ありませんがもう少しお待たせしてしまいますけども…。」


慌てて店員も作り直しに厨房へ向かった。


 放龍は警官が飛んできた方角を睨んだ。何者かがいる、恐らく魔術師だろう。そう思い席を立ち外に出た。


「うおおおおおおお、俺はイシュデイガだ動画晒すぞ!」


魔術師イシュデイガ、立憲共和国の国会議員。荒ぶる性格の彼は地元で急な峠と有名な坂道をどこぞの豆腐屋のあんちゃんも驚きの速さを馬車で出したため交通課にマークされたのだ。警察が気に入らない彼は横暴な対応により抵抗した。当然、公務執行妨害に当たるが複数人の警察を蹴散らしてイオスコまで入り込んでしまったのだ。


「貴様、何の真似だ?そのように暴れて何になる?」


「んだてめぇ?図に乗るなよオラ、俺は国会議員だ貴様とは違う!」


放龍とイシュデイガが激しく睨み合った。大手ショッピングモールの中、一人の暴徒と一人のボクサーの一騎打ちが始まるのだ!


「警察を突き飛ばした事は大目に見よう、交通課は特にそうだが弱者からしか罰金を取らない無能の集まり。権力者の犬であり集団ストーカーのグル、税金泥棒すぎん。そんな奴らに何しようが知ったことではない。だがパンケーキの件は許すわけにはいかん。店員がどれだけ客に美味しく味わってもらおうと思って死にものぐるいに働き用意したと思っている?原料となる小麦粉や卵を生産する人らはどれほどの苦労をしたと思っている?国民を搾取するだけで生きていける貴様らにはわかるまい。だが、その努力を無碍にしてしまった代償をその身で味わうがいい!」


傲慢なイシュデイガに激しく怒った放龍、自ら左ジャブから仕掛けた!


「ブボハッ!」


イシュデイガ、これを読めずに右頬に食らうも体制を立て直した。

放龍も合わせてファイティングポーズに入る。


そして放龍、もう一度左ストレート!


「フギィ!」


イシュデイガ受けるもまだまだ怯まない…。


「小癪な、こちらからも行くぞ!」


果敢に飛びかかるイシュデイガの突進も、虚しく放龍にかわされる。

そして放龍、再び左ストレート!


「グキッ!」


「フン、所詮は力任せに暴れる輩よ。読みが甘すぎる。貴様の攻撃は俺に届かん!」


放龍は再び左ストレートを決め、すかさず右でもストレートを決める。


「ギエッフ!」


イシュデイガは完全に体制を崩した。もはや勝機はないだろう…。


「ここから行くぞ、雷鳴百連打!」


そうすると放龍は両手から数多ものストレートを繰り出した。

この技はいかづちのような素早さでストレートを連発しボクサーの銃と言われる左で相手を敬遠し、ボクサーの大砲とも言われる右で重い一撃を何度も浴びせる。食らった者は全身に稲妻が走った様な感覚に襲われる。周囲に凄まじい音を響かせる。まさに雷鳴と言う名に恥じぬ荒々しい技である。


「ぐ、貴様…まだだ、俺はこの程度でくたばりはしないぞ!」


なんと、イシュデイガはこの攻撃を喰らいつつも立っていた。


…しかし!


「立っていられるのも今のうちだ、その内全身から崩れ落ちる。まずは左足だ!」


突如、生々しい音を立て非ぬ方向にイシュデイガの左足が曲がりはじめた。


「ひ…」


「次は右腕!」


「あ、あっ…」


「左腕!」


「おおっ…」


「終いだ、右足!」


「んぎゃんぴいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!」


イシュデイガの手足は目も当てられぬ程に異様な曲がり方をした。当然、彼は耐えれず崩れ落ち稲妻に打たれたかのような激痛に襲われ発狂した。


「貴様の手足の骨は木っ端微塵だ、もう使い物にならん。精々その姿でブタ箱で反省しな。」


放龍はイシュデイガの手足を集中的に右ストレートで狙ったのだ。当然そんな事をしては原型保てぬ程にボロボロになっしまう。イシュデイガは命を落とさずももはや抵抗も移動もできない体となってしまったのだ。


イシュデイガが警察に捕まり負傷しているため病院へ送られた後、放龍はマイデン珈琲に戻り再びパンケーキを頼んだ。


放龍は真顔ながら美味しく食べた。何気に彼はパンケーキが好きなのだ。


イシュデイガとの一戦をたまたま見ていた者がいた、セーバ=ラマージだ。彼は遠隔通信魔法でカッツォダーヤに伝えた。


「こんな奴らに放龍を任せる状態でいいのか?無駄な犠牲が出るぞ。」


カッツォダーヤはセーバに力んだ話し方で返す。


「無駄ではない、犠牲あろうとも相手の弱点を知るにはある程度刺客をよこさねばならん。これは全面戦争だ!そう、多大な犠牲を払ってでも皇国と…奴を仕留めるのだ。」




 食事を終えた放龍達は、この魔術師の理不尽に支配された世界を救うために再び旅へ出たのであった。唸れ、龍の拳!巻け、アルミホイル!必ずや国民の人権を守るために、戦え放龍!

国内の男女分断工作を企む組織「ヘムイ団」そいつらから「性的搾取、環境型セクハラ」と叩かれ理不尽に引退まで追い込まれた元ツンデレ系猫型美少女系アイドルのミュナン。その事から存在を忘れられ芸能界も追われた彼女をエデアは覚えていた!?


次回「元アイドルの嘆き ヘムイ団の恐ろしい工作」


君は、真のポリコレを見たか?

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